クロと蛇神と、カノジョの秘密

春日秋人

第19話 『少年と少女』(脚本)

クロと蛇神と、カノジョの秘密

春日秋人

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〇学校の屋上
  ~白蛇に覆われた地球~
深白(みしろ)「──あと3分」
深白(みしろ)「あとたった3分で、地球のみんなはわたしの毒で死ぬ」
深白(みしろ)「そこに倒れてる刺客だった女の子も」
深白(みしろ)「相棒のツバメさんも」
深白(みしろ)「わたしたちのクラスメートも」
深白(みしろ)「お年寄りも大人も子供も赤ん坊も──」
深白(みしろ)「みんなみんなみんな、死ぬ」
深白(みしろ)「でも、大丈夫」
深白(みしろ)「わたしを殺せば毒は消える」
深白(みしろ)「そういうふうにしたからね?」
深白(みしろ)「だからクロくん」
深白(みしろ)「早く──早くわたしを殺してよ」
深白(みしろ)「もう嫌なの」
深白(みしろ)「耐えられないの」
深白(みしろ)「1秒だってこんな場所にいたくないの」
深白(みしろ)「死にたいの」
深白(みしろ)「・・・あと2分」
深白(みしろ)「ししし!」
深白(みしろ)「いいのかなー?」
深白(みしろ)「このままじゃあ、クロくん、世界でわたしとふたりだけになっちゃうよ?」
九郎(くろう)「ふたりだけ」
九郎(くろう)「もし、そうなったら──」
九郎(くろう)「まるで創世記のアダムとイヴだね」
深白(みしろ)「ししし、やっとしゃべってくれた」
深白(みしろ)「アダムとイヴかー」
深白(みしろ)「ま、わたしはヘビだけど」
深白(みしろ)「ふたりをそそのかす悪役だよねー・・・」
深白(みしろ)「ああでも、クロくんがアダムなら、イヴっていうのはわるくないよ」
深白(みしろ)「葉っぱの服着て、子作りしちゃおう」
深白(みしろ)「あ! 今えろいこと考えたでしょー?」
深白(みしろ)「考えたよね?」
深白(みしろ)「その無表情の裏で!」
深白(みしろ)「このこのー」
深白(みしろ)「え、あれ? 本当に少しも考えてない感じ?」
九郎(くろう)「考えてないよ」
深白(みしろ)「うう・・・嘘でも考えたって言ってくれてもいいんだよー・・・?」
九郎(くろう)「考えられないよ」
深白(みしろ)「ひどいなぁ、もー」
九郎(くろう)「だって、そうはならないから」
深白(みしろ)「────」
深白(みしろ)「ししし、だよね?」
深白(みしろ)「だって」
深白(みしろ)「クロくんはわたしを殺すんだから」
九郎(くろう)「深白」
九郎(くろう)「後ろを向いてくれるかな」
深白(みしろ)「えー? できればクロくんの顔を見ながら殺されたかったんだけどなー」
深白(みしろ)「まあ、贅沢な望みか・・・」
深白(みしろ)「クロくんの寝覚めがわるくなるといけないもんね」
深白(みしろ)「後ろを向くことでクロくんが少しでも殺しやすくなるなら、わかった。いいよ」
深白(みしろ)「はい!」
深白(みしろ)「これでいい?」
九郎(くろう)「うん。助かる」
深白(みしろ)「あと1分だから、早くしてね?」
深白(みしろ)「はー、ふー」
深白(みしろ)「・・・・・・」
深白(みしろ)「・・・まだかな?」
深白(みしろ)「あと10秒・・・だよ」
九郎(くろう)「わかってる」
深白(みしろ)「8、7、6・・・」
深白(みしろ)「ひと思いに──やっちゃって!」
九郎(くろう)「安心して」
深白(みしろ)「・・・うんっ」
九郎(くろう)「終わったよ」
深白(みしろ)「うん、ありがとう」
深白(みしろ)「・・・うん?」
深白(みしろ)「──え?」
深白(みしろ)「なに、してるの? クロくん・・・」
九郎(くろう)「深白の髪を切った」
深白(みしろ)「な、なんで・・・?」
九郎(くろう)「ほら、髪は女の命っていうよね?」
九郎(くろう)「つまりこれはもう深白を殺したと言ってもいいんじゃないかな」
九郎(くろう)「ああ・・・意識してなかったけど、髪と神でかかってるね」
九郎(くろう)「髪を殺したと、神を殺した」
九郎(くろう)「ごめん。イマイチだね」
深白(みしろ)「そうじゃなくて!」
深白(みしろ)「な、なにやってるの!?」
深白(みしろ)「カウントダウンしてたでしょ!」
深白(みしろ)「してたよね!?」
深白(みしろ)「わたしを殺さないと、わたしの毒でみんな死んで──」
九郎(くろう)「誰が死んだのかな?」
深白(みしろ)「だから、みんな! 地球の!」
九郎(くろう)「誰か、死んだ?」
深白(みしろ)「そ、それは」
九郎(くろう)「死んでないよね?」
深白(みしろ)「・・・・・・」
深白(みしろ)「・・・しんでない」

〇地球
  ~地球外縁~
  ~スワロー・ネスト~
《燕》(スワロー)「はっ」
《燕》(スワロー)「む、地球が青い! 白蛇たちがいなくなっておる!」
《燕》(スワロー)「そして・・・おお! こ、これはぁ!」
《燕》(スワロー)「肩こりが消えておる!」

〇学校の屋上
九郎(くろう)「少し混乱はあるかもしれないけど、誰も死んでない」
九郎(くろう)「そうだよね」
深白(みしろ)「・・・うん」
九郎(くろう)「深白の脅しなんてお見通しだよ」
九郎(くろう)「フェイクだ」
九郎(くろう)「キミに、みんなを殺すことなんてできない」
深白(みしろ)「ちがうよ」
九郎(くろう)「なにがかな?」
深白(みしろ)「ちがう。ちがうんだよ」
深白(みしろ)「今回は踏みとどまったよ。踏みとどまれたよ」
深白(みしろ)「でもいつか」

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