だめだけど、だめじゃない。(脚本)
〇黒背景
・・・・・・ねぇ、起きてる?
・・・・・・て、まだか。そりゃまだだよねぇ。
ほら、起きて。起きなさーい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『・・・・・・ねぇ。』
〇黒背景
「『今日、スッ・・・・・・ゴい、イイよ。』」
〇部屋のベッド
──────!!
〇部屋のベッド
哲「おお、起きた起きた」
哲「・・・・・・どしたの、目ェ泳がせて」
哲「なにが、って?・・・・・・ああ、『スッゴくイイ』・・・・・・」
哲「て・ん・きっ」
哲「・・・・・・プッ・・・・・・ククッ・・・・・・」
哲「ククク・・・・・・ふっ、はいはい、ごめんごめん」
哲「ほら、目ェ覚めたでしょ。起きて起きて!」
哲「ぼく特製、朝ごはん定食出来てるからねぇ」
哲「なーに言ってんの。朝はエネルギー摂ってかなきゃ!」
哲「・・・・・・そうそう。わかったら早く、顔洗っておいでね~」
────────────
〇L字キッチン
哲「・・・・・・おっ、さっぱりした顔になったね!オハヨー」
哲「そう!今日は豪華に塩鮭の切り身(特大)まで付いてマース!!」
哲「・・・・・・朝から消極的!しっかり食べて!サービス業は体力勝負なんでしょ~??」
哲「君の仕事は立ちっぱなしの走りっぱなしなんだから・・・・・・」
哲「・・・・・・ふふ。はい、どうぞ」
〇L字キッチン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
哲「・・・・・・えっ、見過ぎ?」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・いや、わかんないかなぁ」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「人がものを食べてる姿って、可愛いじゃない」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・いや、うそ。 て言うか、君だからかも」
哲「・・・・・・ふふっ。やや、ほんとに!」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・からかってないってば!」
〇部屋の扉
────────────
哲「ねーぇ、準備終わったぁ?」
哲「え?なにが無いの?」
哲「それ昨日持って出てたよ?置いてきたんじゃない?」
哲「──だよ。 もー、いっつも寝惚けてるから」
哲「んふ、まーね。よく覚えてるでしょ」
哲「ぼくは君の事なら君より知ってるかも」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・そこまで照れられると、こっちまで照れる・・・・・・」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・てっあれ、もしかしてもう準備出来てる!? ほら、もう出るよ!はやくいこ!」
〇シックな玄関
────────────
哲「あ、ねぇ。これ!」
哲「うん、お弁当。鮭と卵焼きと・・・・・・朝とほとんど同じだけど、ちょっと余っちゃったからさぁ」
哲「──えっ、なんで謝るの!?」
哲「・・・・・・馬鹿だなぁ」
哲「・・・・・・いやっ、そういう意味じゃなくて!」
哲「────あのね。これ、例えばぼくのこのシャツね。君がきっちりアイロンかけてくれてるじゃない?」
哲「おかげでいつも、クリーニングに出したみたいな仕上がり!!」
哲「・・・・・・いやいや、ほんとに。 ぼくが行き届かない片付けもしてくれるし、洗濯だって疲れてるのに全部回してくれるじゃない」
哲「ぼくが早起きと料理が得意で、君が夜更かしとお洗濯が得意で。それだけのことだって」
哲「・・・・・・あは、確かに”夜更かしが得意”はあんまり誉め言葉っぽくないかなぁ」
哲「・・・・・・でもほんとにね。 そんな風に対等で居られる、っていうのも・・・・・・君の事好きな一因と言うか・・・・・・」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
〇黒背景
〇シックな玄関
哲「────・・・・・・エッ!!なんで止めたの!?なんで今!?今する流れだったでしょ!?!?」
哲「・・・・・・ん・・・・・・まぁ、時間はぁ・・・・・・そんなには、ないけどぉ・・・・・・」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・ま、いいや。 今日はぼくの方が帰りが早いしね」
哲「夕食の準備を早めに終わらせたら・・・・・・あとは・・・・・・」
哲「自由!!」
哲「なにを!!しようと!!ぼくの!! 自由!!」
哲「そう、なにを・・・・・・ あっ!待ってって!!」
〇廊下の曲がり角
〇廊下の曲がり角
哲「・・・・・・はぁっ、もお、ごめん!ごめんってばっ」
哲「嘘・・・・・・っでは、ないけど」
哲「・・・・・・・・・・・・ごめんね。君が赤くなるの、かわいいから」
哲「~~っごめん!ゴメンナサイ!」
────────────
哲「──君の好きなもの作って待ってるから、 ・・・・・・早く帰ってきてね?」
哲「・・・・・・うん、いってきます。 君も、いってらっしゃい!」
哲「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
哲「・・・・・・・・・・・・待ってる」
全力で甘やかしてくる哲くんから、包容力というものを感じました。一番最後のセリフに特にきゅんときました!素敵な物語ありがとうございました!
トニカク哲君カワイイ!!
塩鮭の特大切り身とか、朝食で出されたら最高に嬉しい...!!
こんな彼氏さんいたら、毎日幸せだろうなあ。
包容力の塊っていうか、愛がすごく溢れていて、きゅんきゅんしました。わたしも朝定食作ってもらって朝起こされたい!