微睡みの中で

はるたみあお

微睡みの中で(脚本)

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〇一人部屋
シュウ「・・・・・・」
シュウ「・・・・・・」
シュウ「・・・・・・ね、もう寝た?」

〇一人部屋
  頭の上から声がする。
  狭いベッドに2人。
  この男──シュウに
  抱き締められて眠るのが日課となっていた。
  2人で寝る、しかも抱き締められて、
  なんて正直ありえないと思っていた。
  それが今じゃ安心しきって、
  この腕に抱かれるだけで
  眠くなってしまう────
シュウ「起きてる?」
  ──────。
シュウ「ははっ、眠そうな声」
シュウ「さてはおやすみ5秒前だな?」
  ──────。
シュウ「良いよ、そのままで」
シュウ「俺が聞いてほしいだけ」
シュウ「・・・いや、俺が言いたいだけ、かな?」
シュウ「眠かったらいつでも寝ていいよ。 寝物語くらいの気持ちでさ」
シュウ「自慢じゃないけど、お前の声は眠くなるー ってよく言われてたし」
シュウ「・・・・・・あ、もちろん、 変な意味じゃないよ」
シュウ「男友達から文句言われてたって話」
  あやすように
  背中をとんとんと撫でられる。
シュウ「だから、俺の声が好きだって言ってくれたの嬉しかったなーって」
シュウ「思い出して、噛み締めてた」
シュウ「そんな俺が、今日も最高の眠りをお約束します」
シュウ「・・・だから、朝までこうしてて、ね?」
  ────────。
シュウ「・・・・・・そう、良い子」
  シュウの『おねだり』に
  弱い自覚は、ある。
  添い寝を始めたのだって、
  今だって、そう。
  気付けば、シュウなしでは
  いられなくなってしまった。
  いつも余裕がありそうな彼を見ていると、
  自分だけが溺れているようで、少し怖い。
  ・・・それでも、
  この幸せを手放す気は、少しもないけれど。
  『惚れた方が負け』
  ────その言葉がよく似合う。
シュウ「ね、覚えてる?あの日のこと──」

〇街中の道路
  いつもの街
  通り過ぎていく人々
  繰り返される日々
  何も変わらない
  毎日毎日同じことの繰り返し
???「あの、」
  ────?
シュウ「これ」
  ────!
シュウ「たまたま落ちるのが見えたので」
シュウ「・・・いや、そんなお礼を言われるようなことじゃないですよ」
シュウ「でも、感謝してるなら俺のお願い聞いてくれますか?」
シュウ「俺と────」

〇一人部屋
シュウ「────あの時、」
シュウ「まさか、OKしてもらえると思ってなかった」
シュウ「渡したら、ひたすら「すみません、ありがとうございます」って繰り返してたしさ」
シュウ「絶対ビビってただろ、あれ」
シュウ「あんなにきょどってたのに、 よくOKしたなって思う訳ですよ」
シュウ「その混乱が俺にとってはラッキーだったけど」
シュウ「普通新手の詐欺かよって思うし、 自分でもめちゃくちゃ怪しいって思う」
シュウ「すれ違ったのに”たまたま”ハンカチが落ちたのが見えたとか、」
シュウ「振り返って後ろ姿見てたのバレバレだろ」
シュウ「でも、これ逃したら一生会えないと思って必死」
シュウ「『恋愛は惚れた方が負け』ってよく聞くけど、マジでそれだよ」
シュウ「そんな日からもうすぐ1年かーってしみじみしてました」
シュウ「普段は格好悪くて言えないけどさ、」
シュウ「おやすみ5秒前になってから聞いたこと、いつも忘れてるっしょ」
シュウ「だからちょっとだけ吐き出し」
シュウ「・・・ああ、でも、」
シュウ「ほんとに大好きだってことは、忘れないで四六時中思い知っててほしい」
シュウ「好き」
シュウ「大好き」
シュウ「こんな女々しいことするくらい、愛してる」
シュウ「・・・・・・」
シュウ「・・・・・・」

〇黒
「は~俺も眠くなってきた・・・・・・」
「・・・・・・おやすみ。また明日」

コメント

  • 二人がぎゅっとなっている姿が目に浮かぶようでした!最後のセリフラッシュは、読んでいるこちら側も何だか照れ臭くなりました!素敵な作品ありがとうございます!

  • 狭いベッドにいる二人の情景が瞼の裏に写ります。惚れた方が負け!彼が負け!どうしたって負け!すぐに分かりました。女性は嬉しすぎでしょう。

  • 一目惚れで告白する人も中々いないし、それでいてOKする人も中々いないですよね笑
    そういう面でもお似合いなんでしょうね!
    仲睦まじくあってほしいです!

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