双子の秘密

NekoiRina

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〇謁見の間
チヒロ「♪彷徨う二人の罪と~ 置いていく時間だけがすり抜ける~」
ハルカ「♪一人だけ密かに夢を見ていた~ 見失いそうになる境界線~」
友人「はぁ。今日もレコルトはかっこいいなぁ。 ね、由美那もそう思うよね?」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「え!?・・・あ、ああ、うん」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「そうだね・・・」
  私は姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)。
  友人がスマホで熱心に見ているのは
  今、私たち若者の間で超絶人気な
  双子アイドルユニット
  「レコルト」のライブ映像。
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(言えない・・・)
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(まさか、二人が私の・・・)
  ペットだなんて・・・!

〇屋敷の門
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「ただいま戻りました~・・・」
チヒロ「おかえり、姫!」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「あ、ああ、早かったんだね、 チヒロくん」
ハルカ「俺もいるよ?おかえり」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「ハルカさんも! 二人揃ってるなんて珍しいね」
チヒロ「ちょっと体調不良でさぁ。昼からの撮影、 夜からに変えてもらったんだぁ」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「体調不良!? 大丈夫なの・・・?」
ハルカ「大丈夫だよ、単なるエサ不足だから」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「うっ・・・」
チヒロ「姫?僕たちにエサ、ちょーだい?」

〇屋敷の大広間
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「じゃあ、まず・・・ハルカさんからね?」
チヒロ「ちぇっ。いっつもハルカからじゃん」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「えーっとそれは・・・ お兄ちゃんだから!」
チヒロ「ええ~お兄ちゃんって言っても 数十秒の差なのにぃ~」
ハルカ「チヒロ。うるさい」
  文句を言うチヒロくんをよそに、
  ハルカさんは慣れた手つきで服を脱ぐ。
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(うぅ・・・ いつまで経っても慣れないなぁ)
「はい。じゃあ姫?お願い」
  ハルカさんは一糸まとわぬ姿で
  部屋に敷かれた布団に横たわった。
  私は、あまりジロジロ見ないように
  目をそらしながら
  布団の端に
  ちょこんと正座した。
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「じゃあ・・・いくよ・・・?」
「うん」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「・・・んっ・・・痛・・・っ」
  私はポケットから、二人にもらった
  銀色の鋭いナイフを取り出し
  自身の左腕に押し当てた。
  私の左腕から流れ出る血液は
  ハルカさんの綺麗な身体に
  ポトリとしたたり落ちる直前
  サラリとした赤い砂へと変化した。
  その、赤い砂がハルカさんの身体に
  降りかかった瞬間。
ハルカ(黒猫)「にゃー!」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「よし!今日も上手くいったー!」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「よーしよしよし、 早くキャットフードもらっておいで~」
  黒猫は、
  嬉しそうに台所へと走って行った。
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「よし。 じゃあ次はチヒロくんね?」

〇テクスチャ
  説明しよう。
  双子アイドルユニット「レコルト」。
  この双子は特異体質の持ち主で
  人間の姿のままでは栄養補給できない、
  何とも不便な身体なのだ。
  猫になれば栄養を吸収できるが、
  猫に変身するには「赤い砂」という
  不思議な砂が必要で
  その砂を生み出すことが出来るのは
  この世に私しかいないのだ。

〇屋敷の大広間
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(自分の血液が砂に変わった時は ほんっとビックリしたなぁ~・・・)
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(最初は・・・こんな自分が・・・ 気持ち悪くて仕方無かった)
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「でも、二人は私を必要としてくれた」
  児童養護施設で育った私には
  家族がいない。
  ずっと独りで生きていくのだと
  自分の人生に、何の期待もしていなかった。
  そんな私の目の前に
  二人は颯爽とやってきて
  私を家族にしてくれた。

〇養護施設の庭
チヒロ「やっと見つけた。ねぇ、君。 僕たちをペットにしない?」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「はぁ?あんた、だれ」
友人「きゃーーーー!ゆみなちゃん! その人たち、知り合いなの!?」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「え、知らない。誰?」
友人「誰って!レコルトじゃない! ほら!有名なアイドルさんだよー!」
チヒロ「わぁ~知ってくれてるんだ。 嬉しいなぁ!」
友人「私、ずっとファンで・・・ あの、握手して下さい!!」
ハルカ「おい、チヒロ。話はついたのか?」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「うげ!おんなじ顔!」

〇屋敷の大広間
  「赤い砂」を生み出すかわりに、私には
  何不自由のない生活が与えられた。
  いつも元気で明るいチヒロくん。
  いつも穏やかで優しいハルカさん。
  こんな私を必要としてくれる
  私の・・・家族。
  でも時折、不安がよぎる。
  「赤い砂」が生み出せなくなったら
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「私はまた・・・捨てられるのかな」
チヒロ(白猫)「にゃー!」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「よし、チヒロくんも成功! 一緒に台所、行こう!」

〇綺麗なキッチン
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「ふふ。二人とも、 そんなに急いで食べたらノドにつまるよ?」
ハルカ(黒猫)「・・・いつも悪いな。 姫にばかり痛い思いをさせて」
  黒猫になったハルカさんが、
  傷付いた私の腕にスリスリと頬を寄せた。
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「ううん、いいの。 二人の役に立てるなんて嬉しいよ」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(それに・・・私・・・)
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(猫、めっっちゃ好きだし!)
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(あぁ・・・ずっと猫のままで いてほしいぐらいだよ・・・)
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)(モフモフしたい・・・)
チヒロ(白猫)「おい、姫。 全部声に出てるぞ」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「い!? あ、いやそのこれは・・・」
ハルカ(黒猫)「いいぞ」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「・・・え?」
ハルカ(黒猫)「モフモフ。してもいいぞ?」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「え・・・いいの・・・?」
ハルカ(黒猫)「エサのお礼だ」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「じゃ・・・じゃあ、遠慮なく!」

〇屋敷の大広間
チヒロ「はぁーあ。姫は人間の姿だと 抱き締めてはくれないからなぁ」
ハルカ「ほんっと。いつになったら 俺たちの気持ちに気付いてくれるのやら」
チヒロ「この呪いが解けたら・・・ 決めた!僕は姫に告白する!」
ハルカ「はぁ?抜け駆けすぎるだろ! 俺もする」
チヒロ「はぁ!?真似すんなよな! 僕が先に決めてたんだからな!」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「うーん・・・むにゃむにゃ・・・」
ハルカ「危なかった・・・ 起こしちまうところだった」
チヒロ「あぁ・・・でもほんっと可愛いよな モフモフしたまま眠るなんて」
ハルカ「動けないけど・・・幸せだ」
チヒロ「ほんっとそれな。僕たち、 もう一生、猫のままでいいんじゃね?」
姫坂 由美那(ひめさか ゆみな)「うーん・・・むにゃむにゃ・・・ ・・・捨てないで・・・」
「・・・」
ハルカ「・・・お前を捨てたりしない」
チヒロ「僕たちは・・・ずっと家族だよ」

コメント

  • 少しのファンタジー設定と、双子・モフモフといった要素が物語全体を面白くしているなと感じました!胸キュン要素が2000字に詰まった作品でした!
    素敵な物語、ありがとうございました!

  • モフモフにキュンですか❤いいですね!しかもモフモフがイケメンなんて!(彼女はあんまり興味がないようですが)
    斬新な設定で楽しませていただきました😊

  • すごい設定のストーリーで、斬新で面白かったです。早く2人の呪いが解けて、姫に告白して、3人でずっと仲良く暮らしてほしいなぁと思います。

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