Paleorium~古生物水族館の飼育員~

芝原三恵子

第20話 古生物水族館(脚本)

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芝原三恵子

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〇水族館前(古生物水族館ver)
男性「こっちだよ、行こう」
女性「えーなにココ? 古生物・・・水族館? それなら駅前にもっと大きなのがあるじゃん」
男性「ここじゃなきゃダメなんだって! 世界のどこにもない生き物が見れるんだから」

〇実験ルーム
女の子「ねえねえ、パパ! あれなにー?」
父親「三葉虫だよ。 すごいな・・・本当に生きてる」
男の子「あー、これパパの部屋で見たことある!」
父親「そうそう、パパの大事なコレクションと 一緒の形だなー」
母親「ちゃんと整理して飾るならいいんだけどね」
父親「片付けはしてるだろ・・・ キミはあんまり興味ない?」
母親「うーん、ダンゴムシと一緒じゃない?」
男の子「ダンゴムシかっこいいよね!」
女の子「あたしも好きー」
母親「まあ、あなたたちが好きなら・・・あら?」
父親「どうした」
母親「奥の水槽がキラキラ輝いてるの。 どうしてかしら」

〇実験ルーム
女性「ねえねえ、これすごい!」
女性「ちっちゃい虫みたいなのが、 全部キラキラ光ってる!」
男性「マルレラ、っていう生き物らしいな」
男性「ふーん、化石までキラキラしてるんだ」
女性「あれ? 隣のこっちは化石じゃなくて、 本物の宝石?」
スタッフ「そちらはオーナーが特別にデザインした、マルレラのジュエリーです」
スタッフ「脚はプラチナ、ツノ部分は黒蝶貝の螺鈿細工となっております」
女性「すごーい・・・きれー・・・」
男性「これ、一体いくらするんだ? 値札のところに、ゼロがむちゃくちゃ並んでるんだけど」
女性「めっちゃSNS映えしそう!」
男性「おい、勝手に写真とるなよ」
スタッフ「構いませんよ。ぜひ、古生物博物館のタグをつけて、アップしてください」
女性「ありがと! これ絶対バズるって」

〇実験ルーム
男の子「こっちも見ようよ!」
父親「はいはい」
女の子「あれーここはお魚さんばっかり?」
母親「魚のご先祖様が並んでるみたいね」
男の子「ちっちゃーい」
父親「確かに、このあたりは地味だな」
男の子「ねえねえ、 あっちにすごくおっきいのがいるって!」
女の子「ほんと?」
母親「ふたりとも、待ちなさい!」

〇大水槽の前
男の子「あれー・・・?」
女の子「おっきいけど・・・」
男の子「あの子だけだね」
父親「アノマロカリスか。すごいけど、 確かに一匹だけだと寂し気だな」
生島宗吾「みなさん、古生物博物館へようこそ。 私は飼育員の生島です」
生島宗吾「これより、 大ホールにて解説イベントを行います」
  ふっと大ホールの明かりが暗くなった。
  同時に、大水槽が明るく浮かび上がる。
生島宗吾「今大水槽を優雅に泳いでいるのが、カンブリア紀に出現したアノマロカリスです」
生島宗吾「当時の生き物では飛びぬけて大きく、 まさに生態系の王者でした」
生島宗吾「水槽には、 彼以外の生き物の姿はありません」
生島宗吾「ですが、本来彼が生きた場所は命にあふれた、非常に豊かな所でした」
生島宗吾「信じられませんか? ではこれから、 カンブリアの海を蘇らせてみせましょう」
生島宗吾「まずは・・・下を見てください」
  ぱっ、とホールの床に赤やオレンジのサンゴのような生き物が出現した。
生島宗吾「原生の海綿動物です。 おや・・・その上を何かが歩いてきますよ」
  今度は、体長1メートルほどに拡大されたハルキゲニアが出現した。
  独特のゆらゆらした動きで、
  ゆっくりと観客の間を歩いていく。
生島宗吾「彼はハルキゲニアですね。 体長3センチほどの小さな生き物ですが、 特別に大きな姿で来てもらいました」
男の子「うわーなにこれ、へんてこー!」
生島宗吾「へんてこな生き物は他にもいますよ。 見てください、 今度は三葉虫たちが行進していきます」
  ハルキゲニアとは反対方向から、
  何匹もの三葉虫がやってきた。
  彼らもハルキゲニアと同じ倍率で拡大されている。
生島宗吾「海にいるのは、 へんてこな生き物だけではありません。 宝石のように美しいものもいます」
  手をかざすと映像が切り替わり、
  床一面にマルレラの姿が現れた。
  拡大され、
  光をあてられたツノはキラキラと光る。
女の子「すごーい、光のじゅうたんみたい!」
生島宗吾「上を見上げてください。 すべての魚のもととなった、 ミロクンミンギアの群れがやってきますよ」
  観客の頭上を、何十匹ものミロクンミンギアが群れをなして泳いでいく。
  観客はうっとりとその様子を見上げ・・・。
  ざぶん。
  大きな水音を立てて、アノマロカリスの巨体が群れの中へと飛び込んできた。
男の子「うわああっ」
生島宗吾「エサの姿を見て、 アノマロカリスがやってきましたね」
生島宗吾「ですが、ご心配なく」
生島宗吾「これらはすべて、最新の映像技術を駆使したバーチャルリアリティです」
男性「全部、作り物ってことか?」

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コメント

  • バーチャルで再現だったんですね……悪い予想は外れたようで安心しました←

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