半年後、ワタシは直接「」と言った。

海上怜(元イメア)

半年後、ワタシは直接「」と言った。(脚本)

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〇シックなカフェ
  春
後輩クン「えっ、新しいお客さんがいる!?」
後輩クン「やっているかやっていないか分からない、 このお店に、」
後輩クン「昼から!?」
後輩クン「とんだ物好きも、 いたもんスね・・・・・・」
後輩クン「あっ、やべッ」
後輩クン「マスターそんな目で見ないでください」
後輩クン「冗談ですって・・・・・・」
後輩クン「だから、その手に持ったフライパンを 下ろしてください!!」
後輩クン「ねぇ、ちょっと、」
後輩クン「うわぁぁぁぁっ!!!!」

〇シックなカフェ
  偶々入った喫茶店。
  静かで暖かい場所、
  それが第一印象だった。
  だから、ワタシはびっくりした。
  ちょっとヤンチャそうな男の子の勢いに。
  ポカンとして、その光景を見ていると
  バチッと
  彼と目が合った

〇シックなカフェ
後輩クン「あぁ~~。顔が熱いんだけど・・・・・・」
後輩クン「えっと・・・・・・何かすいません。 騒がしくしちゃって」
後輩クン「とりあえず、いらっしゃいませ?」
  これが、彼との出会いであった。

〇シックなカフェ
  夏
後輩クン「うわ、先輩も色々大変そうっスね」
後輩クン「僕っスか? 僕は、アンタほど頑張っているワケ じゃないんで・・・・・・」
後輩クン「てか、ちゃんと休めてます?」
後輩クン「もうちょっと気楽にいきましょ。 真面目すぎなんスよ、アンタは」
後輩クン「って、マスター・・・・・・ お前はもうちょっと真面目に生きろって、手厳しくないっスか?」
後輩クン「あーもう・・・・・・」
後輩クン「にしても、 前よりかは表情柔らかくなったっスね。 先輩」
後輩クン「だって、今も笑ったじゃないっスか」
後輩クン「それに、 すぐにあだ名で呼んでくれるように なってくれましたし」

〇シックなカフェ
  あの出会いから数カ月、
  年も近かったワタシ達はすぐに打ち解け、
  度々このお店で話す仲になった。
  そして、彼はワタシの事を
  「先輩」と呼ぶようになった。
  その時、彼に言われたのだ。

〇シックなカフェ
後輩クン「ねぇ、何かアダ名付けてくれません?」
後輩クン「僕、アンタの事、先輩って呼ぶんで」
  そして悩んだ末、ワタシは彼の事を
  「後輩クン」と呼ぶことにしたのだ。

〇シックなカフェ
後輩クン「結構、気に入っているんスよ。 このアダ名」
後輩クン「特別って感じがして」
後輩クン「ところで・・・・・・ もうすぐ夏休みッスね」
後輩クン「先輩って何か予定あるんスか?」
後輩クン「えっ、実家に帰る?」
後輩クン「あー、 あれって秋までやってたっけ・・・・・・」
後輩クン「あっ、その一緒に行きたい 展覧会があって・・・・・・」
後輩クン「アンタ、こういうの好きかなって」
  後輩クンは、そう言って
  スマホで美術館のサイトを見せてきた。
後輩クン「じゃあ・・・・・・秋、 秋の連休に一緒に行きましょ。 予定大丈夫そうっスか?」
後輩クン「え、OK?」
後輩クン「よっしゃあ!!」
後輩クン「あっ、すみません」
後輩クン「えっと、楽しみにしてるっスよ。先輩」

〇駅前広場
  秋
後輩クン「あっ、先輩!!こっちっス!!」
後輩クン「全然待ってないっス」
後輩クン「・・・・・・何か、雰囲気がいつもと 違うっスね」
後輩クン「かわい・・・・・・」
後輩クン「えっと、何でも無いッス!」
後輩クン「わー!!忘れて下さい!!」
後輩クン「とっとりあえず、入りましょ」

