第6話 『七不思議を暴けゲーム(上)』(脚本)
〇ブリーフィングルーム
~深夜0時~
~セーフハウス~
《鷹》(イーグル)「定時報告、感謝します」
《鷹》(イーグル)「エージェント《鴉》(クロウ)」
《鷹》(イーグル)「貴方なら必ずや標的の抹殺を遂行できると信じています」
《鷹》(イーグル)「世界の秩序のために」
〇教室
~朝8時~
深白(みしろ)「ふあああ・・・」
深白(みしろ)「ねぇ、クロくん」
深白(みしろ)「次のゲームはなにがいーい?」
九郎(くろう)「なにがって」
九郎(くろう)「自分に不利なゲームを提案されるとは考えないのかな?」
深白(みしろ)「ししし」
深白(みしろ)「ワザワザそれを確認しちゃう人がズルとかしないでしょー」
深白(みしろ)「まあ、おもしろいゲームなら大歓迎」
深白(みしろ)「つまらなそうだったら却下するよ」
九郎(くろう)「なるほど」
九郎(くろう)「それじゃあ・・・」
《燕》(スワロー)「《鴉》よ。ジャンケンじゃ!」
《燕》(スワロー)「ヌシの動体視力と反射神経で必勝じゃ!」
九郎(くろう)(通らないと思うけど)
《燕》(スワロー)「言うだけならタダじゃろう?」
九郎(くろう)(それもそうだね。じゃあ──)
九郎(くろう)「ジャンケン」
深白(みしろ)「ぶっぶー。却下です。おもしろくなーい」
九郎(くろう)(ほら)
《燕》(スワロー)「くううう!」
深白(みしろ)「ツバメさんの意見じゃなくて、クロくんの意見が聞きたいんだけどなー」
深白(みしろ)「クロくん、なにするのが楽しいと思う?」
九郎(くろう)「なにが楽しいかか」
九郎(くろう)「・・・・・・」
九郎(くろう)(《燕》、僕が楽しいのってなんだろう?)
《燕》(スワロー)「そこでワシに振られてもの・・・」
《燕》(スワロー)「まあワシの場合は、ヌシといっしょにおられればなんでも楽し──んっ、んんっ!」
《燕》(スワロー)「なんでもない! なんでもないぞーぅ!」
九郎(くろう)(なるほど)
九郎(くろう)「深白、キミといっしょにいられれば、僕はなんでも楽しいよ」
深白(みしろ)「ふぇ?」
《燕》(スワロー)「ヌシはああああ! ヌシはああああ! さらっとなにを言っておるんじゃああ!」
九郎(くろう)「でもこれだと、どんなゲームがいいかを決めることはできないね」
九郎(くろう)「深白とやるゲームならなんでもいいってことになっちゃうから」
深白(みしろ)「ふやああ・・・」
九郎(くろう)「深白? 顔を覆ってどうしたの?」
深白(みしろ)「クロくん・・・恐ろしい子・・・っ」
けっきょくゲームは放課後までに深白が考えておくということになった。
今日一日、深白は僕と目が合うたび、顔を覆って机の下で足をバタバタさせていた。
〇教室
~放課後~
深白(みしろ)「《七不思議を暴けゲーム!》」
深白(みしろ)「今日は《七不思議を暴けゲーム》をやるよ、クロくん!」
九郎(くろう)「七不思議?」
深白(みしろ)「そう。この学校には6つの不思議があるんだよ、クロくん」
九郎(くろう)「6つ? 七不思議なのに?」
深白(みしろ)「七不思議だからね」
九郎(くろう)「え?」
深白(みしろ)「とにかく、この学校には6つの不思議があるんだよ」
深白(みしろ)「動く人体模型」
深白(みしろ)「誰もいないのに鳴るピアノ」
深白(みしろ)「トイレの山田さん」
深白(みしろ)「毒ガス教室」
深白(みしろ)「登り降りの数が合わない階段」
深白(みしろ)「目隠し渡り廊下の怪」
深白(みしろ)「──の6つ」
深白(みしろ)「今回のゲームは、6つの不思議の謎を解明していくの」
深白(みしろ)「より多くの謎を解明できたほうの勝ち」
九郎(くろう)「6つだと引き分けにならないかな」
深白(みしろ)「引き分けのときはくじ引きで決めよ?」
九郎(くろう)「わかった」
深白(みしろ)「あと今回はツバメさんからアドバイスをもらうのはナシにしました。あらかじめ破壊させてもらっています」
九郎(くろう)「うん。連絡とれないね」
深白(みしろ)「ししし! じゃあ、ゲームスタート!」
〇学校の廊下
~理科準備室への廊下~
九郎(くろう)「動く人体模型か」
九郎(くろう)「知らなかったよ。この学校には、そんなモンスターが生息しているんだね」
九郎(くろう)「教えてくれて助かったよ」
深白(みしろ)「モンスターって」
深白(みしろ)「クロくん。 もしかして七不思議のこと勘違いしてない?」
九郎(くろう)「大丈夫だよ。怪物退治は何度か経験してるからね。僕に有利なゲームを提案してもらって申し訳ないくらいさ」
九郎(くろう)「《膨張する赤い海》」
九郎(くろう)「《轟く山の羊》」
九郎(くろう)「《告別鬼》」
九郎(くろう)「みんな手強い相手だった」
深白(みしろ)「・・・・・・」
九郎(くろう)「わかるよ。深白の力の前ではそこらの怪物なんていないのと変わらないよね」
九郎(くろう)「だから放置してしまっていたんだろう」
九郎(くろう)「けど他の人が被害に遭うかもしれない」
九郎(くろう)「なら──」
九郎(くろう)「これは僕の役割だ」
深白(みしろ)「やっぱり勘違いしてる気がする」
九郎(くろう)「──気配がある。理科準備室の中に」
深白(みしろ)「え?」
九郎(くろう)「突入するよ」
深白(みしろ)「あ、待って! クロくん!」
〇占いの館
~とある生徒の懺悔~
とある生徒「懺悔(ざんげ)いたします」
とある生徒「小生(しょうせい)は、たいへんな変態さん、なのであります」
とある生徒「校内で、全裸にならずにはいられないのです」
とある生徒「小生も法律は知っておりますから、公共の場で全裸となることが罪であると重々承知しております」
とある生徒「そこで小生、考えました」
とある生徒「そうだ! 人体模型になろう!」
とある生徒「小生は放課後になると理科準備室に忍び込み、全裸になって素肌にペイントシールを貼り付け、解放感の恍惚に浸っておりました」
とある生徒「その日も理科準備室でそうしておりましたところ──」
とある生徒「黒い人影が、飛び込んできました」
とある生徒「人影が腕を振るのが見えると同時に、小生は己の死を直感しました」
とある生徒「しかし、そうはなりませんでした」
とある生徒「白き女神が現れたのです」
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