カウント3 ~もうすぐ世界がヤバイそうです~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第9話 『検証実験 その2』(脚本)

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〇森の中
八木カモメ「今日の授業中。 勉強そっちのけで色々と考えました」
八木カモメ「世界の脅威の原因が何か分からない今、やるべきことはなにか?」
八木カモメ「そして、どんな脅威にも対応できる準備をしておくべきである、と思い立ちました!」
黒崎検事「ほう、ヤギの癖にまともなアイデアだ」
相田英雄「それで、具体的には?」
八木カモメ「悪と戦う組織を作る、というのはどうだろう」
相田英雄「おお、いいじゃん。どんな組織を作るの?」
八木カモメ「悪の組織と戦うなら、そりゃ巨大ロボットと秘密基地でしょ」
「・・・・・・」
相田英雄「まあ、ヤギちゃんらしいといえばヤギちゃんらしいか」
黒崎検事「安易な発想だと素直に言ってやれ。・・・だが、それでわざわざこんな人気のない山間にやってきた、という訳か」
八木カモメ「今からここでロボットを出して、さらに秘密基地も作ろうと思う」
相田英雄「そんな無茶苦茶な」
黒崎検事「だがそんな無茶苦茶が出来るのが『カウント3』だ」
黒崎検事「それに願いの具現化がどの程度可能かというのは、今後の為にも欲しいデータだ。やる価値は十分にある」
八木カモメ「じゃあ早速やってみよう。まずは最初の願いでロボットを出すところから──」
黒崎検事「ああ、そのことだが、ヤギ。ロボットと秘密基地は一つの願い事で出せるかやってみろ」
八木カモメ「? どゆこと?」
黒崎検事「1つ目の願いで『ロボットを出す』。 2つ目の願いで『秘密基地を作る』ではなく」
黒崎検事「『ロボットと秘密基地を出す』という1つの願いで実現してみるんだ」
相田英雄「なるほど。 これが成功すれば、願い事が1つ節約できる」
黒崎検事「願い事の仕方によっては、どこまでできるか、という実験だ。これが実現できれば、願い事の幅はグッと広がる」
八木カモメ「なるほど。よし、じゃあやってみよう」
八木カモメ「えーっと、まずは『俺の願い、発動★』」
  ピカッ
「やっぱダセェ」
八木カモメ「それはもういいから。 えーっと、それで願い事が・・・」
八木カモメ「『巨大ロボットと秘密基地がワンセットで、いでよ!』」
  ビカン、ビカカカカーン
相田英雄「うおっ、眩しい。それに凄い風が!」
黒崎検事「風は・・・止んだが。 ・・・・・・! ・・・おい、見てみろ!」
相田英雄「おおおおっ! マジか!」
  デデン
八木カモメ「成功だ」
相田英雄「スゲェ! マジだ! マジでロボだ! 巨大ロボだ!」
黒崎検事「全長何メートルあるんだ? ・・・目測では正確には分からないが50メートルくらいか?」
相田英雄「あと、向こうに巨大な施設がいつの間にかできている!」
黒崎検事「この山間には似つかわしくない近未来的な施設。まさに秘密基地といった感だな」
相田英雄「というかさ、このロボット」
黒崎検事「どう見てもエ●ァのパクリっぽいな」
八木カモメ「ち、違うから! これは俺が考えたオリジナルのヤツですから!」
黒崎検事「なら、このロボットの名前は」
八木カモメ「・・・ヤギンゲリオン」
「めっちゃパクリじゃねぇかよ」
黒崎検事「それで? これはどうやって動くんだ?」
八木カモメ「操縦者が乗って動かすこともできるけど、ダミーシステムっていうオートで動く機能が搭載されて──」
「エ●ァじゃん」
八木カモメ「オリジナルだから!」
相田英雄「まあでも、これなら巨大怪獣が相手でもやれそうじゃん」
黒崎検事「なら次は秘密基地の中も見てみたい。 あの中には入れるんだろ?」
八木カモメ「もちろん」

〇近未来の通路
「・・・・・・」
  し~ん
相田英雄「誰もいない?」
黒崎検事「いや、微かに人の気配があるような。 それに施設自体も動いているようだ」
黒崎検事「ヤギ、これはどういうことだ?」
八木カモメ「そりゃ秘密基地だからじゃない」
黒崎検事「?」
八木カモメ「だって秘密基地って、誰もが秘密裏に行動しているから、秘密基地っていうんでしょ」
相田英雄「・・・・・・」
黒崎検事「・・・分かっていたが、コイツ阿呆だな」
相田英雄「だけどそのヤギちゃんが思った通りの設定が、きちんと反映されている訳ね」
黒崎検事「それで、ヤギ。この秘密基地はどういったことをする場所なんだ?」
八木カモメ「主にヤギンゲリオンのメンテ・バックアップ」
八木カモメ「敵に応じてパーツを強化したり、新しく武器を作ったりとか、その用途は多岐に分かるって感じかな」
黒崎検事「臨機応変に立ち回れる準備はできている。 その辺の設定はちゃんと考えているんだな」
八木カモメ「実際、そういうのが重要になってくると思うんだ。なにせヤギンゲリオンは数分間しか動けないから」
「エ●ァじゃねぇか」
八木カモメ「違う! オリジナルだから!」
相田英雄「というかさ、そこら辺の燃料事情は適当に設定を付ければよかったんじゃない?」
八木カモメ「いや、でもさ。数分間しか動けなくて、その中でどうにかするってところがカッコイイいいじゃん」
「エ●ァじゃねぇか」
八木カモメ「それはもう、いいから!」
黒崎検事「だが、実際問題。脅威の種類によっては、その制限時間が致命的になりかねないぞ」
相田英雄「だよな。 すぐに動けなくなるっていうのはヤバイよな」
八木カモメ「・・・言われてみれば、確かにそっか」
黒崎検事「この辺りについては、願い事を発現する前に、ヤギの考えた設定を聞いて、事前に指摘する必要があったのかもしれんな」
相田英雄「次回からそうするとしてさ。とりあえず、今あるロボットを『カウント3』を使って即席で強化できないのかな?」
相田英雄「オプション追加で、無限エネルギー装置を付ける、みたいな感じでさ」
黒崎検事「なるほど。それは確かめてみたいところだな」
黒崎検事「脅威によっては、急な対応を求められることは十分に考えられる」

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