大丈夫・・・うそ

ブルークレヨン

読切(脚本)

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〇和室
お母さん「ごめんね、今夜は賞味期限切れのパン一個しかないの」
私「仕方ないよ、今うちにはお金も食べる物もないんでしょ?」
お父さん「ゴメンな。父さんが借金を抱えたせいで。 悪いんだが、高校を辞めてくれないか?」
私「えっ!お願い!頑張ってバイトをするから高校は続けさせて!」
お父さん「そうか。わかった!父さんも早く新しい仕事を見つけるよ」
私(楽観的なのはわかってるけど、空元気も元気!できるところまで頑張ってみよう)

〇田舎の学校
彼「今日も一緒に帰れないのか?」
私「うん・・・ごめんね。バイトに急いで行かないといけないの。 じゃ、またね・・・」
  前を向いて頑張ると決めたものの、バイト日を増やしたせいで、友達や彼と遊べない。
  勉強時間や就職活動の時間も削られた。

〇スーパーの店内
広鈴「それがさ、あの黒羽さんがレジ打ち間違えたのよ」
広鈴「お客が1万円を出す振りをして、黒羽がよそ見した隙に5千円にすり替えたって聞いたけど、普通気づくよね」
大雅先輩「あ、それ俺も聞きました。今あちこちの商店で多いらしいですよ、その詐欺」
大雅先輩「まぁ、単純な手口だけど、俺たちも気をつけましょう」
私「大雅先輩は今日も遅くまでのシフトですか? 私も今日から11時までなんですよ」
大雅先輩「おっ、頑張るね。 慣れるまで大変かもしれないから、何でも聞いて」
私「はい。よろしくお願いします」

〇スーパーの店内
  夜のシフトは思っていた以上に忙しくてキツい。
私「あ、黒羽さん、お疲れ様でした」
  黒羽さんは、事件の後も落ち込んでる感じはない。
  彼氏に励ましてもらって元気が出たそうだ。
  ラブラブで羨ましいなぁ。

〇スーパーマーケット
私「さあ、帰ろう・・・あ、メール」
彼「どうしても会って話したいから、明日お店まで行っていい?」
私「わざわざ会いに来てくれるなんて、うれしいな♪」

〇スーパーの店内
大雅先輩(なんか機嫌が良さそうだな)
大雅先輩(あっ・・・もしかして)
大雅先輩「こらっ。仕事中にニヤニヤしてたらダメだろ」
私「わっ、ごめんなさい! って、大雅先輩ですか〜びっくりした」
大雅先輩「どうせ彼氏の事でも考えてたんだろ〜」
私「あっ」
大雅先輩(そうだよな・・・彼氏いるよな)
大雅先輩「まったく・・・しょうがないな。 今日会うのか? じゃあ早く帰れるように手伝ってあげるよ」
私「わぁ!ありがとうございます♪」

〇スーパーマーケット
私「これからファミレス行く?」
彼「いや、違うんだ」
私「えっ?」
彼「俺、好きな子ができたんだ。 お前としばらく会わないうちに本当の気持ちに気づいたっていうか・・・」
彼「そもそも、お前とは仲の良い友達みたいっていうか・・・」
私(お調子者だけど裏表のない彼のこと・・・好きなのに)
彼「ごめん」
私「・・・」
  悲しくて悔しくて、怒ってもいいはずなのになぜか何も言えない。
彼「お前は元気が取り柄だから、一人でも大丈夫だろ?」
  その後も彼は何か話していたが、私はただ頷いていた。
  いつの間にか彼がいなくなっていて、心に穴があいていて、やっぱりあんな奴でも好きだったんだなって思った
大雅先輩(・・・)

〇コンビニのレジ
  彼の事は忘れて頑張らなきゃ。
客「これ、くれ」
私「はい。5千900円です」
  その時、お客が小銭をじゃらじゃらと落としてしまった。
  二人で拾った後、5千900円をレジに入れようと・・・
大雅先輩「お客様。今、5千円札と千円札をすり替えましたね?」
客「ま、間違えて出しただけだ」
  お客はオドオドしながら、後ずさりし、逃げようとした。
警備員「お客様、こちらでお話を伺わせてください」
  こうして私は先輩のおかげで被害にあわずにすんだ
私「大雅先輩、ありがとうございます!助かりました」
大雅先輩「いや、犯人が捕まって良かった。 ところで、ずっと顔色が悪いよ。疲れてるんじゃないか?」
大雅先輩「大丈夫?無理しない方がいいよ」
  それからも先輩は毎日色々手伝ってくれた。

〇スーパーの店内
私(今日は大雅先輩、お休みかな?)
  ある日、そんな風に先輩を探す自分に気がついた。
  失恋したばっかりなのに先輩の事を気にするなんて・・・
私「だめだ。仕事頑張ろう!」
大雅先輩「聞こえたよ〜気合い入ってるな」
大雅先輩「元気でよろしい。 あ、後で一緒に休憩取ろう」

〇更衣室
大雅先輩「はい、これ食べて?」
私「ええっ!これは人気のビックソフトクリーム!」
大雅先輩「俺のおごり。 ここまで倒さないで持って来るの、結構大変だったよ」
私「わ〜すごい!」
大雅先輩「いつも頑張ってるな。 ゆうちゃんを見てると元気が出るよ」
私(えっ?先輩、今私のこと名前で・・・)
大雅先輩「ほら、口開けて。あーん」
  こ、この笑顔は反則だ
  私は慌ててソフトクリームを受け取ろうとしたんだけど・・・
大雅先輩「あっ!」
私「わっ!」
  ベチャッ!
  ソフトクリームは先輩の顔に倒れてしまった。
私「ご、ごめんなさい!」
大雅先輩「いいよ、いいよ」
大雅先輩「クリームパックでお肌ツヤツヤ!」
私「なんですか、それ!」
  二人で爆笑しながらクリームを拭き取る
大雅先輩「やっぱり、ゆうちゃんが笑ってるとうれしいよ」
  それまで爆笑していたのに、なぜか私は胸が苦しくなって、涙が出てきた
私「せ、先輩・・・私、大丈夫じゃないです」
  先輩はクリームの付いた手を私に伸ばしそうになって止めた
大雅先輩「うん。辛いよな。よく頑張ってるよ」
  私は自分で涙を拭ったけど、手に付いたクリームが目に入ってしまった
私「痛たた・・・」
大雅先輩「大丈夫か?」
私「大丈夫です・・・うそ、大丈夫じゃない。 いえ、やっぱり大丈夫」
大雅先輩「ぷっ!」
私「だって痛くて、え〜ん!」
  その後二人で顔を拭き合いながら、泣き笑いした。

〇水玉2
  大雅先輩に対するこの気持ちが、恋かどうかはわからないけど
  今日も先輩の笑顔に癒されています
私「大雅先輩、お疲れ様〜」
大雅先輩「お疲れ様〜」

コメント

  • 爽やかな風を感じました。急発展させない抑えた感じも、リアル、大人、抹茶? 上品さ、そんな読後感で快でした。感謝。

  • 先輩、主人公ちゃんの事をよく見ているなと、全体の流れを通して感じました。きっと主人公ちゃんと先輩の新しい物語がこれから始まることでしょう!素敵な作品ありがとうございます!

  • 自分が辛い時に寄り添ってもらえないときついですよね…。
    でも、そのおかげで先輩といい感じになって、幸せな感じがしてきて、結果的に良かったのかも。
    先輩優しくて素敵です!

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