それでもいい

ぬこや

読切(脚本)

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〇教室
成瀬 桃「私の名前は成瀬 桃(なるせ もも) 至って普通の高校3年生」
成瀬 桃「いや、至って普通というか・・・」
  ドンッ!!
陽キャ「いってぇ・・・お前何突っ立ってんだよ。 影薄すぎて気づかなかったわ!!」
成瀬 桃「ご、ごめんなさいっ!!」
成瀬 桃「──よくいるタイプの、いわゆる ”陰キャ”ってやつだ」
成瀬 桃「そんな私にも、好きな人はいて・・・」
「おい、成瀬さんに謝れよ」
成瀬 桃「水野先生!?」
水野 明「今お前からぶつからなかった? なんで成瀬さんが謝んなきゃいけないの?」
陽キャ「そ、そうですけど・・・」
陽キャ「あーもうわかったよ!! 成瀬さん、ごめんナサイ」
成瀬 桃「き、気にしないでください。 私が悪いので・・・」
水野 明「いや、成瀬さんは何も悪くないから!」
成瀬 桃「あ、ありがとうございます」
水野 明「!?」
水野 明「成瀬さんは笑顔が似合うよ」
成瀬 桃「え?」
水野 明「何でもない。 さあ、授業始めるからお前ら座れ〜」
陽キャ「はーい」
成瀬 桃「・・・びっくりした」

〇教室
成瀬 桃「お察しの通り、私は水野先生が好きだ」
成瀬 桃「正義感が強くて、私みたいな生徒を放っておけないような優しい人」
成瀬 桃「・・・そんな先生だから好きになった」
水野 明「教科書24ページ開け〜」
成瀬 桃「相手は先生、私なんて相手にしてもらえないことなんてわかってる」
水野 明「じゃあ、この問題を〜 成瀬!」
成瀬 桃「けど、せめて卒業までは、好きでいることを許してほしい」
水野 明「・・・成瀬?おーい成瀬さん!!」
成瀬 桃「は、はひ!!」
成瀬 桃「ごめんなさい。ボーッとしちゃって・・・」
水野 明「ハハッ、なんだよもう。心配させやがって笑」
成瀬 桃「ほんとにごめんなさい・・・‪💧‬」

〇女性の部屋
  しかし、私は受験生ということもあって、ほとんど勉強に明け暮れる日々。
成瀬 桃「水野先生のことは忘れて、受験勉強に集中しなきゃ・・・!」
  それからは、水野先生と話すこともなく、高校生活が過ぎていった・・・

〇教室
  そしていよいよ受験前日になり・・・
成瀬 桃「あ〜緊張する。まだ当日じゃないのにこんなに緊張してどうするのバカ!」
水野 明「成瀬さん」
成瀬 桃「水野先生!お久しぶりです」
水野 明「いよいよ明日だね。緊張してる?」
成瀬 桃「はい。もう今から心臓がバクバクしちゃって・・・笑」
水野 明「ずっと頑張ってきたもんな」
成瀬 桃「・・・」
水野 明「はい。これよかったら貰ってくれないかな」
成瀬 桃「え!?これは・・・チョコ?」
水野 明「うん。試験前に食べると、緊張もほぐれるんじゃないかと思って」
成瀬 桃「水野先生・・・」
成瀬 桃「ありがとうございます。大切に、大切にします・・・!」
水野 明「ちゃんと食べるんだぞ!」

〇桜並木
  その後、私は無事志望校に合格し、いよいよ卒業式の日を迎えた。
成瀬 桃「今日で卒業か・・・。 ということは水野先生とは今日でお別れ」
成瀬 桃「寂しいな」
水野 明「ご卒業おめでとうございます」
成瀬 桃「・・・ありがとうございます」
成瀬 桃「私、水野先生がいたから、毎日学校に行くのが楽しくて・・・」
水野 明「お、おいっどうした!?」
成瀬 桃「もう会えないと思うと寂しくて・・・」
水野 明「・・・」
水野 明「僕はいつでも学校にいるよ」
水野 明「いつでも待ってるから。 だから泣かないで?」
陽キャ「お、おい!何泣かせてるんだよ先生!」
水野 明「待ってくれ!誤解だよ〜」

〇渋谷のスクランブル交差点
  そして、私は大学生になった。
  結局先生には告白もできず、そのまま会いに行くこともできないままだ。
成瀬 桃「水野先生元気かな・・・」
  ・・・風の噂によると、水野先生は同じ高校の教員と良い感じらしい。
成瀬 桃「うん」
成瀬 桃「それでもいい」

〇教室
  私は、恋をしてはいけない相手に恋心を抱いてしまった。
  その子は真面目な子で、いつも自分よりも人のことを考えられる優しい子だった。
水野 明「だから好きになったんだよなあ・・・」
  気持ちを伝えるなんてできるわけない。
  そんなことをしても、その子を困らせるだけだから。
  風の噂によると、その子は同級生の男子に
  告白されたらしい。
水野 明「お似合いだな」
水野 明「うん」
水野 明「それでもいい」
  貴方が幸せなら

コメント

  • それでもいいと、相手が幸せならばいいと思える恋だったんですね。恋よりも。これは愛ですね!とても素敵な物語ありがとうございました!

  • 切ないラストに、ついホロッときました。
    本当に相手のことを想っているからこその結果なんでしょうね。
    二人が結ばれなくても、この先幸せな道を歩んでいけますように。

  • 彼女は大好きな先生が居たから頑張ることができた。その先生に好きだと告白かできなかった。彼女は先生に迷惑かけてはいけないと心の内に秘めてしまった。切ないですね。

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