数多の表裏の中でも

夕凪 灯莉

なぜ私を選んだのかということ(脚本)

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夕凪 灯莉

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〇通学路
  これははるかが幼稚園の夏の頃に体験した話だ。
  公園から家の帰り道で
  ある猫が溝に落ちて、負傷してる黒猫がいた
三木遥(幼稚園の頃)「ちょっとまっててね」
三木遥(幼稚園の頃)「溝にハマってるね・・・」
三木遥(幼稚園の頃)「今、助けてあげるからね!」
三木遥(幼稚園の頃)「う〜ん!!」
三木遥(幼稚園の頃)「やっぱりなかなか大変だな・・・」
  猫は溝にピッタリとは待っており、子供の力ではてこでも動かないほどだった。
  この時、猛暑ですごく暑かった。
三木遥(幼稚園の頃)「あっ!」
三木遥(幼稚園の頃)「暑いよね・・・」
  だから、公園の水を手一杯におわん型に救い、はるかは黒猫に舐めさせた。
三木遥(幼稚園の頃)「水、猫ちゃんどうぞ・・・」
こんぶ「ぺちゃぺちゃ」
こんぶ「にゃぁ〜ん」
  どう取りだそうにも苦戦し助けを叫んだ。
三木遥(幼稚園の頃)「誰か助けてください」
三木遥(幼稚園の頃)「誰か〜」
  通行人は見て見ぬふりの人が多かった。
三木遥(幼稚園の頃)「あの!」
通行人「急いでるから、ごめんね」
三木遥(幼稚園の頃)「あっと・・・」
三木遥(幼稚園の頃)「家で電話してみるね」
  もう一度水を黒猫に飲ませて
  家からツナ缶と、救急車の要請を済まし
  公園に戻ったはるか。
  そして救急隊に黒猫を助けて貰うことが無事にできた。
三木遥(幼稚園の頃)「良かったね」
  顔は覚えていないけれど、嬉しそうな声で喜ぶ女の人のことをはるかは
  時々思う。
女性「ありがとう。あなたが助けを呼んでくれたのね」
女性「もう一度礼を言うわ」
女性「こんぶを助けて頂きありがとうございます」
  お姉さんははるかの頭に手を置いて、優しくポンポンした。
女性「暑かったよね〜〜」
女性「頑張ってくれてありがとう」
女性「見捨てないでくれてありがとう」
女性「こんぶ、この人に出会えて良かったね〜。よしよし!!」
こんぶ「にゃぁぁん」
  それが今でも私が誇れる昔の思い出だ。

〇女の子の部屋(グッズ無し)
  じゃあ、今の私はどうだ??
  私は助けを求める人の事を・・・
  助けられているのか・・・
  見捨てないでちゃんと
  見つけられているのかなって
  答えはNOだ。
  いつからか、あの時の通行人のような人達がたくさんいることに気づいた。
  自分にいつもこんなふうに慰め、今日も床に就く。
三木遥(人間はどうせ自分本位で生きるものだ)
三木遥「Zzz・・・」

〇幻想空間
三木遥「えっと・・・」
三木遥「ここはどこ??」
天女「ハロー✨」
天女「君の夢の中に入って喋ってるよ〜!」
三木遥「えっと?」
三木遥「誰ですか?」
天女「君のデータ調べさせてもらったの〜」
天女「藍!!」
三木遥「あっ、えっと・・誰?」
藍「はい。天女様!」
  天女ははるかに本を見せる。
天女「これはあなた三木遥の今までの人生記よ!」
天女「私たちが暮らしてる天界で管理してるの!」
天女「藍、持ってきてくれてありがとう!」
天女「あっ、言ってなかったけど、名前は天女。よろしくね!」
三木遥「で、なんなんですか?」
天女「でっかく、!! 人、めっちゃ信用しないって書いてあって・・・」
天女「そんなにって思った」
三木遥「突然、なんですか?」
天女「寝付き良すぎ笑って書いてあんね」
「からかうの好きですねー」
三木遥(なんかこの鳥と揃ったな)
天女「でも、あなた」
天女「なんで??」
天女「純粋でピュアピュアな」
天女「可愛いあなたどこいっちゃったのよ〜〜??」
三木遥「いえ・・・」
三木遥「いや、自分は・・・」
天女「この書には黒猫を助けた幼稚園の頃 あの女の人と会えた出来事」
天女「が遥自身の大切な思い出。って書いてあるよ?」
天女「素敵じゃない」
天女「あなたが人を信じなくなったのは」
天女「あっ!ピュアな思い出封じるってことはさ・・・」
三木遥「えっと・・・さっきからなんですがなんでそんな馴れ馴れしいんですか」
藍「やっぱりそう思うよな・・・」
藍「でも天女はこんな性格なんだ。許してやってくれ」
天女「そんなに馴れ馴れしいかしら?」
三木遥「人から信用してもらえても」
三木遥「やっぱり自分には何もかえってこないことが多いし」
三木遥「でも、年につれて、欲が出てきてこんな自分が嫌になってくるみたいな・・・」
天女「ふ〜ん」
天女「まぁ、見返りを求めたい気持ちは誰にでもあるわね」
天女「わかるわ」
天女「人を信用出来なくなったと言うよりかは」
天女「行動することを躊躇してるってとこかしら?」
天女「まぁ、少しだけ話がそれちゃったけれど」
天女「ちゃんとあなたに話したいことがあるのよ」
天女「あなたに会いたいって言ってる人がいるの」
天女「絶対に申し訳ないことを言っていること、承知で言わせてね」
天女「あなたの体をこの世に未練がある人に貸してあげることは出来るかしら?」
天女「私は依頼人に依頼されて」
天女「あなたの夢の中で交渉をしているわ」
天女「まだ生きて想いを伝えたいと」
天女「あなたの体に死んだ方の魂を宿して」
天女「現代世界で想いを伝えたいという想いを叶えているの」
天女「犯罪者や極悪人はこの依頼はできないようになっているから安心して!」
三木遥「私を利用しようとしてる?」
天女「そうよね・・・」
天女「そう考えるのは普通だわ」
天女「だって」
天女「この子!」
天女「凄いひねくれてるんですもの。わすれてた」
藍(笑顔でサラッと悪口なんだよなぁー)
天女「じゃあ依頼者のファイルの内容を一回聞いてから判断してちょうだい」

