第71話 愛天使よ、永遠に②(脚本)
〇森の中
茂みに身を潜めていたアップルの元に、仲間たちが合流した。
オーキッド「アップル!」
カミーリア「無事でしたのね」
チェリー「よかった・・・」
???「喜ぶのは早い」
「!」
〇空
悪神クローバー「全員、覚悟する時が来た」
アップルの元に駆けようとした愛天使にクローバーが剣撃を放つ。
〇森の中
アイリス「くっ・・・!」
チェリー「きゃぁっ!!」
アップル「みんなっ!」
悪神クローバー「消えろ、アップル!」
緊張して防御態勢を取るアップル。
〇空
そのとき、何者かが上空からクローバーに攻撃を放った。
悪神クローバー「くっ!」
不意打ちを食らったクローバーは地面に落下して転倒する。
〇森の中
悪神クローバー「ビーモン?」
ビーモン「お前は禍を生むだけの男。死ね!」
悪神クローバー「うぅっ・・・」
アップル「優斗さん!」
ビーモン「クローバー、無様な姿を晒せ!!」
ビーモンは悪神クローバーに、強大な悪の衝撃波を放つ。
しかし、銀色の翼に乗ったアップルがクローバーの前に立ち塞がった。
アップル「うぅっ・・・」
悪神クローバー「・・・なに?」
アップル「あなたを・・・死なせはしない!」
悪神クローバー「なんだと!?」
ビーモン「どけ、愛天使アップル! この男だけは許さない!!」
アップル「きゃぁぁぁぁーーー!!」
悪神クローバー「な・・・なぜ俺を庇う?」
アップル「だって・・・だって、あなたは優しい天使の血を持つ優斗さんだもん!」
悪神クローバー「・・・俺が天使の血を持つ?」
ふいに手の中の割れたキーホルダーを
見つめる悪神クローバー。
その瞬間──彼の頭の中に、忘れ去られた記憶が次々に駆け巡った。
悪神クローバー「林檎っ・・・!」
割れたキーホルダーを思わず握りしめる。
悪神クローバー「キーホルダーが、元に・・・戻った?」
ビーモン「アップル、クローバー、 二人とも血祭りに上げてやる!」
アップル「うぅっ・・・」
悪神クローバー「アップル! うおぉぉーーー!」
アップル「あぁっ、クローバー様!」
ビーモン「フッ・・・これでよい」
ビーモン「クローバー、お前が悪神でなくなる時を待っていた」
聖クローバー「なに?」
ビーモン「悪神である、この俺だけがベーザイ様と共に生きていくのだ」
ビーモンが放った衝撃波を、クローバーは聖なるオーラで弾き返す。
聖クローバー「俺は聖(セイント)クローバーだ。 悪魔たちの勝手にはさせない!」
〇魔物の巣窟
ベーザイはホログラムに映るビーモンたちの戦いを眺めていた。
ベーザイ「ビーモンの奴、余計な真似を」
ベーザイ「・・・こうなったら作戦変更だ」
ベーザイは卵の中の大量の魔霊に向かって団扇を扇いだ。
ベーザイ「魔霊ども、宇宙に飛び散る前に、地上の人間どもを悪魔にせよ」
ベーザイ「まずは地球を征圧するのだ!」
〇森の中
林の上空から不気味な咆哮が轟いた。
チェリー「なに? あの獣のような声は?」
バビルンがぎょっとして見上げると、空の彼方に浮かぶ魔船の影があった。
魔船からは夥(おびただ)しい量の黒いオーラが沸き上がっている。
バビルン「や、やばい!」
オーキッド「バビルン? 何?」
バビルン「ベーザイは、養っていた多くの魔霊たちを放出する気だ」
チェリー「どういうこと?」
バビルン「魔霊たちが地上に撒かれたら・・・地球が支配される」
カミーリア「そんな・・・」
アップル「私が・・・止める」
アップル「銀色の翼、女神様のように、私とひとつになって!」
女神「いけません、それは死を意味します!」
アップル「お願い、銀色の翼! お願い!」
銀色の翼は頷くように鳴き声を上げた。
同時に、アップルは自ら銀色の翼の体内に吸い込まれていく。
女神「アップル!」
銀色の翼と一体化したアップルは、森の上空へと飛翔する。
オーキッド「アップル!?」
アイリス「私たちも!」
〇空
女神「林檎、いいえ、アップル。 あなたは死ぬことを・・・」
アップル「厭いません。 でもせめて、人々を救うまでは命を長らえたい・・・」
女神「・・・わかりました。 私に出来る最後の力を与えましょう」
女神「これからはあなたが私の代わりに世界を救うべく勤めるのです」
女神は最後の力を振り絞り、アップルに聖なるオーラを吹き込んだ。
アップル「女神様・・・」
アップルにオーラを注ぎ込むと、
女神の姿は完全に消失した。
アップル「女神さま・・・。 私、命が尽きるまで戦います」
???「させるかぁ!」
隙を突いたホーディが、アップルに急襲してくる。
チェリー「フラワー・ブリザード!」
ホーディ「なに!?」
アイリス「シュクデン・フラッシュ!」
ホーディ「ギィィ~~!!」
カミーリア「バージンロード!」
ホーディ「グオォォ~ッ」
オーキッド「とどめだ! ケーキ──」
ホーディ「俺は、悪神ホーディだ!」
オーキッドが斬りかかる直前。
ホーディは身体に巻きついたカミーリアの炎の布を引き裂いた。
「!?」
ホーディ「お前らなど蹴散らしてやる。 ウオォォォ~~ッ!!!」
逆上したホーディの衝撃波が、愛天使たちをまとめてなぎ倒す。
アップル「みんな!」
ホーディ「食らえ、アップル!」
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