脱いでください、今すぐに

三日月クロワッサン

脱いでください、今すぐに(脚本)

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〇黒

〇小さい会議室
森宮朔「脱いでください、今すぐに」
  ・・・え?
  2人きりの会議室。
  ドアが閉まった瞬間に告げられた言葉に、わたしの頭は真っ白になった。

〇小さい会議室
森宮朔「はい、終わりましたよ」
  あ、ありがとう・・・
  戻ってきたジャケットを見ると、先ほどまで取れかけていたボタンが綺麗に縫い付けられている。
  森宮君、お裁縫上手なんだね
  (悔しいけど、多分わたしより上手い・・・)
森宮朔「そうですか? これくらい普通だと思いますけど」
  さも当然の様に言い放つこの後輩は、この調子で当然の様に仕事も出来る。
  そんな彼が真面目な顔で「2人っきりで話がしたい」と言ってきた時は、何事かと身構えたけど・・・
  (まさか、わたしのジャケットのボタンを付け直してくれるためだったとは)
森宮朔「朝からずっと気になっていたので、これでようやくスッキリしました」
  気付いてたなら、すぐに言ってくれればよかったのに
森宮朔「女性の服装の指摘を人前でするなんて、相手に恥をかかせるじゃないですか」
  ・・・・・・
森宮朔「なんですか? 人の顔じっと見て」
  いや・・・
  森宮君のそういうとこすごいなーと思って
  彼のこういう気の利くところには、後輩ながら頭が下がる。
  でも、さっきみたいなのはどうかと思うよ
森宮朔「さっき?」
  あんな急に『脱いでください』なんて・・・
森宮朔「ああ・・・」
森宮朔「常に端的で分かりやすい説明を心掛けているので」
森宮朔「先輩もよくそう言っているじゃないですか」
  それは仕事での話でしょ!
  プライベートでもそんなんだと、変な風に誤解されちゃうよ
  現にわたしは、心臓が止まりそうなほど驚いたのだから。
森宮朔「大丈夫ですよ 誤解じゃないんで」
  え・・・?
森宮朔「というか、ちょっとそういう反応を期待してあえてああいう言い方をしました」
森宮朔「俺だって、誰にでもあんなことを言うワケじゃないですよ」
  あ、あの、それってどういう・・・
森宮朔「ほら、ちょっと遠回しに言うだけで伝わらない」
森宮朔「特に、貴女はそういうのに鈍いんですから・・・」
森宮朔「では改めて、端的で分かりやすく本題を言いますね」
  ぎしっと音を立てて、彼がイスから立ち上がる。
森宮朔「好きです」
  え・・・ええ!?
森宮朔「ほら、鈍い」
森宮朔「こんな小さなボタンのことなんて、よく見てない気付かないと思いませんか?」
  う、うん・・・
森宮朔「じゃあそんなにも貴女のことよく見てたのは、なんでだと思いますか?」
  それは・・・
森宮朔「ここまで言わせておいて、分からないフリはなしですよ」
森宮朔「先輩だって俺のこと好きなくせに」
  な、なんで、それ・・・!
森宮朔「見てればわかりますよ」
森宮朔「どれだけずっと見てきたと思ってるんですか」
森宮朔「もう一回言いますから、いつもみたいに端的で分かりやすい回答をお願いしますね」
森宮朔「好きです 俺と、付き合ってください」
  端的でわかりやすいその告白に、わたしは更に端的な言葉で返事をしたのだった。

コメント

  • 誰にでも~というセリフがとてもきゅんポイントが高かったです!最初の言葉から飛ばしていて、こういう後輩キャラはとても好きだな、と感じました!素敵な物語ありがとうございました!

  • いきなり言われると、別の意味でドキッとしますね!
    掴みのアイデア、羨ましいです!

  • 良いお話ですー!!!まさにキュンってしました!!!(o^^o)イケメンで裁縫もできるしかも年下男子、、、最高!!!!

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