第13話 『世界の存亡を賭けた死闘』(脚本)
〇山の展望台(鍵無し)
黒崎検事「貴様はやりたい放題か! 監督に謝れ!」
相田英雄「それで、ヤギちゃん。あの怪獣って強いの?」
八木カモメ「強いよ。 ヤギラはヤギンゲリオンの1.5倍強いから」
相田英雄「・・・ああ。うん、分かった。 そういう設定なのね」
相田英雄「・・・・・・」
相田英雄「というかさ、あの怪獣とロボットの戦いってさ、名前からしてヤギちゃんの独り相撲だよな」
黒崎検事「もはやただのマッチポンプだからな」
ヤギラ「あんぎゃぁぁぁぁ~!」
バキッ、ドカッ
相田英雄「とはいえ、強いなヤギラ」
黒崎検事「一方的にヤギンゲリオンをボコボコにしているな」
八木カモメ「そりゃそうだよ。なにせヤギラはヤギンゲリオンの1.5倍──」
相田英雄「ヤギちゃん、それ、自分で言ってて空しくならない?」
〇山の展望台(鍵無し)
──30分後
相田英雄「一方的な展開だね」
黒崎検事「どう見てもヤギンゲリオンはKO寸前だな」
「・・・・・・」
相田英雄「いや、だけど」
黒崎検事「それにしても」
八木カモメ「粘るな、ヤギンゲリオン」
〇山の展望台(鍵無し)
──さらに30分後
相田英雄「・・・あのさ。さっきから状況はほとんど変わらなくて、相変わらず一方的にヤギラが攻めているけどさ」
相田英雄「なんかヤギラ、疲れてきてね?」
黒崎検事「というか、ずっとやられっぱなしのヤギンゲリオンをなぜ倒せないんだ? ずっとギリギリで粘っているぞ?」
八木カモメ「・・・・・・」
八木カモメ「・・・あーっ! そういうことか!」
相田英雄「えっ! な、なに? どうしたの、ヤギちゃん。突然大声出して?」
八木カモメ「あれだ! あれのせいだ!」
黒崎検事「なんだ、あれって?」
八木カモメ「背中の乾電池! 無限エネルギー!」
相田英雄「・・・えっ、ということは?」
八木カモメ「確かにヤギラの方がスペックは1.5倍だけど」
八木カモメ「ヤギンゲリオンのエネルギーは無限だ」
黒崎検事「・・・つまり、どういうことだ?」
八木カモメ「ヤギンゲリオンは、決してへばらない!」
〇山の展望台(鍵無し)
──さらにさらに30分後
相田英雄「あーあーヤギラが完全にへばった!」
黒崎検事「そりゃ一時間以上、攻め続けているのに、向こうは一向に倒れないからな。精神的にもくるだろうな」
黒崎検事「所詮は生物。ロボットとは根本的に違う」
相田英雄「むしろヤギンゲリオンが反撃し始めてね?」
黒崎検事「体力の差で能力差をひっくり返したと言ったところか」
相田英雄「・・・! おい、向こうから何か飛んできたぞ!」
黒崎検事「なんだ、あのデカい剣は?」
八木カモメ「・・・・・・」
八木カモメ「たぶん秘密基地から飛んできた対ヤギラ用の決戦兵器だと思う」
「そういえば、そんな設定もあったわ~」
〇山の展望台(鍵無し)
──もう30分後
相田英雄「ねえ、マジでヤギラがヤバくない!? めっちゃズタズタだけど!?」
黒崎検事「あのデカい剣が飛んできてから能力値はほぼ互角。その上でヤギンゲリオンは疲れ知らず」
黒崎検事「完全に試合がひっくり返ったな」
相田英雄「こういう展開知ってる。よくロボットアニメであるヤツ。自分より強い悪者を知恵とか勇気とか根性とかでなんとかするヤツ」
相田英雄「というかヤバって! このままだとマジでヤギラ負けるって!」
黒崎検事「ヤギ! 何か手立てはないのか! ヤギラをフォローしろ、フォロー!」
八木カモメ「うーん。・・・ああもう、じゃあこれでどうだ!」
八木カモメ「『俺の願い、発動★』」
ピカッ
「!」
「・・・・・・」
相田英雄「ヤギンゲリオンが・・・消えた?」
黒崎検事「いや、よく見ろ! あそこだ! ヤギラの足元!」
相田英雄「ヤギンゲリオンがメッチャ小さくなった! 人間くらいになった!」
八木カモメ「人が生身で巨大怪獣に勝つのは不可能だ!」
ヤギラ「ぐぎゃあああ~!」
プチン
相田英雄「踏み潰された~! ヤギンゲリオンがあっさりとヤギラに踏み潰された~!」
八木カモメ「正義は必ず勝つ!」
相田英雄「・・・いや、その正義に楯突いたロボット作ったの、ヤギちゃんだから」
黒崎検事「しかもこんな勝ち方をしたヤツに正義を語られても何も響かないがな」
八木カモメ「止めて、それ以上言わないで。 自分でも分かっているから」
相田英雄「というか、凄いけど、ズルくね? 『カウント3』」
黒崎検事「分かっていたが何でもアリだな」
相田英雄「まあなんにしても、これで世界脅威は去って、めでたしめでたしってことで──」
八木カモメ「いや、まだ終わってない」
相田英雄「えっ?」
八木カモメ「まだ秘密基地が残っている! 基地が残っているとヤギンゲリオン弐号機が出てくる可能性が──」
黒崎検事「あーっ! もうそういう設定はウンザリだ! いいから、さっさとどうにかしろ!」
相田英雄「というかさ、秘密基地ってどこにあるの?」
黒崎検事「そういえばステルス機能を付けた記憶があるぞ。そうなると見つけるのは骨が折れる──」
八木カモメ「大丈夫だって。ねぇ、ウラたん」
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