第十五話 「50年後の聖域で怒る人」(脚本)
〇森の中
景介たちは、映子から借りた地図を頼りに聖域の森へやって来た。
映子が来た時から50年の歳月を経て、すでに聖域の掟を受け継ぐ人々はおらず、ただの森となっていた。
森には整備された遊歩道があり、しばらく歩くと開けた場所に出る。
間宮景介「地図だとここにお寺があるはずなんだけど・・・」
ディーシャ・バジュランギ「これがお寺なのか?」
〇山奥の研究所
景介たちの目の前には、コンクリート造りの現代的な2階建ての建物がある。
表札には『Dr.タカミザワ研究所』とある。
間宮景介「お寺のことを聞いてみよう」
ディーシャ・バジュランギ「そだな」
景介たちは建物のドアまでやって来る。
景介がインターホンを押すが、反応がない。
ディーシャ・バジュランギ「留守だな」
間宮景介「そうみたいですね」
奥山ペーターゼン「フッ、呼び出しが生ぬるい」
そう言ってペーターは、インターホンを狂ったように連打する。
間宮景介「ちょっと!」
ペーターの連打に耐え切れず、インターホンの押しボタンが取れた。
間宮景介「どわー!」
奥山ペーターゼン「フッ、生ぬるいインターホンだ」
間宮景介「どうするんだよこれ!」
奥山ペーターゼン「こんなもの放っておけばよい」
間宮景介「ああああ、どうしよう。 とりあえず謝っておかないと」
景介は荷物からメモ帳を出し、ページを破ると、手紙を書き始める。
間宮景介「えーと、インターホンを軽く押しただけなんですが、壊れてしまいましたすいません・・・」
ディーシャ・バジュランギ「景介よ、ワはトイレがしたい」
間宮景介「えっ! この辺トイレなんかありませんよ? 森でするしか・・・」
ディーシャ・バジュランギ「ちょっとトイレ借りてくる」
そう言ってディーシャはいなくなる。
間宮景介「借りるってどこへ・・・?」
バリーーン!!
窓ガラスの割れる音がする。
景介が音のした方へ行くと、ディーシャがテラスのドアガラスから侵入するところだった。
間宮景介「何やってくれてるんですか!」
ディーシャ・バジュランギ「トイレトイレ」
間宮景介「もー!」
景介は手紙に『窓ガラス割られてました、トイレも勝手に使われてました、すいません』と追記する。
ペーターも建物の中へ入っていく。
間宮景介「勝手に入るなって!」
奥山ペーターゼン「フッ、ひとり入ろうがふたり入ろうが同じだ」
間宮景介「お前、絶対に厄介なことするだろ!」
景介も仕方なく建物の中に入る。
〇シックなリビング
研究所の一階部分は住居になっていて、ペーターが物色している。
景介はトイレの近くでディーシャを待っていた。
間宮景介「このタイミングで家主が帰ってきたら言い訳のしようがないよ・・・」
間宮景介「ディーシャさん、トイレまだです?」
ディーシャ・バジュランギ「まーだだよ」
奥山ペーターゼン「フッ、女性のトイレを急かすとは下劣な男め」
間宮景介「だって不法侵入なんだぞ!」
奥山ペーターゼン「びくびくするな。おそらくここの住人は今日の今、ここへ帰って来るというようなことは無いはずだ」
間宮景介「なんでそんなことがわかるんだよ」
奥山ペーターゼン「フッ、ほこりの溜まり具合でしばらくこの部屋を歩いた人間がいないことがわかる」
奥山ペーターゼン「冷蔵庫も食料が入っていない。ビールだけだ」
間宮景介「住んでないってこと?」
奥山ペーターゼン「おそらくな」
ディーシャがトイレから出てきた。
ディーシャ・バジュランギ「じゃあちょっと探検しようよ」
間宮景介「ダメです、すぐに出ましょう」
ディーシャ・バジュランギ「むこうに地下への階段があったよ」
奥山ペーターゼン「フッ、おもしろそうだ」
ディーシャ・バジュランギ「こっちだぜ」
ディーシャとペーターは地下室へと向かう。
間宮景介「ちょっとちょっと・・・」
仕方なく景介も後に続く。
〇地下実験室
階段を下りていくと、地下には研究室があった。打ちっぱなしコンクリートのその部屋には人が入れるサイズのカプセルがある。
カプセルには小窓があり、眠っている女性の顔がそこから見ることができた。
ディーシャ・バジュランギ「これ知ってる! SFアニメに出てくるコールドスリープマシンだよな!」
奥山ペーターゼン「フッ、そのようだな」
ペーターはコールドスリープマシンを見回している
間宮景介「この女の人がここの住人ってことですよね」
奥山ペーターゼン「お寺のこと聞いてみるか?」
間宮景介「さすがに起こせないですよ」
ブシュウウウウウウウウウ!!
空気が大量に漏れるような音がする。見ると、マシンにくっついているはずのホースをペーターが手に持っている。
奥山ペーターゼン「フッ、ホースが抜けた」
間宮景介「何やってんだよペーター! 戻せって!!」
ペーターがホースを取り付けようとするが、冷気が勢いよく漏れているためホースが入らない。
奥山ペーターゼン「ぬう!!」
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途中でティージャーさんの色、紫から黒になってなかった?