読切(脚本)
〇学校の部室
朝霧結花「(全く人を家政婦扱いしやがって、私を誰だと思ってんのよ!ジュニアサッカーで優勝した結花様だぞ)」
俺は部室に入りぶつくさ文句を垂れている新人マネージャーの頭の上に汚れたユニホームを乗せた。
大河内悟朗「よっ!マネジャー洗濯よろしく」
彼女はいきなり俺の臭いユニホームを投げ返してきた
朝霧結花「何すんのよ! 臭いじゃない」
大河内悟朗「あれ?どこかで・・・名前なんて言うの」
朝霧結花「新人マネージャーの朝霧結花よ、そう言うあんたは?」
大河内悟朗「大河内悟朗、よろしく、ってか君、ジュニアサッカーで優勝したミッドフィルダーの結花?」
朝霧結花「そうよ、私の名前を知っているなんてただものではなさそうね」
大河内悟朗「俺だよ俺、ジュニアサッカーの決勝で対戦した悟朗。ところでさ今度カラオケ行かない?」
朝霧結花「えっ!何言ってるの壁の張り紙を見なさいよ」
壁の張り紙には「部内恋愛禁止」と書かれてあった
大河内悟朗「意識し過ぎだって、カラオケなんて友達付き合いだぜ」
俺は思わず結花の頭を優しくポン、ポンと叩いた
細井豊「おい大河内、相変わらずの素行不良だな!」
大河内悟朗「そ、そんなんじゃねぇよ豊」
細井豊「口の利き方に気をつけろよ、俺はキャプテンなんだぜ」
大河内悟朗「ああ、悪かった」
細井豊「話は変わるが今度の地区大会で再び最下位だと我がクラブは廃部になる事となった」
朝霧結花「えっ!」
大河内悟朗「俺様がいるんだぜ!最下位にはさせねぇよ」
細井豊「そう言う個人プレーに走るところが俺は昔から大嫌いだ」
大河内悟朗「なんだジュニアで俺がレギュラーでお前が補欠だったこと、まだ根に持ってんのか」
細井豊「うるさい!」
朝霧結花「まぁお手並み拝見だわね・・・そうだ廃部を免れたらカラオケを付き合ってもいいわ」
大河内悟朗「おぉそうか頑張るぞぅ!!」
それから俺は練習に励み、チームも調子を上げてきた
〇田舎の学校
そして地区大会のメンバーが発表された当日
細井豊「地区大会のメンバーは以上となります」
大河内悟朗「また最下位でいいのかよ豊」
周りの部員たちにざわめきが起きた
朝霧結花「そうよ、何故悟朗が補欠なの?得点力がダントツじゃない」
細井豊「補欠の理由はチームを乱す悟朗よりバランスのいい豆田をかったからです以上」
大河内悟朗「付き合いきれねぇな」
朝霧結花「私、今から掛け合ってくるわ」
大河内悟朗「別にいいけどな、結花と付き合えれば俺」
朝霧結花「廃部は絶対にいや、そうならない為に悟朗がメンバー入りする必要があるのよ・・・私掛け合って来る」
結花が立ち去った後、女子サッカーの小沼乙女がやって来た
小沼乙女「ねぇうちの会社のサッカークラブに入らない?」
大河内悟朗「俺より結花を入れた方が・・・」
小沼乙女「フン、脚を痛めた結花なんて、それより入れば悟朗をスペインのカンデラに行く為のお金をあげるわよ」
その言葉を聞いて俺の目は輝いた。スペインサッカーの夢が叶うと思ったからだ
大河内悟朗「ほ本当かよ、すぐに乙女のサッカークラブに入るぜ」
小沼乙女「それには条件があるわ」
大河内悟朗「どんな条件でもウエルカムだぜ」
小沼乙女「私と交際する事が条件よ、いい?」
大河内悟朗「いや~困ったなぁ。俺はモテるからさぁ。独占はよくねぇじゃねぇ?」
小沼乙女「まぁ入ってからでも遅くはないわ。社長令嬢の私と付き合って損がないと思うけど?」
サッカークラブへ俺は通い始める事になった。そして高校の地区大会は結花のおかげでレギュラー入りする
〇グラウンドの隅
大河内悟朗「あ~ぁ暇だなぁ」
レギュラー入りしたが試合には出させてもらえず俺は木陰で昼寝するしかなかった
朝霧結花「何寝てるのよ!?」
大河内悟朗「だって仕方ねぇだろ、出してくれないんじゃぁ」
朝霧結花「知ってるわよ。乙女のクラブチームに入ったんだって」
大河内悟朗「仕方ねぇだろ、なにせ俺の夢だったスペインのカンデラに行く費用を出してくれるて言うんだぜ」
朝霧結花「それだけじゃないでしょ! 乙女から聞いたわ」
大河内悟朗「資金提供は乙女と付き合うのが条件だったけど結花に言われる筋合いはないだろう?」
朝霧結花「そうわかったわ。兎に角この大会廃部がかかってんだから結果を出しなさいよ」
最後の試合負ければ廃部決定だが0-0でロスタイムに入った
〇白い校舎
朝霧結花「キャプテン、同点なら廃部決定ですよ」
細井豊「わ分かってるよ!俺にどうしろと言うんだ」
朝霧結花「悟朗をフォワードに入れましょう」
細井豊「奴だけはダメだ」
朝霧結花「廃部でもいいの?」
細井豊「悟朗でダメだったら責任を取ってもらうぞ」
朝霧結花「お願い、勝って!!悟朗」
大河内悟朗「おう、お前の為に点をとってやるぜ! 心配すんな結花」
そして俺は劇的な決勝点を上げた
〇豪華な部屋
朝霧結花「細井キャプテン、これ」
そう言って結花は細井に退部届を差し出した
細井豊「な何だこれ?」
驚く細井を後に結花は出口へ向かった
大河内悟朗「結花、これこれ見てくれよ」
俺はスペインのカンデラ入団招待状を結花に見せびらかした
朝霧結花「気易く触らないで、もう退部したんだから」
大河内悟朗「喜んでくれないのかよ~。折角俺がスペインのサッカーに挑戦できるってのに」
朝霧結花「乙女から聞いたわよ、その資金援助の代わりに乙女の彼氏になるんでしょ」
大河内悟朗「そんな話じゃねえよ」
朝霧結花「二股かける男は大嫌い、それに私、補欠に慣れてないから退部して悟朗が見えない所へゆくわ」
大河内悟朗「困った慌てん坊さんだな結花は! 直接俺に費用向こう持ち招待状が来たんだ。だから乙女とは付き合う必要はないのさ」
朝霧結花「それで・・・」
大河内悟朗「好きだよこれからずっと一緒にいようぜ結花・・・いいだろ?」
朝霧結花「部内恋愛禁止よ」
大河内悟朗「もう退部したんだろ結花」
朝霧結花「もう、知らない!」
恥ずかし気に下を向く結花の頭を俺は愛おしく撫でるのであった。
乙女さんの事があり、どうなるのかと思ってストーリ―を読んでいましたが、最後には丸く収まって良かったです!夢を追いかける姿っていいですよね!素敵な物語ありがとうございました!
最後のあたりがすごくよかったです。
やっぱり乙女さんとつきあっちゃうのかな?って思ってたんで、ちょっと心配でした。
二人ともかわいくて幸せになって欲しいです!
なんだろう…このツンデレ感…羨ましい…。
にしてもきっとどうしてもレギュラーにしたくなかったんでしょうね〜。男同士の因縁ってやつかな?
でもチームのために私怨を混ぜるのも、どうかとは思いました。