〇美術館
  館内
後輩クン「先輩、その絵が気になるんスか?」
後輩クン「どれどれ・・・・・・ 「別れ」って題っスか」
後輩クン「何だか、寂しい感じっスね。この絵」
後輩クン「・・・・・・先輩」
後輩クン「もし、僕がここから離れるって言ったら」
後輩クン「寂しがってくれるッスか?」
後輩クン「って、変なコト言ったっスね」
後輩クン「えぇっと・・・・・・」
後輩クン「あっ先輩、 あそこでワークショップやっている みたいっスよ!!」
後輩クン「「作ろう!!  ステンドグラス風キーホルダ―」 だって」
後輩クン「ねぇ、先輩」
後輩クン「一緒に、作りません?折角だし」
後輩クン「目に見える形での思い出が欲しいんスよ。先輩との」
後輩クン「ね、いいでしょ?」
後輩クン「じゃあ、決まりッスね」
後輩クン「早速、行きましょ」

〇休憩スペース
後輩クン「ここを、こうしてっと・・・・・・」
後輩クン「先輩、紐通せないんスか?」
後輩クン「ほら、貸してください」
後輩クン「ん、出来た」
後輩クン「にしても、先輩って意外と 不器用なトコあるっスよね」
後輩クン「馬鹿にはしてないっスよ」
後輩クン「ただ、そういった一面を見れて 嬉しくなっただけっス」
後輩クン「そうだ、先輩」
後輩クン「作ったキーホルダー、交換しないっスか?」
後輩クン「じゃあ、はい」
後輩クン「それを僕だと思って 大切にしてくださいよ」
後輩クン「なーんて、 そこまで思わなくても大丈夫っスけど」
後輩クン「じゃあ、そろそろ帰りますか」

〇駅前広場
後輩クン「先輩、今日は楽しかったっスか? 息抜き出来たッスか?」
後輩クン「アンタが楽しかったなら、僕は満足ッス」
後輩クン「・・・・・・先輩」
後輩クン「僕、アンタに言わなきゃいけない事が あるんスよ」
後輩クン「僕・・・・・・」
後輩クン「僕は、」
後輩クン「来年、海外に行く事が決まったんスよ」

〇黒
  冬

〇綺麗な港町
  後輩クンは、海外に行くと
  ワタシに告げてから、
  ワタシの息抜きの為と称して
  遊びに誘ってくることが多くなった。
  ワタシは、そんな後輩クンの
  『思い出作り』に付き合った。

〇海辺
後輩クン「行くのが、 何だか嫌になってきたッス」
後輩クン「なんでって・・・・・・」
後輩クン「だって、先輩とこんなに頻繁に 会えなくなるじゃないっスか」
後輩クン「そりゃ、今生の別れ じゃないっッスけど・・・・・・」
  遊ぶ度、こんな会話が繰り返される。
  楽しい時間は早く過ぎ去って、
  とうとう・・・・・・

〇空港の待合室
後輩クン「寂しいっスか、先輩?」
後輩クン「えっ、ちょっ、泣かないでくださいよ」
後輩クン「あーもう、 こっちまで泣きたくなるじゃないっスか」
後輩クン「偶々だったかも知れないっスけど、」
後輩クン「喫茶店にアンタが来てくれて 良かったっス」
後輩クン「たった1年でしたけど、 僕は楽しかったっスよ」
後輩クン「って、もう時間ッスね」
  そう言って、後輩クンは去っていく。
  すると、急に振り返って
  爆弾を落としていった。
後輩クン「あ、一個言い忘れてた」
後輩クン「先輩、好きです」
後輩クン「これ、僕の一世一代の告白っスよ!!」
後輩クン「返事は、帰って来た時直接聞くんで!!」
後輩クン「そんじゃ・・・・・・また・・・・・・」

コメント

  • 友達以上恋人未満って、まさにこのことでは?と思える作品でした!
    付き合ってないからこそ、この距離感は……?と、後輩クンの台詞だけの展開にも関わらずらヒロインの悩みや不安まで伝わってきました。
    そして最後の彼のセリフに、ヒロインはまた半年間ドキドキしながら、不安も悩みも希望も色んな気持ちを抱えて過ごすんだろうなぁ、と。半年後が待ち遠しいですね!
    素敵なお話をありがとうございました!

  • 徐々に距離が縮まっていて、旅立つ前にはもはや、つき合ってるんじゃない?と思うくらいの2人なのに、直前に好きと言うなんて、後輩クン、あざとい!
    「かわい」って、言いかけるのが好きです。

  • 返事はどうなったんでしょうか!?
    聞くのは野暮ですね 切なくも温かい作品でした

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