読切(脚本)
〇殺風景な部屋
自分「うっ・・・。ここどこ・・・」
それはある退社後の出来事だった。
突然殺風景な部屋で目覚めた私は、あの後あんな事になるなんて、思いもしなかった──。
〇殺風景な部屋
先輩「──で、纏めるとだな。 俺たちは2人纏めてこの部屋に閉じ込められたと」
自分「はい・・・」
先輩「理由も動機も分からない」
先輩「しかも出口も無く、手がかりといえばこの机の上にある紙切れ一枚」
自分「そうです・・・」
先輩「読み上げるぞ」
先輩「『おめでとうございます。あなた達は○万人様から選ばれました。』」
先輩「『ここは、どちらかが羞恥心を抱かないと出られない部屋です。』」
先輩「『人の感情にのみ反応する、特殊な鍵で施錠されています。』」
先輩「『ほかに出るすべはありません。それでは、この非日常を楽しんでください。』」
先輩「はぁ・・・」
先輩「何なんだこの紙は、ふざけてんのか」
自分「お言葉ですが、先輩。これはおふざけなんかじゃないと思います」
先輩「はぁ?」
自分「これは、最近ニュースで騒がれている出られない部屋」
自分「愉快犯の仕業です!」
先輩「知ってる、ニュースぐらい俺もみてる」
先輩「そうじゃなくて」
先輩「よりによってお前と2人で閉じ込められてる、この状況にふざけてんのか。って言ったんだ」
自分「私とじゃ不服ですか!?」
先輩「それは寧ろ・・・」
先輩「いや、当たり前だ!俺もお前も、大事なプロジェクトの最中だ!」
先輩「こんなのに時間をとられてたまるかよ。とっとと出るぞ」
自分「はあ・・・。わかりました」
自分「──では先輩、早速恥ずかしい話をお願いします!」
先輩「はあ!?何で俺が! お前が恥ずかしい話をしろ!」
自分「そんな──!?」
〇殺風景な部屋
自分「はぁ・・・はぁ・・・」
──あれから随分と過去の恥ずかしい話を暴露させられたけど、鍵はびくともしない。
私は何の羞恥心もなく恥ずかしい話をできる、ツラの皮の厚い女だったのだろうか。
だとしたら結構ショックだ・・・。
先輩「──駄目だな、方法を変えよう」
先輩「あのさあ。 お前・・・、彼氏はいるか?」
自分「へっ!? い、居ないです・・・」
先輩「ふーん。じゃあ、今から俺のこと男として意識しろ」
自分「へ!?えっ!?」
自分「そんな急に・・・無理です」
先輩「なに、俺のこと、男としてみれないってこと?」
ムッとした顔をして先輩が近づいてくる──
先輩「俺、結構モテてきたんだけどな──」
後ろへ、後ろへと下がっていったら、やがて壁に背中が当たる感触がした。
ドンッ──
顔の横に両手をつかれる。
(これは・・・いわゆる壁ドンってやつでは!?)
内心私は焦る。
先輩「俺はお前のこと結構好きだし、女としても意識してるよ」
「──!?」
グッと顔が近くなり思わず目を閉じる。
先輩「あはは、顔真っ赤。なんだ、お前も意識してるじゃん」
「!!」
私はあまりの恥ずかしさに逃げようとする。
先輩「おっと、逃さないぜ!」
スルッと抜け出したところで後ろから、ハグされるように羽交締めにされる。
先輩「この部屋は、お前をもっともっと恥ずかしくさせないと開かないんだから」
先輩「さて、次はどうしてやろうか」
先輩は私を抱きしめたまま耳のすぐそばで囁いてくる。
心臓がドクドクとうるさい。
「せ、先輩・・・。 結構もう限界なんですけど」
先輩「だーめ。まだイケるだろ」
先輩は私を抱きしめたままベッドに座らせると、チュッ──とわざと音をたてながら、耳元にキスをした。
「!!」
先輩「ふっ・・・。いつもの威勢はどこいったんだよ」
先輩「こんなしおらしくなるなんて、お前も可愛いところあるじゃん」
ギュッと、抱きしめる腕に力がこもる。
先輩「──お前さ、仕事ではいつも誰にも負けないようにって、無理して頑張って気張ってるんだろ」
先輩「そんな、負けん気が強くて頑張り屋なお前のこと、俺、結構好きなんだ」
先輩「お前をプロジェクトに誘って良かったよ」
(へっ!?)
先輩「もし、良かったらだけど──」
先輩「お前のプライベートも俺にくれよ」
「!?」
そう言うと、先輩は片手で私の顎を持ち上げた。
ググッと、今度こそ本当に顔が近づいてくる。
(恥ずかしい!恥ずかしい! もう限界だ──)
あと少しで唇が触れてしまう、そう思った瞬間──
ガチャッ
鍵の開く音がした。
自分「あっ!?開いた!空きましたよ!先輩!!」
先輩「チッ。良いところだったのになあ」
自分「ええ・・・!?」
先輩「──お前、絶対逃げんじゃねえぞ」
先輩「この返事は、ここを出たら必ず聞かせてもらうからな」
自分「そ、そんなあ──」
ガチャッ──
そうして、部屋を出た私達がどうなったかは、また別の話──。
逃げられない状況下においての、彼の思いきぅた告白に、とてもきゅんと来ました!部屋を出た後の彼らの今後の進展に期待です!
素敵な物語ありがとうございました!
ストーリーにドキドキ感があり良いですね。好きな異性とだったら私もこの部屋に閉じ込められたいです。でも、嫌な奴と一緒なら即諦めて死にます。
こんな鍵の部屋に入れられたらドキドキしますね!壁ドン顎クイで告白って。。
……「ただしイケメンに限る」という言葉が頭によぎりましたがw