ボディーガード

さくらだ

ボディーガード(脚本)

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〇大学の広場
  大学の授業初日。
立花 葵(ええと、待ち合わせ場所は・・・)
柳 純也「あれ?」
柳 純也「立花葵?」
立花 葵「え?」
  振り向くと、微妙に見覚えのある人が立っていた。
柳 純也「やっぱ立花だ!」
柳 純也「俺だよ俺! 小学校と中学が一緒だった」
立花 葵「あ、柳純也!?」
立花 葵「・・・くん?」
柳 純也「そーそー!」
柳 純也「久しぶり! 中学以来だな!」
立花 葵「う、うん 久しぶり」
柳 純也「なんか雰囲気変わった? 前は髪も長かったのに・・・」
柳 純也「つーかその服、男物か?」
立花 葵「う、うん 最近はこういうのが好きで」
柳 純也「ふーん?」
立花 葵「あ、私、用があるからもういくね!」
柳 純也「あ、待てよ!」
柳 純也「用って何?」
立花 葵「サークルの新歓だけど・・・」
柳 純也「飲み会ってこと? なら俺もいっていい?」
立花 葵「え?」
立花 葵「ど、どうだろ? 先輩に聞いてみないと・・・」
柳 純也「俺も新入生なんだし、別にいいだろ? 久しぶりに会ったんだからもっと話そうぜ」
柳 純也「それにああいうとこは女子は危ないって言うし」
柳 純也「酔い潰してお持ち帰りとかよく聞くじゃん」
立花 葵「わ、私はそういうの、多分平気だから」
柳 純也「平気じゃねーよ 男物着てても女子は女子なんだから」
柳 純也「てことで、俺はボディーガードな?」
立花 葵「ええ?」
  どうやら柳君は何を言っても私についてくる気のようだ。
立花 葵(まあ、それなら好きにさせるしかないか・・・)

〇ネオン街
  2時間後。
立花 葵(はぁ、疲れた)
立花 葵(大学生といえば飲み会のイメージがあったけど、私には向いてないみたい)
立花 葵(ていうか・・・)
立花 葵「柳君、いつまでついてくるの?」
柳 純也「んー 駅まで?」
柳 純也「夜道を一人で歩かせるのも心配だし」
立花 葵「だから私は大丈夫だってば」
柳 純也「何で?」
柳 純也「──立花が男のフリしてるから?」
立花 葵「っ!」
立花 葵(やっぱり、気づいてたか)
柳 純也「さっきの飲み会・・・」
柳 純也「先輩が「一女はこっち、一男はあっち」って言ったとき」
柳 純也「立花、男の席に座ったよな?」
柳 純也「何でだ?」
柳 純也「そんな服着てるのも髪を切ったのも、男のフリするためなのか?」
立花 葵「・・・柳君には関係ないでしょ?」
柳 純也「でも気になるし」
立花 葵「いろいろ事情があるの」
柳 純也「事情ってどんな・・・」
立花 葵「柳君」
立花 葵「飲み会のときは男子のフリに付き合ってくれてありがとう」
立花 葵「でもこれ以上は・・・」
  そのとき。
立花 葵「っ!」
柳 純也「どうした? 急に立ち止まって」
  目が、合った。
  ──合ってしまった。
  あいつと。
  狭い路地の隙間から、私を見つめる目。
立花 葵(いつから見てたの!?)
  あいつを見た瞬間、
  恐怖で何も考えられなくなり、
  ダッ!
  私は駆け出した。
柳 純也「あ、おい!?」
  遅れて走り出した柳君が、あっという間に私に追いつく。
柳 純也「どうしたんだよ?」
柳 純也「・・・ってなんか追いかけてくるやついるぞ!?」
立花 葵「え!?」
  振り返ると、
立花 葵「ひっ!」
立花 葵(く、くる! 追いかけて・・・!)
  怖くて、
  とにかくあいつを振り切りたくて、
  私は薄暗い通りに駆け込んだ。

