第3話 『命がけの作戦』(脚本)
〇説明会場(モニター無し)
~放課後~
深白(みしろ)「ここならじっくりお話できるねー」
深白(みしろ)「あはっ、2人で教室から出たところを見られちゃったから、クラスのみんなには逢い引きしてるって思われてるかもねー?」
深白(みしろ)「どうしよう! どうする?」
九郎(くろう)「べつに逢い引きだと思われたからって、どうもしないけど」
九郎(くろう)「話をするんだよね?」
深白(みしろ)「ししし! やっぱりクロくんはおもしろいなぁ・・・」
深白(みしろ)「っと、じゃあ、お話の前に」
深白(みしろ)「キミとふたりきりになりたいから、余計なヒトには退場してもらわないとねー」
深白(みしろ)「窓の外からのぞき見してるツバメさん♪」
《燕》(スワロー)「んな! なんじゃこの白い蛇は! いきなり現れて、巻き付いて──がッ」
九郎(くろう)(《燕》?)
九郎(くろう)(どうしたの? 無事なら返事を)
九郎(くろう)(──応答なし)
深白(みしろ)「クスクス・・・」
深白(みしろ)「これでホントにふたりきりだよ、クロくん」
九郎(くろう)「・・・・・・」
深白(みしろ)「うーん。仲間がやられたのに、表情かわらないね? クロくん」
深白(みしろ)「もっとキミの怒った顔が見たかったんだけどな、ざーんねん」
九郎(くろう)「やることは変わらないからね」
深白(みしろ)「やること?」
九郎(くろう)「プランBだよ」
深白(みしろ)「ぷらんびー?」
九郎(くろう)「渕上さん。これから僕は」
九郎(くろう)「キミを拷問する」
深白(みしろ)「──あはっ」
九郎(くろう)「話はそのあとにしよう」
〇黒
~某所~
《燕》(スワロー)「むあああ! あの神娘(かみむす)! よくもワシの《子機》を破壊してくれおったな~!」
《燕》(スワロー)「ぐぬぬぬ。新しい《子機》との接続はすぐにはできぬし・・・」
《燕》(スワロー)「・・・だめじゃ。校内に仕掛けておいたカメラも全部壊されておる」
《燕》(スワロー)「《鴉》・・・」
《燕》(スワロー)「プランBで、あの神娘(かみむす)を拷問すると言っておったが」
《燕》(スワロー)「反撃されでもしたら、死ぬかもしれん・・・」
《燕》(スワロー)「くっ、いつもそうじゃ。あやつは自分の命さえ道具以上には思っとらん」
《燕》(スワロー)「無事でおれよ・・・!」
〇説明会場(モニター無し)
九郎(くろう)(うん。携帯性が良いから持ってきてたけど、《鋼糸》(こうし)はやっぱり便利だね)
九郎(くろう)(そして、ここまでしても・・・)
九郎(くろう)(僕は無事だ)
深白(みしろ)「クス、クスクスクス・・・」
深白(みしろ)「無抵抗な女の子を一方的に嬲(なぶ)ってくれちゃってさ」
深白(みしろ)「クロくんてば、意外にSなんだ?」
九郎(くろう)「必要な行動だからね」
九郎(くろう)「それで、どう?」
九郎(くろう)「話してくれる気になったかな?」
深白(みしろ)「クス、クスクスクス・・・」
九郎(くろう)「まだ足りない?」
深白(みしろ)「っ!?」
深白(みしろ)「あっ! ぅっ!」
深白(みしろ)「はぁ、はぁ・・・」
深白(みしろ)「痛い・・・いたいなぁ・・・痛い!」
深白(みしろ)「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
深白(みしろ)「痛いよぉ、クロくん・・・」
九郎(くろう)「うん。痛くしてるからね」
深白(みしろ)「ヒドい・・・」
九郎(くろう)「普通の人なら、ぜったいに耐えられない痛みだと思うよ? でも、そうか」
九郎(くろう)「痛みはあるんだ」
九郎(くろう)「ごめんね」
九郎(くろう)「殺す方法を教えてくれたら、苦しませずに殺してあげるよ?」
深白(みしろ)「あはっ!」
深白(みしろ)「やっぱりキミってばおもしろいねぇ! クロくん!」
深白(みしろ)「・・・で? もう終わりかな? 女の子の体をこんなにしてくれちゃって、満足?」
九郎(くろう)「そうだね。 僕の腕だと、これ以上はキミを殺してしまう」
九郎(くろう)「そうなれば、キミの意思とは関係なく僕は『消失』させられて、キミは何事もなく復活するだろうからね」
深白(みしろ)「へぇ、すごいすごい!」
深白(みしろ)「ちゃんとわかってるんだ」
九郎(くろう)「前任者のおかげでね」
九郎(くろう)「──じゃ、解(ほど)くよ」
ドシャ!
深白(みしろ)「いたっ!」
深白(みしろ)「ううう」
深白(みしろ)「でも、これで・・・こうして、こう!」
深白(みしろ)「ししし、ミシロちゃん、ふっかーつ! あー、痛かった!」
深白(みしろ)「再生する端から容赦なく削ってくるんだもんなぁ。ひどいよ」
九郎(くろう)「必要だったからね」
深白(みしろ)「ふーん?」
深白(みしろ)「でも拷問なんてして、わたしがその気になるとは思わなかったのかな?」
九郎(くろう)「それを確かめたかったんだ」
九郎(くろう)「おかげで確信できたよ」
九郎(くろう)「キミは無害だ」
深白(みしろ)「え?」
九郎(くろう)「組織にはそう報告しておく。これからは無意味に渕上さんを殺そうとする者はいなくなるはずだよ」
九郎(くろう)「もちろんキミは特級の不安材料だ」
九郎(くろう)「常に監視はつくことになる」
九郎(くろう)「監視に意味はないだろうけど、まあそこはカタチだからね」
九郎(くろう)「けど渕上さんにとってはそんなのたいしたことじゃないでしょ?」
深白(みしろ)「うーん。どうかなぁ。お風呂や着替えをのぞかれるのは困るー・・・」
深白(みしろ)「って、いやいや。ちょっと待って」
深白(みしろ)「え? なんで?」
九郎(くろう)「なんでって?」
深白(みしろ)「わたしが無害? なんでそんな結論に?」
九郎(くろう)「だって渕上さん、キミは神様じみた力があるけど、自分からは何もしないよね」
深白(みしろ)「・・・・・・」
九郎(くろう)「渕上さんが自分から何もしないことは、これまでの行動から予想できてたんだ」
九郎(くろう)「そして、限界まで拷問した僕がこうして無事でいられたことで、確信できた」
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