破邪の拳 ~ニート武道家の地下格闘技トーナメント~

武智城太郎

第六話 温泉宿と開会式(脚本)

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武智城太郎

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〇沖合
  穏やかな海──

〇小型船の上
青馬文彦「潮風が気持ちいいな」
  定期船の小型フェリーが海上を進んでいる。
青馬文彦「お、見えてきた!」
青馬文彦「あれが大会の会場か・・・」

〇島
  瀬戸内海に浮かぶ小島の一つ。
  御湯ヶ島──

〇田舎駅のロータリー
青馬文彦「いちおう観光地なんだな」
青馬文彦「へ~温泉がメインなのか」
  観光案内板には、♨マークがいくつも描いてある。
青馬文彦「ん? なんだここは? 中心地から外れたところに・・・」
青馬文彦「ウサギもいるのか!? 大会が終わったら行ってみよう!!」

〇温泉旅館

〇旅館の和室
  ガツガツガツ!!
青馬文彦「地元の海の幸、最高!」
青馬文彦「次は風呂だな」

〇露天風呂
青馬文彦「ふ~最高・・・!」
青馬文彦「絶景かな、絶景かな」
  眼前には、美しい瀬戸内海が広がっている。
青馬文彦「これがぜんぶ運営持ちでタダとは。選手に選ばれて、ほんとうに良かった・・・!」

〇温泉旅館

〇旅館の和室
青馬文彦「うまい! 夕食の海の幸も最高!」
青馬文彦「さあて、まだまだこれからが本番だ。 旅館の夜のお楽しみといえば──」

〇ゲームセンター
青馬文彦「やっぱり、ゲームコーナーだよな」
青馬文彦「さあて、何からやるかな」

〇ゲームセンター
斗死貴「おし、やったぜ!」
  クレーンゲームで商品をゲットし、青年は快哉の声を上げる。
ファン「いいっすか?」
斗死貴「いいぜ」
  ファンに声をかけられ、快くツーショット写真を撮っている。

〇ゲームセンター
青馬文彦「あれはシュートボクシングの絶対王者、斗死貴(としき)だ!」

〇温泉旅館の卓球場
  卓球台があり、褐色の男性が見事なスマッシュを決める。
ロベルト・パウリーニョ「イァイ!」

〇ゲームセンター
青馬文彦「あっちはUFC王者のロベルト・パウリーニョだ・・・!」
青馬文彦「みんな出場選手か。やはり、噂にたがわぬ世界最高レベルの大会だな」
青馬文彦「それはそれとして──」
青馬文彦「まずは、あれから行くか」

〇ゲームセンター
  文彦は、対戦格闘ゲーム『リアル・ファイター3』の台に座る。
青馬文彦「そらそら!」
青馬文彦「よし、パーフェクト勝利!」
青馬文彦「ふん、チョロイな」
  そこへ乱入者があらわれる。対戦台だったのだ。
青馬文彦「ちょこざいな、おれに挑戦する気か」
青馬文彦「シリーズ一作目からやりこんでるヘビープレイヤーだぞ」
青馬文彦「お! なに!? やるな!」
青馬文彦「くそっ! くそっ! ウソだろーっ!」
  ついに二本目も取られて敗北してしまう。
青馬文彦(しかもフィニッシュは、大技のジャイアントスイング・・・!)
青馬文彦「バカな。このおれが・・・!!」
???「ヤダ、もうこんな時間?」
  立ち上がって対面の台から姿を現したのは、まだ十代と思しき少女。
青馬文彦(ま、まばゆい美少女・・・)
夏目ボタン「いい勝負だったね☆」
青馬文彦「あ、ああ・・・」
夏目ボタン「もう行かなきゃ」
青馬文彦「・・・・・・」

〇黒
  そしていよいよ、大会当日──

〇国立競技場
  御湯ヶ島市民体育館。
  正面入り口には、大きな横断幕が出ている。

〇闘技場
  その1Fメインアリーナ。
  普段は室内球技などに使用されているが、この大会のためだけに改装して──
  屋内でありながら、古代ローマのコロッセウムを彷彿とさせる〈闘技場〉を出現させている。
  公にはできないが、大会には複数の大企業がスポンサーについているのだ。

〇劇場の座席
  収用人数はおよそ二千。
  満員の入りで、すでに期待と興奮で熱気ムンムンである。
青馬文彦「けっこう客いるな」
  自分の席をさがしながら、文彦は通路を歩いていた。
  売店で買った軽食を手にし、首から選手用のパスカードを下げて。
青馬文彦「B5の14。ここか」
リングアナ「アーアー、テスト中・・・テスト中・・・」
  会場のスピーカーから、滑舌のいい男性の声が響きわたる。
  観客席の最前列には実況席があり、リングアナがマイクにむかっている。
リングアナ「お待たせしました! これより、〈天下一闘技会〉を開会いたします!」
「ウオオーーーッッ!!!!」
リングアナ「それでははじめに、本大会の最高責任者である実相寺総帥から、開会のご挨拶をいただきます」
  実相寺はリングアナからマイクを受けとると、大仰なほど厳かな態度で、
実相寺嚴三郎「レディース&ジェントルメン!  今宵この場所にて、ワールドナンバーワンストロングファイターが決定する!」
実相寺嚴三郎「グレートでエキサイティングなファイトを期待したい。サンキュー、メニーメニーピーポー!」
「・・・・・・・・・」
  観客は、判断に困る寒いノリにちょっと戸惑うも、
  とノリで拍手する。
リングアナ「なお、優勝者には賞金五百万円が贈呈されます」
青馬文彦「よし!」
  文彦は軽くガッツポーズをとる。
リングアナ「それではみなさん、巨大スクリーンにご注目ください!」
「おおおーーーっ!!」
リングアナ「全16名の出場選手も、ここで初めて対戦相手を知ることとなります」
リングアナ「それでは第一試合に出場する、夏目ボタン選手とブルース・カトー選手は、すぐに試合の準備をしてください!」
青馬文彦「ふうん、俺は第二試合からか」
青馬文彦「残念ながら雷神拳の完成はならなかったが、相手が誰であろうと破邪神拳は無敵だ」
青馬文彦「優勝は堅いだろう」

〇黒
  つづく
  次回予告
  
  第七話 女子高生VSパチモン・リー
  
        乞うご期待!!

次のエピソード:第七話 女子高生VSパチモン・リー

コメント

  • 温泉に入ってる場合か、とも思いましたが、ついにヒロイン登場ですかこれからが楽しみです。

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