好き、嫌い、好き

月夜野楓子

一話読み切りです(脚本)

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〇古い大学
  私は木下みゆ。
  都内の大学に通う、文学部二年生。
  私には付き合って二か月の彼がいる。

〇古い大学
  渡辺晴斗。
  同じ大学の理工学部 宇宙工学科二年生。
  彼は一浪しているので、歳はひとつ上。
  知り合ったきっかけは、天文学サークル。
  子供の頃から、星を見るのが好きだった私は、迷わずこのちょっと地味なサークルに入った。

〇東京全景
  私たちの大学は丘の上にあり、星空を見るには最高だった。
  校舎の屋上にはミニ天文台もある。
  今日はサークルのみんなで星空の鑑賞会。
渡辺 晴斗「夏の星座で有名なのは、白鳥座のデネブ。わし座のアルタイル。こと座のベガ。夏の大三角形だね」
木下 みゆ「わぁ、綺麗。 ここからだと、本当に良く見える。 こと座のベガは、七夕の織姫としても有名だよね」
  晴斗は神話を交え、丁寧に星座について教えてくれた。
  そんな晴斗はサークルで、女子人気が高かった。
「晴斗くんて、何でも知ってるよね。 そうそう、それに語り口調が優しいし。 おまけにイケメン。もう最高!」
木下 みゆ(うふふ、実は私の彼なんだよね)

〇学園内のベンチ
  二か月前
  晴斗に恋心を抱いていた私は、他の子に彼を取られたくなくて、思い切って告白したのだった。
木下 みゆ「あ、あの。 渡辺君」
渡辺 晴斗「・・・」
木下 みゆ「わ、私と・・・付き合ってくださいっ!!」
木下 みゆ(言っちゃった)
渡辺 晴斗「・・・」
木下 みゆ(どうして黙ってるの? お願い。何か言って)
渡辺 晴斗「・・・いいけど」
木下 みゆ(ちょっと迷惑そう??)
  不安を残しながらも、私と晴斗は付き合うことになったのだった。

〇道玄坂
木下 みゆ「今日のプラネタリウム、ロマンチックだったね」
渡辺 晴斗「ああ」
木下 みゆ「この後どうする?」
渡辺 晴斗「腹減ったし、食事でもするか」
木下 みゆ「私、今月あんまりバイトしてないから、ファストフードがいいかな」
渡辺 晴斗「ばーか。おごってやるよ。 何がいい?」
木下 みゆ(晴斗は一人暮らしで、バイト代はほとんど生活費に消えるって言ってた。 彼に負担をかけたくない)
木下 みゆ「じゃあ、ラーメンがいいな。こってり系の」
渡辺 晴斗「マジか? そんなんでいいの? 無理してない?」
木下 みゆ「全然。 時々、背油が恋しくなるの(ホントはちょっぴり無理してる)」

〇川沿いの公園
渡辺 晴斗「みゆの門限は22時だったよな。 そろそろ帰るか」
  時計の針は21時を少し過ぎたところだった。
木下 みゆ「えー、まだ帰りたくない」
  晴斗と付き合って二か月。
  手は繋いでくれるけど、キスはまだ。
  観覧車に乗ったり、夜の公園を歩いたり。
  いくらでもキスするチャンスはあるのに、彼ったら、全然その気配がない。
  晴斗のアパートに呼んでもくれない。
木下 みゆ(どうしてかな?)
木下 みゆ(やっぱり、私から告白したから、無理して付き合ってる?)
渡辺 晴斗「お前んち、厳しいんだろ。 帰るぞ」
木下 みゆ「・・・つまんない」
  晴斗は渋る私の手を取ると、駅へと歩きだした。

〇学園内のベンチ
友人「へー、あんた達まだ何もないの。 笑える」
木下 みゆ「無理して私と付き合ってるのかも」
友人「かもね。 今どき、キスもしない大学生のカップルなんて幼稚園児以下じゃない?」
  近所の幼稚園の園児が、好きな子にチュッてしてるの見たことある。
友人「あたしたちなんて、付き合って二週間でいわゆる大人の関係になったから」
木下 みゆ(う、羨ましい。 私だって、晴斗と・・・そうなりたいのに)
友人「ま、頑張んなさい」

