第69話 銀色の翼に乗って③(脚本)
〇空
愛天使たちは各々の想いを抱えて悪神たちと対峙していた。
カミーリア「わたくし、エビーダとは戦いたくありません!」
アイリス「あなた、明をお願いします」
オーキッド「男なんかに・・・。 悪魔なんかに負けはしない!」
〇空
チェリー「もう戦うしかないの? ううん、私、諦めないから!」
チェリー「ダーブラック、あんたの悪魔のオーラ、ぜんぶ奪ってみせるから!」
チェリー「ブロッサム・シャワー!」
チェリーの放った聖水を、ダーブラックのオーラが黒く染める。
チェリー「リターン・シャワー!」
ダーブラック「なんだ!?」
チェリーは黒く汚れた聖水を、逆流させて自らの身体に吸収した。
〇黒
「ダイキ、ううん、ダーブラック。
お願い、私を悪魔にして!」
「友達になったら、あなたと
ずっと一緒にいられるから!」
「あんたは友達よ。
ねえ、一緒に見た花火を思い出して!」
ダーブラック「・・・っ!」
〇空
チェリーの体は黒いオーラに蝕まれていく。
チェリー「くっ・・・」
ダーブラック「馬鹿な。このままだと死んじゃうぞ!?」
チェリー「リターン・シャワー!」
ダーブラック「チェリー、やめろ・・・!」
〇黒
ビーモン「確かにお前は強いパワーを持った。 だが、心はまだまだ弱い」
ビーモン「俺はそれだけが心配なのだ」
〇空
ダーブラック「兄さん、違うよ。 僕の心は・・・弱くなんかない!」
ダーブラックが叫んで、チェリーに向かって急接近した。
チェリー「なんでわかってくれないの?」
ダーブラック「僕は・・・誰にも従わない。 僕の思い通りに強く生きるんだ!」
急旋回したダーブラックは憔悴したチェリーに抱きついた。
チェリー「え!?」
ダーブラックがチェリーにキスをする。
チェリー「な、なんなの?」
ダーブラック「僕は・・・僕は・・・」
チェリー「え? え? え?」
ダーブラックがチェリーの口から黒いオーラを吸い取っていく。
ダーブラック「キミを悪魔にはしない!」
ダーブラックはチェリーを抱きしめたまま地上に落下した。
〇川沿いの道
川辺を転がり落ちていくダーブラックとチェリー。
大門ダイキ「桜・・・好きだ」
苗場桜「なによ、いきなり抱き着いたり、キ、キスしたり、好きだなんて勝手なこと言わないで!」
大門ダイキ「恋人になってくれ」
苗場桜「え? 私達、まだ、そんなんじゃない。 友達でしょう」
大門ダイキ「友達? そんなの嫌だ!」
苗場桜「だって恋人だなんて急過ぎるよ!」
大門ダイキ「!! 僕は・・・僕は・・・」
大門ダイキ「うわっ、うわぁぁぁ~~~!」
苗場桜「ダイキ?」
〇空
エビーダ「醜く散るがいい!」
カミーリア「リターン・ウエディング」
エビーダ「なに? なぜ、バトル・コスチュームを解いた?」
カミーリア「あなたとは戦いません」
エビーダ「愚かな女め。美しくない。消えろ!」
カミーリア「ホワイト・カミーリア・ブリザード!」
エビーダ「・・・っ! またか」
エビーダの脳裏に、幼い頃の記憶が蘇る。
〇大樹の下
海老原カイ「綺麗だ、美しいよ」
〇空
エビーダ「ええい、カミーリア、俺と戦え!」
カミーリア「一度でも愛した人とは・・・戦いません」
カミーリア「あなたは美しい物と醜い物を見分ける力を持っています」
カミーリア「それは何かを愛そうとする心のあかしです」
カミーリア「わたくし、あなたの愛の心を信じています」
エビーダ「!!」
全身に白い花びらを浴びて硬直するエビーダ。
一瞬、白い花びらが赤く染まるイメージが頭に浮かぶ。
エビーダ「赤い椿は醜い・・・戦いは醜いか」
エビーダ「しかし白い椿は美しい」
エビーダは小さく呟くと、カミーリアの前から飛び去った。
カミーリア「エビーダ?」
〇海辺の街
銀色の翼に乗ったアップルは、ベルを鳴らしながら街を飛び回った。
銀色の翼は羽ばたくたびに聖なる光を放出し、魔霊化した人々を包み込んでいく。
〇空
愛天使と戦い続ける悪神たちに、どこからかベーザイの声が響いた。
「ビーモン、ホーディ」
「エビーダとダーブラックが
戦線を離脱した」
「ここは一度引き上げるのだ」
「!?」
「新たな手はある。急げ」
「は、はい!」
魔船に向かって飛び去る二人。
アイリスとオーキッドは唖然としながらその背中を見送った。
〇空
悪神クローバー「見事だ、愛天使ども」
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