江戸転生

南実花

エピソード1(脚本)

江戸転生

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江戸転生
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〇本棚のある部屋
龍之介「朝か」
龍之介「よし今日も頑張るぞ!」
  僕は職業ニートをやってる龍之介
  え?仕事で心掛けている事は って?
  そーですねぇ
  普段から”未来”を想定しながら
  転生ものの漫画を読む
  これを大切にしています
龍之介「って言える世界線どこ?」
龍之介「あー俺も異世界転生して、最強の力持ってます人間になって モテてー」
龍之介「しょうもない夢だな」
龍之介「なんだ揺れたぞ!地震か?」
龍之介「酷い揺れだ」
龍之介「隠れな──」
龍之介「あ!」

〇黒

〇黒
「いったぁ」

〇城下町
龍之介「?」
龍之介「なんじゃ この江戸っぽい所!」
龍之介「すっげぇ!」
龍之介「本当に転生したのか?」
龍之介「ふぅ」
龍之介「一旦落ち着け まずは状況確認だ」
龍之介「とりあえずスマホ」
龍之介「セオリー通りなら使えないはず」
龍之介「って 使える」
龍之介「日付は?」
  1855年11月4日
龍之介「本当に江戸じゃないか!?」
龍之介「なるほど俺は江戸に転生して 都合よく服装も変わってるわけだ」
龍之介「便利な世界」
龍之介「次に俺が転生した原因だ」
龍之介「確か俺は現世で地震にあっていた」
龍之介「それがこれの”きっかけ”なら」
龍之介「戻る時もきっと地震だ」
龍之介「えーと、ネットによると」
龍之介「安政江戸地震ってのが7日後で一番近いな」
龍之介「午後10時に江戸の南部で起こるのかぁ ネットすげぇ そもそもなんで電波繋がんだ?」
龍之介「まぁいいや 7日間 江戸を堪能しよ」
龍之介「おーここにお金入ってる!ラッキー」

〇城下町
  というわけで俺は江戸の街を遊び歩いた
龍之介「いやー江戸ってだけで全部楽しい」
龍之介「ていうか俺のこの格好」
龍之介「なんか身分が高く見えるみたいで、めっちゃ優遇される!」
龍之介「この特権を使って、泊まる場所も探そ〜」
  こんな最高の暮らしを続けて5日目の午後
「おいブス!グダグダしてないで働け!」
龍之介「なんだ?」

〇城下町
結の父「顔が悪いんだから、仕事くらいサッとできるようになれ」
結「はい、すみません」
結の父「わかったら、ここ掃除しとけよ」
結「はい」
龍之介「君~大丈夫?」
結「すみませんお見苦しいところを」
結「旦那様はこの家に何かご用事でしょうか?」
龍之介「いや、ただ君が辛そうな顔をしていたから」
結「ありがとうございます」
結「でもしょうがない事なんです 私が美人じゃないから、嫁ぎ先も中々決まらず」
結「父は機嫌が悪いんです」
龍之介「美人じゃない?誰が」
結「私に決まっているじゃありませんか」
龍之介(そっかこの時代は今と美人の価値観が真逆なんだ)
龍之介「僕は」
龍之介「君は・・」
龍之介(可愛いと思うって言え! 躊躇ってないで!)
龍之介「かっかわ」
龍之介(くそっ 女性に対して耐性がないから・・ 頑張れオレ!)
龍之介「あなたは美人だと思います!!!」
結「えっ!!」
結「そんな冗談はよしてください」
龍之介「冗談じゃありません」
龍之介「いっ今からデートしましょう! ほらついてきてください!」
結「でぇと とは何ですか?」
結「お待ちください!!」

〇城下町

〇城下町
結「今日は一日ありがとうございました」
結「とても楽しかったです」
龍之介「俺も!」
龍之介「それで、良かったらなんだけど・・」
龍之介「明日もどうですか?」
結「いいんですか?」
結「こんな日はこれが最初で最後だと・・」
結「嬉しいです!ありが──」
結の父「おっとそれは困るなぁ旦那」
結の父「2日後に嫁ぎに行く娘を連れ回されちゃ」
龍之介「そうなの?」
結「私も知らない」
結「嫁ぐってどういうこと?」
結の父「ついさっき決まった話だ」
結の父「とりあえず明日は見合いだ」
結「嫌だ私嫁ぎたくない」
龍之介「そうですよ! 彼女の意思はどうなるんです?」
結の父「言わなくてもわかるでしょう?」
結の父「女に意見も何もない ただ男の言いなりになればいいだけの話」
龍之介(これが男尊女卑)
結の父「じゃあ失礼しますね」
龍之介「待って!」
龍之介「2日後っていいました?」
結の父「ああ」
龍之介(2日後は地震が起きる日だ)
龍之介「時間は?」
結の父「亥の刻」
龍之介(亥の刻って確か夜9時)
龍之介「場所は」
結の父「この江戸の街南部」
龍之介(それはまずい!)
結の父「もういいか?それでは」
結「龍之介さん!!」
龍之介「結さん」
龍之介「助けなきゃ」

