ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.33/ THE ELUSIVE NIGHT WATCH #23(脚本)

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〇非常階段
  階段の上の僕と、下にいるNIGHT WATCHの睨み合いは、一瞬だった。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  すぐにNIGHT WATCHが階段を駆け登る。
ナイトウォッチ「・・・このっ!」
  僕はふたたび、ガントレットのマシンガンを掃射する。
  奴は人間離れしたスピードで、ジグザグに蛇行しながら距離を詰めてきた。
  銃の狙いが定まらない。
  そして突然、奴の姿が消えた。
ナイトウォッチ「・・・えっ!?」
バステト「上!」
  NIGHT WATCHは僕の真上にいた。
  天井を蹴り、猛スピードで落下してくる。
ナイトウォッチ「・・・え?」
  僕は驚き、反応できない。
  奴の必殺の拳が命中する刹那。ボディアーマーに仕込まれたエアバックが展開し、拳を受け止めて破裂した。
  奴はエアバッグの弾力にはじき返され、再び階段の下に着地した。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
バステト「紫雲! このまま階段を降りてください! ガジェットで支援します!」
ナイトウォッチ「・・・わかった!」
  今度は僕がNIGHT WATCHめがけて階段を駆け下りる。
バステト「指向性散弾、起動」
  ボディアーマーのポケットが破裂し、奴めがけて無数の散弾を発射する。
  奴は天井に飛びあがって回避した。
  進行方向に、ちょうど僕が通り抜けられるスペースができあがる。
バステト「今です」
  僕は全速力で、奴の真下を潜り抜けた。
  その直後に着地した奴は、背中を向けた僕を攻撃しようと構える。
バステト「指向性散弾、煙幕、起動」
  僕の背負った金属製バックパックが爆ぜて、後方に無数の散弾をまき散らし、同時に煙幕で奴の視界を遮る。
バステト「今です。全力で逃げてください」
ナイトウォッチ「OK!」
バステト「単分子ワイヤートラップ展開」
  バックパックから極細の糸が四方八方に飛び出し、蜘蛛の巣のように通路を塞ぐ。
  糸の一本一本が、うかつに触れたものを切り裂く鋭利な刃になっている。
  突っ切って追ってくることはできない。
ナイトウォッチ「あいつ、あれに突っ込んで細切れになってくれないかな」
バステト「時間稼ぎです。早く」

〇非常階段
  こうして僕は、非常階段の終点までやってきた。
バステト「足止めのガジェット、使い切りました。 10分は時間が稼げたかと」
ナイトウォッチ「ありがとう。助かるよ」
ナイトウォッチ「・・・この奥が唯一、ネストに入れる場所。世渡たちが待ち構えている搬入口」

〇組織の廊下
バステト「この通路をまっすぐ10mです。 向こうはこちらに気づいていません」
  通路の奥には、両開きの金属扉があった。地図によると、あの扉の奥が搬入口だ。
ナイトウォッチ「よし。奇襲して、さっさと済まそう」
  そのとき、背後にある非常階段の扉が甲高く鳴った。
ナイトウォッチ「!? え!? まさか」
  同時に、扉に幾筋もの赤い線がはしり、一瞬にしてバラバラになった。
  その奥にいたのは・・・NIGHT WATCHだった。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
バステト「想定外の事態です」
  NIGHT WATCHは大ぶりのナイフを持っていた。その刀身は低くハム音をたてながら振動し、赤熱している。
バステト「高速振動剣(ヴァイブロブレード)。 理論上、切れない物質はありません」
ナイトウォッチ「実用化、されてたのか」
バステト「まともに戦って勝てる相手ではありません。撤退を推奨します」
ナイトウォッチ「今撤退したら、ちーちゃんを助けられる可能性はなくなる。違う?」
バステト「はい。その通りです」
ナイトウォッチ「なら、戦う!」
  NIGHT WATCHはナイフを腰の鞘にしまった。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
ナイトウォッチ「僕程度、素手で十分って? 手加減してくれるのは、歓迎だけどさ!」
バステト「・・・仕掛けてきます!」
ナイトウォッチ「こっちは手加減抜きだ!」
  僕はガントレットを構え、マシンガンでありったけの銃弾を撃つ。
  しかし、奴は壁と天井を縦横無尽に跳ね回り、全弾回避してみせた。
ナイトウォッチ「そんな気、してたけど!」
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  僕の間合いに入り込んだNIGHT WATCHが、鋭い蹴りを放つ。
  避けられない。僕は両腕のガントレットでガードした。
ナイトウォッチ「・・・ッ!」
  ガントレットが甲高い音を立ててひしゃげた。僕は吹き飛ばされて床に叩きつけられる。
ナイトウォッチ「たった一撃で、ガントレットがイカれた!?」
バステト「爆発ボルト、点火」
  壊れたガントレットの継ぎ目で爆発ボルトが弾けた。
  ガントレットの残骸が床にガランと転がる。
  そのとき、さっきまで正面にいたNIGHT WATCHが僕の背後に回りこんだ。
ナイトウォッチ「いつの間に!?」
  反応できない速さの蹴りがまた来た。
  しかし間一髪、バックパックからエアバックが出現し、蹴りを相殺する。
ナイトウォッチ「た、助かった!」
バステト「エアバッグは今のが最後です。パワー、スピード共に人間が対抗できる相手ではありません。殺されます。撤退を」
ナイトウォッチ「イヤだ!」
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  NIGHT WATCHが再び、間合いを詰めてくる。
ナイトウォッチ「行動予測!」

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