【第1部・化け物クリエイターズ】エピソード1『創るモノ』(脚本)
〇荒廃した市街地
ゴミを漁る男性「──み、見つげだぁ、、」
男が、無精髭を躍らせ汚物の山からかき出したソレを掲げた。
黄ばんだティッシュにこびり付いた、ソレを。
ゴミを漁る男性「──見つけたぞ! 細胞! ヒトの細胞ぉ!────」
2033年、春。
この荒廃した街で生きるには食糧と、食料と、あとはただただ資金が必要だった。
ひび割れたアスファルトの道路を行く生活困難者は、金となるアルミ・スチールの空き缶の他に新鮮な『ゴミ』も集めた。
ゴミに付着した『DNA細胞』を、彼らは他人《ひと》へ売るのだ。
そして、その買い手の1グループが『イバラキ』に住む、下賤な貧民たるボクたち、
・・・『化け物クリエイターズ』・・・だった。
〇洋館の一室
【2033年、イバラキ。『ヒト腹《はら》 創《つくる》』】
ボクたち『化けクリ』は、動物のDNA細胞から細胞核を取り出し、それを元に命を作り出した。
それは培養液の中で育ち、犬だったり猫だったりに形を成した。そしてその大半は、――変異体《ばけもの》になった。
ツクル「──出来たよ『みれい』。この哀れなタンパク質に、ささっと命を吹き込んでやってよ」
採取された細胞のコアをボクたちは弄る。
その遺伝子情報を書き換え、ベースとなった生き物と同じ種の卵細胞へ組み込み、それを培養、加速度的に成長させる。
けれどこの生命体《にくかい》に知識は無い。誰もが彼らにソレを持たす事が出来ないし、やろうともしない。
けれど、――ボク達は違った。
みれい「口が多い。さっさとやるから黙れ」
ツクル「おお、こわっ」
ボクをテリトリーから追い払うと、その子はおもむろに培養液前のモニターへ座った。
みれい「・・・・・・」
伝播管から話しかけ、PCから連動する電気パルスを、培養タンク内の細胞へ打ち込んでいく。
彼女は細胞から生まれたモノに知識を吹き込む『生命付与者《エンチャンター》』
名を『言霊《ことだま》みれい』という。
ボクらは彼女のおかげで、この終わってしまった世界で金を得ることが出来た。知識持つ化け物を使い、世の中で戦う事が許された。
〇荒廃した街
『イバラキ』の街『ヒタチナカ』は、歩道も車道も崩れ、多くの瓦礫で溢れている。
人々の多くはバラックに住み、一部の裕福な民のおこぼれにあずかろうと、その手に雑巾を握って屋敷の出口を囲った。
ココロ温める桜の並木は倒れ、地に在った根は誰かが煮て食ったみたいだ。
砂場で遊ぶ幼子は、この『ヒタチナカ』に残っていない。
皆、ゴミを探し奪い合っている。
世界が『ホーム』と呼ばれた『4人の家族』に支配された時代
ボクたちは何も持ちえなかった。
進むべき道を教えてくれる父も、笑い愛情を与えてくれる母も、金になる土地も建屋も、胸を張って誇れる苗字も。
父が居た過去があるとするなら、父はアソコ、前方の集積所でゴミを漁っている。
鬱々と呟きゴミ拾う『アレ』は自身が信じた患者に財を食い尽くされた道化だ。
命を救う! と世に立ち上るも、疲弊し債務を抱え、この世の中に負けた『ゴミクズ』だ。
母は、ヨソの男とこのあばら屋を出て行った。
元の苗字は、いい値段で軍の男に買われていった。
無様なボクに残ったのは、何十もの借用書と、たった1人の姉だけ。
苗字を失ったボクは、自身をこう名乗った。眉目秀麗偉大なる父を謳い、
――『ヒト腹《はら》 創《つくる》 』――と。
ボクはあの日殺された親友の仇を討つため、その約束を守るため、
――今日も生き汚く街を歩いていた。
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
この僅かな時間の中にも設定の壮大さが伝わりますね!!
苗字すらない、全て奪われた存在!
そしてゴミから生命を作る。
階層とその反転が感じられるオープニングでゾクゾクします😆
ほしのななかさんこんばんは
こちらは小説版をタップノベル版にしたものでしょうか?
世界観の作り込みが壮大で土台がものすごくしっかりしていて凄いです
化クリの活躍楽しみです
おお…すげー!!!(≧▽≦)🍀大好きなほしのななかさんの作品にヴィジュアルとサウンドが!普通に読んでも面白いのに!鬼に金棒!バケモノクリエイターがさらに化ける!これはおすすめです!未読見体験の方はぜひ!内容は勿論ですが!感動しました!応援してます!