幼馴染と遊園地

音霧むつみ

エピソード1(脚本)

幼馴染と遊園地

音霧むつみ

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〇一軒家
川島真由美「行ってきまーす」
  ダンッ!
山代康太「俺と付き合え・・・」
山代康太(よしっ・・・!決まった・・・ 壁ドン・・・!)
川島真由美「・・・バカじゃないの?」
山代康太「・・・」
川島真由美(昔はもっとカッコよかったんだけどなあ・・・いつからこうなったんだろ)
川島真由美「ほら、学校行くよ康太」
山代康太「ああ・・・」

〇教室
平賀光敏「バカじゃねーの?」
山代康太「お前までそんなことを! 慰めてくれたっていいだろ!」
平賀光敏「お前がバカなアプローチしてなきゃとっくにカップル成立してただろうに」
山代康太「これでもバラを咥えるのは自重したんだが・・・」
平賀光敏「そんなことした日には俺はお前と関わりのない他人としての人生を始めるからな」
山代康太「しょうがないだろ!昔からあいつの兄貴分としてやってきたんだ、今更付き合ってください・・・みたいなウブなことできるか!」
平賀光敏「安心しろ、確実にそれより恥ずかしいことをお前はやっている」
平賀光敏「お前ら幼なじみなんだから遊びに誘うくらい簡単だろ?」
山代康太「それはそうだが・・・」
平賀光敏「だーっ、じれってえ! おーい川島ぁ!」
山代康太「ちょっ!?」
川島真由美「なにー?」
平賀光敏「こいつがお前に話があるってよ」
川島真由美「?なに、どうしたの?」
山代康太「い、いや、今度二人で遊びに行かないかと 思ってな・・・」
川島真由美「へえ、久しぶりだね! いいよ!どこ行く?」
山代康太「あー、まだ具体的には決めてないんだ。 後でまた連絡する」
川島真由美「分かった、楽しみにしとくね」
山代康太「おう!」

〇遊園地の全景
川島真由美「ここに来るの何年振りかなー」
山代康太「この遊園地、子供の頃にはよくきたもんだよなー」
川島真由美「主に子供向けだから規模は小さいけど 馴染みがある分気兼ねなく楽しめるね」
山代康太「ああ、そうだな。さて、じゃあ昔の思い出を振り返りつつ楽しむとするか・・・!」

〇遊園地の全景
山代康太「やー、思いのほか楽しかったな!」
川島真由美「私は最初から楽しいと思ってたよ?」
男「・・・!・・・!」
山代康太「んー?何か揉めてるっぽい・・・?」
  見ると女性が見るからに横柄な態度の男に
  絡まれていた。
男「肩ぶつけたお詫びにデートしてくれよ 姉ちゃん」
女性「あの、そういうのは・・・」
男「そんなこといわずによお、 なあなあいいだろ?」
川島真由美「康太、助けてあげようよ」
山代康太「巻き込まれるぞ」
川島真由美「康太が行かないなら私が行く!」
山代康太「おい!」
山代康太(ったく、こっちはお前を心配して言ってるってのに・・・!)
川島真由美「ちょっと、怖がってるじゃない! 放しなさいよ!」
男「ああん?取り込み中だ、すっこんでろ!」
川島真由美「っ・・・!」
男「関係ねえ奴は・・・ふーんカワイイじゃん。じゃあ姉ちゃんが代わりにデートしてくれよ」
川島真由美「えっ・・・」
男「悪くねえ話だろ?こっちの先に捕まえてた 姉ちゃんは言った通り諦めるからよ」
男「まさか何の見返りもなしにこっちが引っ込むとは思ってねえよなあ?」
川島真由美「えと、その・・・」
山代康太「あー、そいつ俺のツレなんでそういうのは 勘弁願います」
男「ああ!?ヤロウは引っ込んでろ!」
山代康太「まあまあ、ここは穏便に・・・」
男「チッ、ウザってえな・・・! ちょっとそこでノビてろや!」
山代康太「うっ・・・!」
山代康太(そっちがその気なら・・・やってやんよ!)

〇遊園地の全景
川島真由美「・・・ごめんね」
山代康太(これで勝てればカッコよかったんだがなあ・・・)
  相手には武道の心得があったようで結局こっちがボコボコにされ俺は大の字で倒れていた。
  幸い俺が殴られている間に絡まれていた女性は逃げることができ、男は真由美が呼んできた警備員に連れて行かれた。
  しかし当初の予定とは違い、実に情けない
  姿を晒すハメになってしまった・・・
山代康太「真由美ー」
川島真由美「・・・なに?」
山代康太「好きです、付き合ってください」
山代康太(これ以上カッコ悪くなりようが無いだろ)
川島真由美「うん・・・よろしくおねがいします」
山代康太「うおぉ・・・悪いな、こうもカッコ悪い告白で」
川島真由美「ううん・・・すごくカッコいいよ」
山代康太「はは、ボコボコにされてとんでもなくみじめな気分だったのに・・・ もうどうでもいいや・・・」
川島真由美「いつまでも寝転がってると風邪ひくよ? ほら・・・」
山代康太「あいよっと」
  彼女から差し出された手を掴み上がる。
  新しい関係になって初めての帰り道は、沈んでいく夕日で鮮やかに染まっていた。

コメント

  • いきなりの壁ドン、薔薇をくわえるのは自重したって…どんなヒーローなんだ!?とはじめは思っていたのですが、真由美を思う気持ちがまっすぐでかっこよかったです。
    どんなにかっこ悪い姿だろうと、自分を守ってくれる人ってやっぱり素敵ですね!体を張ってくれた康太にキュンとしました😆
    素敵なキュンをありがとうございました!

  • 普段の彼は空回りの感がありましたが、いざという時はこんな風に守ってくれるんだなぁと、彼女じゃなくてもキュンキュンしますよ。
    すごくかっこいいですもん!

  • 喧嘩が強い弱いより、大事な時に守ってくれるかどうかですよね。そんな姿にキュンとします!
    でも最初から両思いだったのかなぁ〜?

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