モモのデート(脚本)
〇渋谷駅前
モモ(わたし、モモ! ごく普通の高校生!)
モモ(今日はなんとデート!)
モモ(でも遅刻して全力ダッシュ中!)
モモ「ロウキ君、怒ってるかなあ・・・」
モモ「あ、いた! ロウキく──」
そこには女性に話しかけられている
青年がいた。
女性「それであなたなら──」
ロウキ「・・・そうっすか」
モモ「・・・」
ロウキ「あ」
ロウキ「よー! モモ!」
モモ「ロ、ロウキ君!」
ロウキ「遅かったじゃねえか。 ほら、いくぞ!」
女性「あ、ちょっ──」
ロウキ「たく、遅えよ。 余計なのに絡まれたじゃねえか」
モモ「ごめんなさーい」
ロウキ「まあいいや、どこ行くんだ?」
モモ「えっとね。まずは・・・映画?」
ロウキ「おー」
〇映画館の座席
モモ(ドキドキ)
モモ(ホラー映画になっちゃったけど ロウキくん、楽しんでるかな?)
ロウキ(・・・)
モモ「きゃっ!」
ロウキ「モモ」
モモ(?)
ロウキ「手、握ってやろうか?」
モモ(! うんうん!)
ロウキ「・・・」
モモ「・・・」
モモ「きゃーっ!」
ロウキ「おおー」
映画が終わるまで、
モモはロウキの手を握り続けていた。
〇カウンター席
モモ「はー、怖かったよー」
ロウキ「モモ、終わっても涙目だったな」
モモ「もー、ロウキ君いじわる」
ロウキ「悪い悪い。 ケーキおごってやるから機嫌なおせ」
モモ「え、やった!」
モモ「ケーキ、ケーキ!」
ロウキ「現金だな・・・」
モモ「はい、ロウキ君。あ~ん」
この行動、モモはジョークのつもりだった。
ロウキ「ん、いいのか?」
ロウキ「もぐ」
モモ「・・・」
ロウキ「うまいな。サンキュー、モモ。 ・・・モモ?」
モモ(か、間接キス、だよね・・・?)
ロウキ「おーい」
ロウキ「まあいいや。 店員さん、コーヒー、おかわり」
〇本屋
ロウキ「・・・」
モモ(えーっと、 わたしとロウキ君の相性は・・・)
モモ(わーい! とても良いって書いてある)
ロウキ「なんか載ってるのか?」
モモ「う、うん。 今月の運勢を見てたの!」
ロウキ「ふ~ん。貸してくれ。 俺は・・・」
ロウキ「ケガに注意・・・ね」
モモ「ケガに・・・? 気をつけてね」
ロウキ「ただの占いだろ」
そう言って、
ロウキがモモに本を返した時だった。
「キャーッ!」
ロウキ「なんだ?」
強盗「オラオラ、大人しくしろ!」
モモ「ご、強盗!?」
ロウキ(あんな格好の強盗いるのかよ・・・)
強盗「お前! なんだその憐れみの目は!」
モモ「ロ、ロウキ君!」
ロウキ「なんでもない・・・です」
強盗「ふんまあいい・・・ん?」
強盗「そこの女の子、好み・・・」
モモ「わ、わたし!?」
強盗「お嬢ちゃん、 名前はなんていうの」
強盗「歳はいくつ。 僕はね──」
強盗がゆっくりとモモに近づく。
その手がモモに触れる、その時。
ロウキ「おい、お前」
強盗「あ!?」
ロウキ「俺のモモに触れるんじゃねえ」
モモ(え? 今、『俺の』って・・・)
強盗「なんだお前、邪魔する気か!」
強盗はナイフを取り出すと
ロウキに向かって振り回す。
その振りの一回がロウキをかすめた
強盗「ハハッ、痛いだろう!」
ロウキ「・・・」
強盗「なんとか言えよ!」
強盗はナイフを振り上げ降ろす。
ロウキはそれを手で受け止めた。
ロウキ「痛えな・・・」
お返しとばかりに、
ロウキは強盗の腹に拳を喰らわせた。
強盗「かはっ・・・」
モモ「だ、大丈夫? ロウキ君!」
ロウキ「ん、ああ・・・」
モモ「血! ほっぺたと手から血が出てる!」
ロウキ「たいして痛くねえが・・・」
モモ「ダメ! 手当てするの!」
ロウキ「お、おう・・・」
〇渋谷のスクランブル交差点
モモ「手、痛くない?」
ロウキ「ん、まあ少しは痛い」
モモ「ロウキ君、助けてくれてありがとう」
ロウキ「おう」
モモ「それでね・・・あの・・・」
ロウキ「ん?」
モモ「『俺のモモ』っていうのは・・・」
ロウキ「ん、なんだ?」
モモ「な、なんでもない!」
モモ「今日はデートありがとう! また今度ね!」
モモは赤い顔を隠し走り帰っていく。
ロウキ「・・・」
ロウキ「あー」
『俺の』という言葉が彼のワイルドさの表れでもあり、とてもきゅんとできる台詞だと思いました。素敵な作品ありがとうございました!
占いの結果がこんな形になるなんて!デートで見たい恋人の姿を全部詰め込んだみたいで楽しかったです。俺のってサラッと言われたらたまらないですよね〜。
ロウキがパンチ1発で強盗を蹴散らしたのは凄かったですね