第4話 『秘密のゲーム』(脚本)
〇ファミリーレストランの店内
~放課後~
深白(みしろ)「はい、あーん」
九郎(くろう)「あーん」
深白(みしろ)「どう? おいし?」
九郎(くろう)「甘いね」
深白(みしろ)「ししし、クロくんはおもしろいなぁ」
九郎(くろう)「そうかな」
深白(みしろ)「今度はクロくんの番ね」
深白(みしろ)「はいスプーン」
深白(みしろ)「ちゃんと食べさせてねー?」
深白(みしろ)「ふふっ、これは契約に基づくゲームなんだから、逃げちゃダメだよ?」
九郎(くろう)「わかってるよ」
九郎(くろう)「まずはこのエッグタルトだね」
九郎(くろう)「いくよ?」
九郎(くろう)「はい、あーん」
深白(みしろ)「あーん」
ぱく
深白(みしろ)「んー、おいしー!」
九郎(くろう)「・・・・・・」
深白(みしろ)「もー、クロくん、そんなにじっと見つめられたら食べにくいよー」
九郎(くろう)「そういうゲームなんじゃ?」
深白(みしろ)「ししし!」
《燕》(スワロー)「《鴉》(クロウ)・・・《鴉》よ・・・」
《燕》(スワロー)「聞こえておるか・・・いま、ヌシの心に・・・直接、語りかけておる・・・」
九郎(くろう)(《燕》(スワロー)?)
九郎(くろう)(いや《燕》の場合、それはいつもだよね)
《燕》(スワロー)「んむ・・・新しい《子機》じゃから、まだ調整ができておらんくての・・・」
《燕》(スワロー)「おりゃ! これでどうじゃ?」
九郎(くろう)(問題ないよ)
《燕》(スワロー)「しかし、ヌシが無事でよかったが」
《燕》(スワロー)「いったいヌシらはなにをしておるんじゃ?」
九郎(くろう)(彼女が仕掛けるゲームに勝てば、彼女の秘密を1つ教えてくれることになったんだ)
九郎(くろう)(負けたらこっちの秘密も教えなくちゃいけないけどね)
九郎(くろう)(このチョーカー)
九郎(くろう)(彼女の秘密をすべて明かせば、外すことができるらしい)
九郎(くろう)(でも、逃げようとしたり、ゲームに負けたのに嘘を吐いたりしたら──)
《燕》(スワロー)「ヌシを殺す?」
九郎(くろう)(うん)
《燕》(スワロー)「・・・・・・。して、いったいどんなゲームをしておるのじゃ?」
《燕》(スワロー)「食べさせあいっこをしておるようにしか見えぬのじゃが」
九郎(くろう)(《食べさせあってお互いの好物を当てるゲーム》だよ)
《燕》(スワロー)「わからぬ・・・。 なんでそんなゲームを?」
九郎(くろう)(それを知るためにも、ゲームに勝たないとね)
深白(みしろ)「クロくーん」
深白(みしろ)「お話は終わった?」
九郎(くろう)「なんのことかな?」
深白(みしろ)「ツバメさん、戻ってきたね」
九郎(くろう)「お見通し?」
深白(みしろ)「神様だもん♪」
九郎(くろう)「どこまでわかるの?」
深白(みしろ)「えー? 気分次第かな?」
深白(みしろ)「あ、ゲームはフェアにやるから安心してよ。 じゃないと、おもしろくないもんね」
深白(みしろ)「それよりー」
深白(みしろ)「よそ見してると負けちゃうよ?」
深白(みしろ)「ゲームはまだ途中なんだから」
深白(みしろ)「じゃ、今度はわたしのターン!」
深白(みしろ)「ドロー!」
深白(みしろ)「わたしは手持ちの皿から麻婆豆腐を選択!」
深白(みしろ)「クロくんの口にイートイン!」
九郎(くろう)「イートインの使い方あってるの?」
深白(みしろ)「ニュアンスだー。口開けろー」
深白(みしろ)「──どう?」
九郎(くろう)「熱いね」
深白(みしろ)「フーフー、はい」
深白(みしろ)「──どう?」
九郎(くろう)「辛いね」
深白(みしろ)「くっ、手強い!」
九郎(くろう)「そうかな」
深白(みしろ)「なに食べても表情が変わらないんだもん」
深白(みしろ)「フツーさぁ・・・女の子に、フーフーされたらさぁ・・・」
九郎(くろう)「今度は僕の番だね」
九郎(くろう)「このスクランブルエッグを──」
深白(みしろ)「うん。ちょーだい♡ あーん」
深白(みしろ)「んー! おいしー!」
《燕》(スワロー)「のう。なぜ卵料理ばかりなのじゃ?」
九郎(くろう)(食べる料理は互いに5品を指定してて)
《燕》(スワロー)「娘が卵料理ばかり指定したのじゃな」
九郎(くろう)(どれも好きな料理なんだろうね)
九郎(くろう)(その中から1番を当てなきゃいけない)
九郎(くろう)(これは、そういうゲームだ)
九郎(くろう)「・・・・・・(じーっ)」
深白(みしろ)「もう、恥ずかしいよぅ」
九郎(くろう)「だからそういうゲームだよね?」
〇ファミリーレストランの店内
~5分後~
九郎(くろう)「はずれ」
深白(みしろ)「うっ」
九郎(くろう)「そっちは? 温泉卵は当たり?」
深白(みしろ)「・・・当たり」
九郎(くろう)「僕の勝ちだね」
深白(みしろ)「ううう、くやしい負けたー!」
深白(みしろ)「クロくん! 正解は!?」
九郎(くろう)「七草がゆ」
深白(みしろ)「七ッ──理由は!?」
九郎(くろう)「1番栄養の摂取効率がいいんだよね」
深白(みしろ)「味、関係なかった!?」
九郎(くろう)「好きなものであって、好きな味とは言ってなかったよね」
深白(みしろ)「くっ、策士。策士だねクロくん!」
九郎(くろう)「選択肢に好物だけを並べてきた渕上さんも相当だったよね」
深白(みしろ)「決め手はなんだったの?」
九郎(くろう)「単純な計算だよ。キミが、うっとりと目を閉じてる時間がコンマ2秒だけエッグタルトのときより長かったんだ」
深白(みしろ)「え、おもしろすぎ」
九郎(くろう)「おかしなことは言ってないと思うけど」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)