おやすみ、ぼくのレモネード

ろさこ

読切(脚本)

おやすみ、ぼくのレモネード

ろさこ

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〇シンプルな一人暮らしの部屋
  深夜0時──
タクミ「おかえり」
タクミ「鍵、自分で開けてきたの?」
タクミ「呼んでくれたら開けに行ったのに」
タクミ「──え? 寝てたら悪いって?」
タクミ「何言ってんの」
タクミ「寝るわけないじゃん」
タクミ「きみと話せる唯一の時間だよ」
タクミ「きみと会えるまで、待ってるよ」
タクミ「──ふふっ」
タクミ「もしかして、今日、いいことあった?」
タクミ「──え? なんでって?」
タクミ「いつもより、なんか嬉しそうだから」
タクミ「俺にも聞かせてよ」
タクミ「今日は、どんなことがあったの?」
タクミ「・・・」
タクミ「──て、照れてなんかない。ほんとだよ」
タクミ「ちょーっと、調子狂っただけで」
タクミ「一緒に暮らしてる感あるなって、思ったんだよ」
タクミ「──!!」
タクミ「きみも照れてる」
タクミ「──照れてるよ、顔真っ赤」
タクミ「さ、それはそうと」
タクミ「今日は何があったのさ」
タクミ「俺に話してごらん?」
タクミ「──え?」
タクミ「クミちゃんが100点?」
タクミ「塾講バイトの生徒で一番勉強嫌いな子だろ?」
タクミ「すげーな」
タクミ「クミちゃんて子も頑張ったけど」
タクミ「きみも、よく頑張ったね」
タクミ「──え? そうでしょ、だって」
タクミ「クミちゃんをしっかりサポートできたってことじゃん!」
タクミ「えらいね」
タクミ「お疲れさま」
タクミ「今日は風呂入って、早く寝な」
タクミ「また明日も、きみの笑顔が見れたらいいな」

〇シンプルな一人暮らしの部屋
  ──午後11時
タクミ「──おかえり?」
タクミ「今日はいつもより早いね・・・」
タクミ「ちょっとちょっと」
タクミ「ずぶぬれだよ!?」
タクミ「メッセくれたら迎えに行ったのに」
タクミ「・・・」
タクミ「どうしたの、そんな顔して」
タクミ「──どうもしないって? 嘘」
タクミ「とりあえずこれ、タオル」
タクミ「このままじゃ風邪ひくよ」
タクミ「何か飲む?そうだ、ホットココアとか・・・」
タクミ「──太るって?」
タクミ「いいじゃん、たまには」
タクミ「──そう?」
タクミ「じゃあ、風呂入っておいで」
タクミ「身体あっためてこいよ、風邪ひいちゃうから」
タクミ「ゆっくり浸かってきな」

〇シンプルな一人暮らしの部屋
タクミ「おつかれ」
タクミ「身体あったまった?」
タクミ「──そう。良かった」
タクミ「──これ?」
タクミ「レモネード」
タクミ「我ながらうまいよ。あったまるし」
タクミ「きみも飲む?」
タクミ「カロリーもホットココアの半分だよ?」
タクミ「──!!」
タクミ「よしきた。きみの分もつくってあげる」
タクミ「はい、どうぞ」
タクミ「──いーえー。どういたしまして」
タクミ「・・・」
タクミ「──美味しいか。良かった」
タクミ「──」
タクミ「今日は──何かあったの?」
タクミ「──え?」
タクミ「そうだね。嫌なことでもあったのかなって」
タクミ「良かったら話してよ」
タクミ「──何言ってんの」
タクミ「嬉しいことや楽しいことも聞きたいけど、」
タクミ「きみのつらいことだって聞きたいし、」
タクミ「一緒に考えていきたいよ」
タクミ「だから、気負わずに話してほしい」
タクミ「そうしてくれたら、俺は嬉しい」
タクミ「──!?」
タクミ「泣かないで」
タクミ「今日は何があったの」
タクミ「──」
タクミ「・・・話したくなかったら、レモネード飲んだら寝よっか」
タクミ「──え? 眠れる気がしない?」
タクミ「どして?」
タクミ「・・・」
タクミ「──そう、研究室で・・・」
タクミ「調査の段取りがうまくいかなかったんだね」
タクミ「──そんなことない。きみのせいじゃない」
タクミ「同期とは、帰るまでに話せたの?」
タクミ「──そっか。会えなかったんだね」
タクミ「──もうダメかもしれないって?」
タクミ「──もう研究室行きたくないって?」
タクミ「待って待って」
タクミ「落ち着いて。泣かないで」
タクミ「・・・まだ同期と話できてないんでしょ?」
タクミ「そしたら朝イチで研究室行って」
タクミ「まず同期と話してみなよ」
タクミ「話してみて、うまくいきそうなら解決」
タクミ「揉めそうだったら、改めて対策考えよ」
タクミ「──そだよ」
タクミ「切り分けてみたら、やることは単純」
タクミ「悩んでるとグチャグチャな気分になっちゃうけどねー!」
タクミ「・・・というわけで」
タクミ「明日、やること決まったね」
タクミ「もう寝れるね?」
タクミ「──何笑ってんの」
タクミ「──気持ちが軽くなった?」
タクミ「それは良かった」
タクミ「きみが寝る前に笑ってくれて嬉しいよ」
タクミ「話しづらいこと、話してくれてありがとね」
タクミ「今日はゆっくりおやすみ」

〇幻想空間
タクミ「恥ずかしくて直接きみには言えないけれど」
タクミ「きみはレモネードみたいだと思う」
タクミ「ただただ甘いホットココアとは違う──」
タクミ「刺激的で、あたたかくてほんのり甘い」
タクミ「そんな気分にさせてくれる女の子は、」
タクミ「きみが初めてだよ」
タクミ「──ふふふっ」
タクミ「いつか、照れずに茶化さずに、」
タクミ「直接言えるときがくるといいな」

〇シンプルな一人暮らしの部屋
タクミ「──もう寝た?」
タクミ「眠れたみたいだね」
タクミ「明日もまた、いい笑顔を見せてね」
タクミ「おやすみ、ぼくの・・・」

コメント

  • …って、言わんのかい、と、すっかり引き込まれていました。目が開いたり閉じたり、丁寧だなぁとびっくりしました。感謝。

  • 優しく包み込んでくれるような彼に、きゅんと来ました。こんな彼がいてくれる彼女は、きっと幸せものだろうなって思いました。素敵な物語ありがとうございます!!

  • 悩みを聞いてくれる彼氏、激しく同意です!
    ホットレモネード、飲みたくなってしまいました!

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