キスからはじまるキュンな物語

ゆきんこ

エピソード1(脚本)

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〇武術の訓練場
  満開の桜に早春の風が吹き付ける。まだ、肌寒い夜。舞い散る薄桃色の花弁。
  神社に繋がる傾斜の緩い石段を登る、私と泰斗。
  私は、この春に大学に進学、上京した。
  初めての焼肉店のバイト仲間で、一番カッコイイけど、一番ニガテなのが泰斗だった。

〇おしゃれなリビングダイニング
  高校生からこの店でバイトしていた泰斗に、バイト全員が一目置いていた。
泰斗(たいと)「片付けより、会計待ちの客が先だろ!」
梶先輩(かじ)「ご、ゴメンね。泰斗くん。俺、要領悪くって・・・」
泰斗(たいと)「早く動けって!客を待たせるな!」
  特に4歳年上の社員の梶は、泰斗にアゴで使われていて、可哀想だった。

〇武術の訓練場
  私はなるべく、バイト中は泰斗に関わらないようにしてきたのだが、
泰斗(たいと)「ひまりに聞いたんだけど、おまえの家も鷺宮区なんだろ?一緒に帰ろうぜ」
める「良いけど・・・」
泰斗(たいと)「知ってる?途中の神社に抜け道あるから、ショートカットできるんだぜ」
める「そ、そうなんだ」
  私は泰斗に黙々とついて行った。

〇武術の訓練場
泰斗(たいと)「オマエってさあ、ウチのバイト楽しい?」
める「学費のため・・・って、働いていて楽しいとか、なくない!?」
泰斗(たいと)「今日のオマエ、誰ともあんまり喋らねーなと思って」
める「見られていた?」

〇おしゃれなリビングダイニング
  焼肉店のバイト仲間で同学年は5人。私以外は地元が一緒だった。
  特にリーダー格の泰斗とひまりは、いつも輪の中心に居た。
  今日は終始、地元の話で盛り上がっていたので、私は空気のように徹していた自覚はあった。
める「──気にしていてくれたのかな?」

〇武術の訓練場
める「泰斗にはカンケーないじゃん」
  私は泰斗に背を向けて、早足で歩き始めた。
める「てゆうか、ひまりちゃんは良いの?こんなところ見られたらヤバいでしょ」
泰斗(たいと)「は?ひまりって、何で。・・・待てよ」
  追いかけてきた泰斗が、いきなり後ろからハグしてきた!
  驚いて見上げた先に、泰斗のキレイな顔が近づいてきて・・・。
める「や、やめて!」
  寸でのところで唇を躱した私は、思いっきり泰斗を突き放した。
める「こ、こーゆーことは、好きな女にするもんでしょ?私のこと、好きでもないくせに!」
泰斗(たいと)「これから好きになるかもしれないだろ」
める「あんた、バカなの?お互いのこと、全っ然知らないじゃん!」
泰斗(たいと)「じゃあ、これから俺ら、仲良くなろ」
  そういうと泰斗は、月の光のようにフワッと柔らかく微笑んだ。

〇シックなカフェ
  私にとって、衝撃的なキス未遂事件から、シフトが一緒にならないようにしたり、泰斗を遠ざけることにした。
梶先輩(かじ)「めるちゃん、今日ってバイト終わりヒマ?」
梶先輩(かじ)「行きたいカフェがあるんだけど、奢るからつき合ってくれない?」
める「いいですよ」
める「なんか最近、モヤモヤするし、気分転換も兼ねて・・・奢ってもらおう!」
梶先輩(かじ)「めるちゃんて、彼氏居ないって言っていたけど、好きなヤツは居るの?」
  一瞬、あの日の夜桜と泰斗を思い出したが、すぐにかき消した。
める「居ません」
梶先輩(かじ)「じゃあ、俺が立候補してもいいかなあ?」
  私は男の人に告白されたのは初めてで、ドキドキした。
める「や、やだなあ〜梶先輩ったら、酔ってます?飲みすぎじゃないですか?」
梶先輩(かじ)「俺は酔ってるよ!酔いたいね。だって、カワイイめるちゃんとデートしてるんだぜ?」
梶先輩(かじ)「泰斗のヤツが見たら・・・ザマーミロ!」
める「え、何で泰斗?」
梶先輩(かじ)「アイツ絶対、めるちゃんのこと好きでしょ。バイト中、ガン見しすぎ」
梶先輩(かじ)「でも、今は俺が一歩リードしてるもんね」
める「あの時泰斗は、チャラい感情だけでキスしようとしてきたと思っていたけど」
める「本当に私のことが好きなの? じゃあ、ひまりちゃんは?」

〇武術の訓練場
  久しぶりにシフトが一緒になった私と泰斗。
  泰斗はまた、帰りがけの私に声をかけてきた。
泰斗(たいと)「この前の神社で、ちゃんとお参りしていかない?ヤバいご利益あるらしいぜ」
  お参りをする泰斗は、本気でお願いをしているようだ。
める「ねえ、何をお願いしたの?」
泰斗(たいと)「叶ったら教えてやるよ」
  降りる石段の前で、不意に泰斗が私の手を握った。
泰斗(たいと)「もう、いきなりキスしないから。 手を繋ぐくらいは・・・ダメ?」
める「い、いいけど」
泰斗(たいと)「最近オマエさ、梶先輩と仲良すぎじゃない?」
める「あ〜。ゴハン連れていってもらったんだよね」
泰斗(たいと)「はあっ?!あんのヤロー、ふざけんなって、マジでっ!!」
泰斗(たいと)「明日、ぶっとばす!!」
める「ありえない!やめてよ、バカ」
める「上京してから、こんなに自然に感情を出せたのって、久しぶりかも」
める「しかも、あんなに怖がっていたあの泰斗と!」
める「あの、泰斗ってさあ、ひまりちゃんとつき合ってるんだよね?」
泰斗(たいと)「んなわけないだろ。幼馴染みなだけ」
泰斗(たいと)「今更オンナに見れないし。アイツ、彼氏居るし」
泰斗(たいと)「てゆうか、もしかして妬いてくれた?」
  顔を覗き込まれて、私は繋いでいた手を振りほどいた。
める「ち、違うわよっ」
  泰斗はフッと真剣な眼差しで私を見つめ、抱き寄せた。
泰斗(たいと)「俺、めるのこと好きなんだ。 初めて会った日から。 他の男とメシ行くとか、絶対嫌だ」
める「た、泰斗。苦しい」
泰斗(たいと)「俺のこと好きって言うまで、」
泰斗(たいと)「離さないからな」
める「ホントに自信家で、自己チューで、空気読めなくて・・・」
める「でもこんなキモチは、泰斗が初めてなんだよね・・・」
める「私も、好き・・・かも」
  その瞬間、私の視界に満開の桜をバックにした泰斗のキレイな顔が被さってきて、
  初キスは、幸せなキモチでいっぱいになった。
  そうそう、この神社の神さまって、縁結びの神さまだったんだって!
  Fin

コメント

  • 泰斗くん、すっごい強引でオレ様キャラですね!でも、一途に好いてくれるのが魅力的ですね。真っ直ぐな2人の可愛い恋愛を堪能させてもらいました!!

  • 強引な泰斗くんが、ダメ?と聞くシーンが、ギャップを感じられてとてもきゅんと来ました。バイト中も目で追っていたんですね~!
    素敵な物語ありがとうございました!

  • かわいい二人の恋を応援したくなります。
    ちょっと強引な泰斗君ですけど、めるちゃんのことを大切に思ってるんですよね。
    縁結びの神様も応援してますよね。

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