MOSIMOSI・GE(脚本)
〇ライブハウスの控室
「マネージャー・・・MIST・・・OK?」
『今日のフレグランスは?』
「パープル&ブラッド」
〇ライブハウスの控室
(ね、こんな殺風景な場所でも、これだけで異次元になるのさ)
七星蓮「ふう、これでようやく転生できたぜ」
七星蓮(俺はこうやって毎朝死んで毎夜蘇る。リーンカーネーション)
七星蓮(だから、蓮)
『OK蓮。そろそろスタンバイだ』
七星蓮「やれやれ、またバトルか」
『そう言うな。これはお前にしかできない戦い。聖戦なんだ』
七星蓮(俺は息を吸い込む)
七星蓮(パープル&ブラッドのミストはエリクサー)
七星蓮(シャウトでボロボロになっちまったこの身体を癒す魔法の薬)
七星蓮(人はこの場所をライブハウスと呼ぶ。だが俺にとっては)
七星蓮「サンクチュアリ」
〇ライブハウスのステージ
七星蓮(逆光に照らされたオーディエンスはまるで魂の影)
七星蓮(俺のシャウトがその影を時に荒ぶらせ、時に沈める)
七星蓮(俺はこの声で時間と空間を操る)
七星蓮(神?・・・そんな安っぽいもんじゃねえさ)
七星蓮(人だよ。みんなと同じただの人)
七星蓮「神なんて目じゃねえさ!そうだろみんな!」
七星蓮(これだ・・・このレスポンス。歓声なんてチープなもんじゃねえ)
七星蓮(まるで俺を生かし俺を殺すドラッグ)
七星蓮「俺のステージはいつだってファイナルバトル。そしてお前達全員がラスボスだぜ!」
七星蓮(だが俺は知らなかった。俺のバトルには、裏ステージがあったってことを)
七星蓮(黒い影の先で仄かに輝いていたお前)
七星蓮(そう。お前が真のラスボスだったんだ)
〇車内
榊花音「花音」
七星蓮「え?」
榊花音「花の音と書いて花音(かのん)」
七星蓮「・・・」
榊花音「似合わない名前だよね・・・私、何の取り柄もないんだ」
榊花音「ライブだって友達についてっただけだし」
七星蓮「じゃあ、嫌だったのか?」
榊花音「キミに会うまでは・・・」
榊花音「キミの歌を聴くまでは・・・」
七星蓮「じゃあ歌ってやるよ。お前のために。お前だけの歌を」
七星蓮「取り柄がないってお前は言う。音楽が分からないってお前は言う」
七星蓮「でも生きてるだけで取り柄なんだ。生きてることが音楽なんだ」
七星蓮「花の音なんかじゃない。お前は・・・」
七星蓮「音の花」
〇車内
七星蓮「違う!」
七星蓮「こんなチープじゃねえ」
七星蓮「そう、お前はラスボス。真のターゲット」
七星蓮「俺達のラストバトルがこんな安っぽいはずなんかねえ!」
〇海辺
七星蓮「季節外れの雪か」
七星蓮「太陽が見えない・・・」
七星蓮「俺を照らしていたオーロラが見えない・・・」
七星蓮「なんてザマだ・・・俺はバトルの中で死ぬって思ってた」
七星蓮「フッ・・・それがこんな病で」
七星蓮「まあいいさ!一匹狼の最後にはふさわしいぜ!」
榊花音「蓮!」
七星蓮「フッ。うるせえのが来やがったぜ。折角ひとり旅としゃれこうもうって思ってたのによ」
七星蓮「ゲホッ!ゲホッ!」
榊花音「しっかりして蓮!私を追いていかないで!」
七星蓮「フッ。情けねえツラしてんじゃねえよ」
七星蓮「お前は俺にとってのラスボスなんだ」
榊花音「蓮」
七星蓮「さあこれが最後の攻撃だ」
七星蓮「お前への・・・口づけ」
榊花音「・・・」
榊花音「お前って言うな」
七星蓮「え?」
榊花音「ダサい。オープニングからクライマックスまで余すところなくダサい」
榊花音「あとモノローグがイタい」
榊花音「『俺が俺が』がヒドい」
榊花音「横文字が中一レベル」
榊花音「ファッションが面白い」
榊花音「だがその面白さは今いらない」
榊花音「てかやっぱこういう男、生理的に無理」
榊花音「今度はリアリティーあるキャラでやり直そっと」
『次は明大前~明大前~』
〇電車の座席
榊花音「えーっと。他のキャラはと・・・」
榊花音「ミュージシャン、パス。異世界転生勇者、パス。弟系美少年、そんな気分じゃない」
榊花音「仕事終わりだから癒されたいのよね~」
『次は浜田山~浜田山~』
〇駅のホーム
神宮寺綾斗「花音ちゃん。今日も仕事お疲れ」
神宮寺綾斗「何か食べに行く?どこがいい?」
榊花音「綾斗サンの行きたい所ならどこでも!」
〇駅のホーム
榊花音「チッ・・・ここで課金か」
最終的にボツになった蓮君ですが、彼女の名前を『花の音』じゃなくて『音の花』といったところは私的にグッときました。年代的にこういうゲームは縁遠いですが、ストレス発散になりそうと思いました。
タップノベルってこんな使い方もできるんですね♪自分好みの男性と、自分好みの恋愛ゲームを作っちゃうっていう新しい発想でおもしろかったです。私だったらどんな男性とロマンスしてみたいかな。
(笑)楽しかったです。まさかの展開で最後笑ってしまいました。お話しのテンポや内容の進み方もスムーズで一気に読むことが出来ました。