〇狭い裏通り
柳 純也「はぁ、はぁっ」
柳 純也「ここまでくればもう追ってこない・・・か?」
立花 葵「うん、多分・・・」
柳 純也「何だよあいつ 立花の知り合いか?」
立花 葵「・・・」
柳 純也「もしかして・・・ 男のフリしてるのと何か関係あるのか?」
立花 葵「・・・ストーカーなの」
柳 純也「え?」
立花 葵「高校のときから付きまとわれてて・・・」
立花 葵「大学にいけば大丈夫だと思ったのに、どうやったのか進学先まで調べたみたいで・・・」
  入学前の学校説明会のとき、あいつの姿を大学で見たときは本当にぞっとした。
立花 葵「それで仕方なくこうすることにしたの」
柳 純也「こうって・・・」
立花 葵「男のフリ これなら私だって気づかれないと思ったから」
立花 葵「でもさっき、思いっきり目が合っちゃった・・・」
立花 葵「男のフリしてるってバレちゃった・・・」
立花 葵「私の大学生活、もう終わりだ・・・!」
柳 純也「・・・なんかそれ、ムカつくな」
立花 葵「え?」
柳 純也「立花は何も悪くないのに、あの変態野郎のせいで終わりって」
柳 純也「なあ・・・」
柳 純也「あいつに仕返ししてやろうぜ!」
立花 葵「え・・・ ど、どうやって?」
柳 純也「まあ任せろよ」

〇ネオン街
  さっきの通りに戻ると、まだあいつがうろうろしていた。
柳 純也「おいお前! 俺の彼女に何か用か?」
ストーカー「え!? あ、葵ちゃんだ!」
ストーカー「・・・って彼女!? 葵ちゃんが!? お前の!?」
柳 純也「そうだよ!」
ストーカー「な、何言ってるんだ! そんなの嘘だ!」
ストーカー「葵ちゃんのことは僕が一番よく知ってるんだよ!」
ストーカー「か、彼氏がいないことだって・・・!」
柳 純也「いるんだよ! 現実見ろ!」
柳 純也「葵は俺にベタ惚れなんだよ!」
柳 純也「な?」
立花 葵「へ?」
立花 葵「う、うん!」
柳 純也「葵とは高校の頃からラブラブのヤリまくりなんだよ!」
立花 葵「え!?」
柳 純也「葵のあんな姿もこんな姿も全部俺のもの!」
柳 純也「見ていいのは俺だけなんだよ!」
柳 純也「わかったか!?」
立花 葵「ちょ、ちょっと柳君! 周り、人たくさんいるから!」
立花 葵(変なこと言わないで!)
ストーカー「う・・・うわ〜ん!」
立花 葵「!?」
ストーカー「葵ちゃんがそんなふしだらな女だったなんて!」
ストーカー「僕の葵ちゃんが〜!」
ストーカー「ぐすっ もう葵ちゃんなんて知るもんか!」
ストーカー「二度と僕の前に現れないでくれ!」
立花 葵「現れないでって・・・」
立花 葵「勝手に付きまとってたのはそっちでしょ!?」
ストーカー「うわ〜ん!」
  ストーカーは柳君の言葉を簡単に信じ、
  号泣しながら去っていってしまった。
立花 葵(な、なんて思い込みが激しい人なの)
柳 純也「よし! これで大丈夫だろ」
柳 純也「な? よかっただろ?」
柳 純也「俺っていうボディーガードがいて」
立花 葵「う、うん」
立花 葵(正直、さっき変なこと言い出したときはどうしようかと思ったけど)
立花 葵(でも、これで長年の悩みから解放されたんだ・・・)
立花 葵「ありがとう、柳君 助かったよ」

〇駅のホーム
柳 純也「ふう・・・」
  立花が電車に乗ったのを見届けて、息を吐く。
柳 純也(立花の彼氏か・・・)
柳 純也(本当にそうだったらいいんだけどな)
柳 純也(・・・立花を追いかけてわざわざこの大学にきたんだ)
柳 純也(あいつはまったく俺の気持ちに気づいてないみたいだけど)
  この片想い──
柳 純也(絶対実らせてみせるぜ!)

コメント

  • ストーカーに怯える彼女がかわいそうでしたが、無事撃退できてよかったです!
    こんなにかっこいい彼なら、好きになってしまいそうですが…まだ片思いなんですよね。がんばれ!

  • 彼が彼女の永遠のボディガードになる日も近い気がしますね。
    彼の男気あふれる姿に、とてもユンとしました!素敵な物語ありがとうございます!

  • 柳くん、ザ・ボディーガードって感じでかっこよかったです!彼女は気づいてないけれど、好きな子は守りたい。そんな健気な気持ちにキュンとしました。
    それにしてもストーカーとは……葵ちゃんのこれまでが気の毒ですが、きっとこれからのキャンパスライフは彼が居てくれるから安心ですね!
    私もこんなボディーガードが欲しいっ!笑

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