〇森の中
  今あなたと喋ってる一週間前の話。
  私の住処はとても森でね
  願いを叶えたい方は、私を尋ねて歩いていかないといけないの
天女「坊や、ここまで歩いてきたの?」
  彼はこくんと頷き、こう言ったわ
  傷だらけの足が私の住処まで来た過酷さを物語っていたわ。
沖田幸樹「ここに行けば現代世界に行くことが叶うかもしれないって言われたんだ!」
  依頼者の男の子は私にこういったの。
沖田幸樹「僕、今年のお母さんの誕生日」
沖田幸樹「1週間後の7月7日に」
沖田幸樹「祝ってあげたいんです」
沖田幸樹「どうか天女様」
沖田幸樹「ご慈悲をください」
沖田幸樹「お願いします」
天女「なにかあなたの宝物と引き換えの決まりになっているのだけど」
天女「あるかしら?」
沖田幸樹「えっ・・・」
天女「ないわ・・」
  ないわよねって言おうとしたの。私
沖田幸樹「ずっと持ってたお守りです」
沖田幸樹「これでどうでしょうか?」
天女「もちろんいいわ」
天女「オーダー、入りました!!」
藍「はいよー」
藍「まただ」
藍「その・・・この注文入ったみたいな小芝居、やめません?」
天女「どうして!? 楽しいじゃない?」
藍「あなたは楽しいかもしれないが!少し恥ずかしい・・・」
天女「楽しくないの?」
藍「あっ・・・天女様・・・」
藍「楽しいです・・・」
沖田幸樹(このやり取り、日常茶飯事なんだろうな)
沖田幸樹(仲良しだなぁ)

〇図書館
  契約は成立して
  依頼人と取り憑く人の書を探しに行った。
天女「取り憑く人間を探さないと行けないの」
天女「この書物庫から」
天女「探して来てね」
沖田幸樹「分かりました」
  1時間後・・・
沖田幸樹「会いたいと思っていた方がいました」
  それが、はるかちゃんの書だったのよ。
沖田幸樹「この写真のお姉さんに」
沖田幸樹「会って一緒に共有出来たら」
天女「分かったわ」

〇幻想空間
天女「それで今に至ってるわ」
天女「お守りはこれよ」
天女「手を出して」
  「元気でいられますように お守り」の文字が一言一言縫われている。
  はるかは手作りのお守りであることがすぐに分かった。
天女「このファイルを見てもらえればわかると思う」
天女「その男の子の正確な情報・・・」
天女「嘘は断じて言ってないわ」
三木遥「なんか急に現代的になった」
天女「亡くなられた方はそのファイルに統一されているの」
  「故 沖田 幸樹(8)」
  「6歳に病魔に蝕まれた」
  「幸樹くんには夢があった。」
  「お母さんと旅行をして、美味しいもの食べて楽しかったねって言い合う。」
  「お母さんのような愛の溢れる家庭を作るんだとそれが幸樹くんの夢。」
  (以下略)
  はるかは全部、読み終わり、ため息をつく。
三木遥「はぁ〜」
三木遥「どうして、素敵な希望に溢れた子が・・・」
三木遥「どうして私みたいなのが生きれて・・・」
天女「そんなことない」
天女「よしよし・・・」
天女「こんなに人のために泣ける」
天女「あなたはとても素敵よ・・・」
天女「たくさんの希望を持っていた。8歳ながらにしてね」
天女「人を信用することはきっと生きていく度に」
天女「歳をとる度に難しくなっていくものよ」
天女「だけれどこれだけは言わせて」
天女「幸樹くんは、」
天女「あなたを選んだのよ」
天女「数ある書の中から・・・」
天女「その意味が分かっているはずだわ。あなたに・・・」
三木遥「わたしのこと、完璧だって思ってるのかも・・・」
天女「違うわ」
天女「この人に会いたいって言ったの」
天女「こんな自分本位なわがままを」
天女「一緒に分かち合えたらって・・・」
天女「会うより、取り憑く感じになるのだけれど・・・」
天女「本当は、私が身代わりになるべきなのだけど、人手が足りなくて・・・あなたに」
天女「頼んでしまっていることも事実」
天女「申し訳ないわ・・・」
三木遥「1日だけ時間を貰えたり出来ますか?」
三木遥「ちゃんと決めたい。自分の意思で」
天女「もちろんよ」
三木遥「ありがとうございます」
  (続)
  次回
  幸樹は、なぜ遥に
  託したいと思ったのか・・・
  遥の選択は・・・?
  「自分の思うままに一歩ずつでも」
  次回もお楽しみに。

次のエピソード:【毎週更新】自分の思うままに一歩ずつでも

コメント

  • 興味深いストーリーで最後まで楽しく拝見させて頂きました。人の想いと考えは時にちがっていて自分がわからなくなるような、、、会話のテンポもよかったです。

  • 野良猫のお世話しているんですが、その活動をすることで自分の心が満たされる気がします。見返りを求めたりするのは、人間の煩悩のようなもので誰にでもあるものだと思います。天女様からの依頼を引き受け、彼女に前向きな気づきがあればと願います。

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