そしてカメラは回りだす

びわ子

読切(脚本)

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〇映画館の入場口
粒子「やだ!?雨!」
  私の名前は粒子(つぶこ)
  映画が大好きな女子高生
  シネマサークルの友達
  ナナを待っていたが
  雨が降ってきたので
  映画館のロビーで
  待つことにした
  粒子:雨が降ってきたから
  先にチケット買って
  ロビーで待ってるよ

〇映画館のロビー
粒子「モク恋2人で予約っと」
  「モク恋」とは
  映画「沈黙は恋の始まり」の略である
  今日は
  恋愛映画のプロットを
  勉強する為 にやってきた
  
  しかし本当の理由は・・・
  モク恋を観ると
  恋人が出来るという
  噂を聞いたからである
  あれ?メールだ
  夏奈:つぶごめん!
  お婆ちゃんが
  またギックリ腰になって
  今日は行けなくなったよー😱
粒子「!?」
  粒子:わわっ!心配だよ😨
  映画観てサークルへの資料は
  まとめとくから
  ナナは、お婆ちゃんに
  付いててあげてね😉
  夏奈:ありがとう!
  また連絡するね🥲
  仕方ない一人で観るか・・・

〇映画館の座席
粒子(私の場所は・・・ ここだな)
粒子(まだ時間があるな 目を閉じて休んでいよう・・・)
粒子(あれ!?)
粒子「目を閉じてるのに スクリーンが見える・・・ ん?誰か話してる?」

〇白
シネマ「つぶ・・・ 粒子ちゃん・・・」
粒子「(素敵な声がする) だ、誰ですか!?」
シネマ「ふふ、俺は君の未来の彼氏だよ」
粒子「か、からかうのは やめてください」
シネマ「ごめんごめん 可愛くて揶揄いたくなって やばっ!時間がないから 簡単に説明するよ」
シネマ「ここは想いの世界 映画館って 様々な気持ちが混ざり合う場所で ラジオの周波数の様に 偶に波長が合う人が ここにくるんだよ」
粒子「異世界ってこと!?」
シネマ「そう・・・ そして・・・ ここにきた人は 皆んなの想いが影響して これから映画の様な人生を 送る事になるんだ」
粒子「映画の様な人生──!! それってどんな・・・」
シネマ「それは君次第だよ 君の憧れや想い好きな映画が 反映してストーリーになる」
シネマ「君がヒロインなんだよ」
シネマ「君が想えば 俺と現実でも 会えるはずだよ ただ俺は記憶が 消されるみたいだけどね」
シネマ「ごめん もう時間だ──」
粒子「えっ!?待って!! まだ、聞きたい事があるわ!」
粒子「ねえ、待ってー!!」

〇映画館の座席
粒子(あれ!? なんで私泣いているの・・・)
粒子(なんだろう 変な夢・・・)
「すいませーん、前通りますね」
粒子「あ、はい・・・ どうぞ・・・」
粒子(えっ!?)
奏「え?泣いてる? どうしたんですか? 何かあったの?」
粒子(この声!? 間違いない! 異世界で出会った人だ!!)
粒子「あ、あの・・・」
  私が話しかけると同時に
  地面が大きく揺れ始めた
粒子「じ、地震!?」
奏「うわっ!!」

〇壁
  揺れが酷くなり
  立っていられない
  
  あちこちから悲鳴が聞こえ始める
奏「あ、危ない!」
  私が倒れそうなった瞬間
  彼は咄嗟に
  私を引き寄せてくれた
粒子「痛っ!」
奏「ごめん 大丈夫?」
粒子「いえ・・・ ご、ごめんなさい・・・ 少し足を捻ったみたい・・・」
  私は彼の腕の中で
  揺れを収まるのを待った

〇映画館の座席
  揺れが小さくなり
  館内放送が流れる
  ただ今地震が発生いたしました
  係員の指示に従い避難してください
奏「歩けそう?」
粒子「わ、私、後からゆっくり行きます 気にしないでください 痛っ!」
奏「俺が強引に手を引いたから・・・ ごめん」
  そういうと彼は後ろを向き
  その場にしゃがみ込んだ
奏「せめて階段だけでも 乗っていきな」
粒子「え、え! いいです!私」
奏「いいから!」
  私は恥ずかしくて
  堪らなかったけど
  痛さには勝てず
  彼の背中に
  乗ることにした

〇洋館の階段
  私の胸の鼓動が
  高鳴ってるのが
  バレてないか
  心配になる──
粒子「あの・・・ 重くないですか・・・」
奏「全然大丈夫だよ 軽いよ」
  私は確かに小さいけど
  無理しておんぶしてくれてるんだ
  だって額に汗うっすらかいてるもん

〇階段の踊り場(ポスター無し)
奏「それにしても 地震が起こるなんて 『シネマ☆コネクション』かっての」
粒子「え!? 『シネマ☆コネクション』・・・ !!!!!!!!!!!!!! 『シネ☆コネ』のこと!!知ってるんですか!?」
奏「え?知ってるの!? 観たら必ずトラウマになる為 上映中止になったあの映画を!!」
粒子「観ました! しかもリアルタイムで!」
奏「マジかよ・・・」
粒子「ジャンルをあえて言うなら はちゃめちゃ映画 ですかね」
奏「あー、わかるー まさか映画館自体が 宇宙船になるとか 斜め上の展開だよね」
粒子「アレはびっくりしました! ポップコーンを利用したエネルギーとか 無茶苦茶ですよね」

〇階段の踊り場(ポスター無し)
奏「俺の名前は奏 君戸奏 君は?」
粒子「私は粒子 星野粒子といいます」
奏「シネ☆コネの出会いのシーンで ヒロインにあだ名付けてたよね 粒子ちゃん→小さい→小さい子→ 小つぶ→こつぶ!?」
奏「決定!! 俺は、こつぶちゃんって呼ぶよ」
粒子「なんですかもう── 別にいいですけど──」

〇映画館の入場口
粒子(あぁ、もう入口まで着いちゃった・・・ もっと話していたいのに・・・)
奏「まだ足痛い? ここで連絡して 待ってるといいよ」
  君の憧れや想い好きな映画が
  反映してストーリーになるんだ
粒子(私が行動すれば ストーリーが変わるってこと・・・)
粒子「あ、あの・・・ あのですね・・・」
粒子「シネ☆コネで── 主人公が痛みをなくす おまじないをしてましたよね お、同じ事をして下さい──」
奏「え・・・」
粒子「・・・」
奏「・・・」
粒子「・・・」
  私はそっと目を閉じ──
奏「・・・」
  彼は私の額に軽くキスをした──

〇SHIBUYA109
  そして──
  
  私のカメラは回りだす

コメント

  • とってもキレイな物語ですね。
    彼女の勇気を振り絞る場面も見ていて気持ちが良く、エンディングも清々しく余韻もあって好きです。

  • 彼女の強い願いが、運命を引き寄せましたね!最初から最後までニコニコしながら読んでいました!映画を見ると、恋人ができるというジンクスも素敵だなと思います!良い作品ありがとうございます♪

  • 彼女の勇気が二人を結んだのだなぁと思いました。
    映画が結ぶ縁っていいですよね。
    二人楽しそうに話してるシーンは、読んでるこちらもにまにましてしまいました。笑

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