〇田園風景
  2日後江戸の街南部 午後9時頃
龍之介「調べたところによると、この道を結さんが嫁ぎに行くために通るらしい」
龍之介「スマホのマップがこの時代に対応してるなんて便利だな」
龍之介「それにしても随分街から遠いところに嫁ぐんだな」
龍之介「お!来た」
結「嘘?」
龍之介「助けに来たよ」
龍之介「行こ!」

〇原っぱ
龍之介「ここまでくれば大丈夫」
龍之介(──地震が来てもね)
結「何か二日前のことを思い出します」
結「あの一日は本当に楽しかったなぁ」
龍之介「昔のことのように語るね」
結「だってあの後はもう絶望して」
結「何もかもを諦めたから」
龍之介「そっか」
結「私夢があるんです」
龍之介「夢?」
結「私は浮世絵師になるのが夢なんです」
結「でも女性は職を持てないから、諦めてました」
結「夢 叶いますかね?」
龍之介「叶うよきっと」
龍之介(なら必ず守らなきゃな)
結「龍之介さんは夢あります?」
龍之介「俺?」
龍之介「そうだなぁ夢は」
龍之介「今出来た!」
結「今?」
龍之介「うん 君の夢が叶うこと!」
龍之介「叶うかな?」
結「叶いますよ必ず」
龍之介「地震だ」
結「大変!逃げなきゃ」
龍之介「大丈夫!」
結「なんでそんなに冷静なのですか?」
龍之介「・・・」
龍之介(伝えるべきだよな、俺のこと 信じてくれるかな)
龍之介「実は俺──」

〇黒

〇原っぱ
龍之介「──という訳なんだ」
結「納得しました!」
結「あなたとの会話は何か違う生物と話しているようで・・・」
結「でもそれなら納得できます」
龍之介「信じてくれるんだぁ」
結「あっ!」
龍之介「これはもしかしなくとも、帰る合図かな?」
結「地震が起こったから・・ですか?」
龍之介「うん、俺の推論はあっていた」
結「せっかく仲良くなれたのに・・」
龍之介「ごめん」
龍之介「最後に!」
龍之介「俺に夢を与えてくれてありがとう!」
龍之介「そしてあなたのことが好きです!」
結「私も!あなたのことが──」
結「好きです」

〇美術館
結衣「・・介」
結衣「龍之介」
龍之介「え?どこ?」
結衣「何言ってるの?」
結衣「君がどっか連れてけって言ったんでしょ?」
龍之介「あれは夢?」
結衣「ホント何言ってんの?」
龍之介「いや何でもない」
龍之介「でここはどこだ、結衣?」
結衣「美術館」
龍之介「そっか」
龍之介「そういやお前 浮世絵好きだもんな」
龍之介「・・あれ?」
  遠くへ行くあの人へ  結
  安政江戸地震で生き残った一人である女性が描いた浮世絵
  地震で伝えられなかった人への想いが込められているという

コメント

  • 時をかける思いを感じる事ができるとても素敵なお話だと思いました。浮世絵という形になって、巡ってくる部分にロマンがありますね!良い物語ありがとうございました!

  • 遅れながら読ませていただきました!!
    つい面白くて、夢中でタップしてました!
    龍之介君の冷静沈着ぶりがすごい!スマホ使えちゃう設定に笑ってしまいました!

  • 江戸(?)の街をめっちゃエンジョイしている龍之介に最初は笑ってしまいましたが、結との出逢いでの彼の気持ちの変化が素敵だな、と思いました。
    伝えられなかった想い…彼が戻ってきたこの時代で見つけた結からの恋文(浮世絵ですが)に何が描かれていたのか気になります。
    きっと素敵な作品が描かれているのでしょうね😊

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