〇街の全景
木下 みゆ(今日のデートも、映画観て、食事して。 何事もなく・・・)
  だんだん晴斗が憎らしくなってきた。
  と、同時に自分が惨めにもなって来た。
渡辺 晴斗「今日は、早めに帰るか。 明後日から大学も始まるし。 夏休みも終わりだな」
木下 みゆ「晴斗は寂しくないの? もっと、私といたいって思わないのっ⁈」
渡辺 晴斗「何だよ? いきなり」
木下 みゆ「私は晴斗ともっといたいのに」
木下 みゆ「晴斗は帰りたいんだっ」

〇街の全景
木下 みゆ「私のこと、本当は好きじゃないんだっ!!」
渡辺 晴斗「・・・」
木下 みゆ「どうして黙ってるの?」
渡辺 晴斗「・・・それはその」
木下 みゆ「無理して私と付き合ってたんだ。 ・・・もういいっ!」

〇見晴らしのいい公園
渡辺 晴斗「待てよっ!」
木下 みゆ「離してっ」
  私は晴斗に掴まれた手首を、思いっきり振り払った。
渡辺 晴斗「ごめん」
渡辺 晴斗「みゆが好きだよ」
渡辺 晴斗「好きだから、好きすぎて、怖くて手をつなぐのが精一杯なんだ」
木下 みゆ「・・・!!」
渡辺 晴斗「ダサいよな」
渡辺 晴斗「俺、男子校だったし、学部も女子が少ないし、その・・・女子に慣れてないと言うか」
渡辺 晴斗「みゆに告白された時も、こんな可愛い子が俺なんかと!?って思って信じられなかった」
木下 みゆ「私のこと嫌いじゃなかったの!?」
渡辺 晴斗「違うよ。 俺だって、みゆとキスしたいと思ってたし、その・・・」
木下 みゆ(その・・・?)
渡辺 晴斗「俺、夢の中ではみゆをいつも抱いてた」
渡辺 晴斗(ちょっと、変態か?俺)
木下 みゆ(う...そ。 キャー、恥ずかしい)
渡辺 晴斗「みゆの気持ちもあるし」
渡辺 晴斗「いろいろ、傷つくのも女の子の方だから・・・」
渡辺 晴斗「無理に関係を、進めたく無かった」
木下 みゆ「晴斗っ!!」
  私は彼の胸に顔を埋めていた

〇見晴らしのいい公園
  私の背中には、彼の腕がぎこちなく回されていた
  ドキドキうるさいほど、心臓が騒いでいる。
  そんな私たちを、月が優しく見守っていた。
渡辺 晴斗「・・・キスしていい?」
木下 みゆ(この時をどれだけ待ち望んだか。 私にとってもファーストキスだもん)
渡辺 晴斗「みゆ・・・」
木下 みゆ「は・・・い」
  私は上目遣いに彼を見つめた。
渡辺 晴斗「やっぱり、今日は帰ろう」
木下 みゆ(・・・!?)
渡辺 晴斗「お父さんやお母さんが心配してるだろ」
木下 みゆ「平気っ!」
渡辺 晴斗「俺を困らせないでくれ」
木下 みゆ(おあずけ食らったみたいだけど)
木下 みゆ「帰ろっか」
  晴斗は優しく私のおでこに、唇を寄せた。
  甘く優しい言葉が私を包み込む。
渡辺 晴斗「今度、俺のアパートで一緒に星を見よう 星を見ながら・・・二人で悪いことしようか」
木下 みゆ「・・・!!」
木下 みゆ「うん!!」

コメント

  • 彼氏さんは、とても誠実な方なんだな、と中々手を出さない理由を見て思いました。お互いを大切にして、これからも生きていってほしいです。素敵な物語ありがとうございます!

  • 大切だからこそ、手を出さないっていう彼氏は誠実ですね。
    でも、女の子からすると手を出して欲しいですよね。笑
    そんな二人にキュンキュンしました!

  • 花占いのようなタイトルに惹かれ、実際拝読させていただき、ヒロインの心の葛藤がまさに花占いみたいだなぁ、と思いました。
    ラストシーンでの恋愛初心者の二人のやりとりが可愛く、ニマニマしながら読んでいたらラストの「悪いことしようか」にアッパー喰らいました❤その台詞はズルい!!!
    素敵なキュンをありがとうございました😊✨

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