大好きな場所へ(脚本)
〇駅のホーム
「お客様にご詫び致します。 先程の地震をうけまして、 安全確認をおこなった結果 本日は運転再開できません・・・」
ゆうき「マジか・・・ どうやって帰ろう」
ゆうき(近くのホテルはいっぱいか ほかは・・・)
ゆうき「『✕✕✕学園では帰宅できない人に教室を開放します』」
ゆうき「・・・」
〇華やかな寮
ゆうき「こんな理由で帰ってくるとはな」
ゆうき(もう何年になるだろう ・・・アレ、もういないといいけど)
「ゆウくんだぁ 元気ニしてタ?」
ゆうき「まだいんのかよ・・・」
ゆうき(こいつがいるから、ずっと来なかったのに)
〇華やかな裏庭
「ハァッ ハァッ なんだよあの声・・・!」
(怖い。なんで俺にしか聞こえないんだ)
「なんで逃げルのォ?」
「ヒッ・・・ 来るなよ!! こっちに!!」
〇華やかな裏庭
ゆうき(あの声からいつも逃げてた ・・・今いる生徒にも、聞こえて困ってるやついんのかな)
「そっチ行かなイで 遊ボうよ」
ゆうき(・・・無視だ、無視 あの声が聞こえない場所へ行けばいい。 そうだろ?)
〇華やかな広場
ゆうき(・・・ 追ってきてないか・・・?)
ゆうき「はぁ〜〜」
ゆうき(あの頃はここに住みついた猫がいた 昼休みに撫でて、癒やされて、 毛だらけの制服で教室に帰った)
ゆうき(猫の君って呼ばれてる、って 人から聞いたときは笑ったな)
「ニャ~」
ゆうき「まさか」
ゆうき「ミルク! まだいたんだな!」
ゆうき(膝があったかい)
ゆうき「ずっと会いたかったんだ 元気にしてたか?」
ゆうき「ははは 相変わらずかわいいな! 今の生徒たちもお前を 可愛がってくれるか?」
ミルク「ニャ~ン」
ゆうき「あっ おい、どこ行くんだ?」
〇荒廃した教会
ゆうき「ミルクー? うーわ・・・派手に崩れてんな 荒れてたとこにあの地震だもんな」
ミルク「ニャン」
ゆうき「あ。いた おい、危ないぞ そっちに行っちゃダメだ ・・・ったく」
「ガタッ」
ゆうき「ミルク!! 大丈夫か?」
ゆうき「えっ!?」
ミルク「ニャ〜」
ゆうき(在校生か。制服変わってないもんな)
ゆうき「ここ立入禁止だろ? 入っていいのか? ・・・いや俺が言うのも変か」
ゆうき「えっと俺、ここの卒業生で。 今日帰れないから教室借りに来た人です・・・怪しい者じゃなくて。 それで、」
マドカ「立入禁止ですよ でもいつも来てます」
マドカ「・・・ここは、声聞こえないんで すいません 変ですけど本当なんで、 ここじゃないと声が聞こえるから」
ゆうき「・・・君も聞こえるのか」
マドカ「え?」
ゆうき「俺も、ずっと聞こえてたんだ いやさっきも聞こえたから、過去じゃない 今も聞こえてる」
マドカ「本当に・・・? こっちおいで、遊ぼう、みたいな・・・ 怖い声で・・・」
ゆうき「さっきも言われた 俺もよくこの近く来て、ミルクと遊んで 休んでから教室戻ってた」
ゆうき「そっか 俺うれしいんだな」
ゆうき「俺は怖くて、誰にも言えなかったから、 本当は他にも声が聞こえる人がいた のかもしれないけど」
ゆうき「君が、話してくれたから 同じ人がいたんだ、って初めて知れた ありがとう」
〇華やかな広場
ゆうき「ここも、声聞こえないよ」
マドカ「ありがとうございます」
ゆうき「声自体を消すことは、俺にはできないけど、 3年間ごまかせた対処方法は教えられるし、」
ゆうき「君は、人に助けを求められる人だから。 きっと大丈夫」
マドカ「・・・あの。 今日はここに泊まるんですよね?」
マドカ「話もっと聞きたいです・・・」
ゆうき「いいよ!」
ミルク「ニャ~」
マドカ「ミルクちゃん、 猫の君って人が名付け親だと聞きました」
ゆうき「あー・・・ それ俺だね」
マドカ「えっ」
ゆうき(ここで生活してた時期にだって、 いいことはあったし、 今につながってることもあるんだな)
ゆうき(帰ってきてよかった)
不思議な設定でのミステリアスな展開、読んでいる側もこの神秘的な空間に囚われるようでした。それと、ミルクの愛らしさにやられました!
不思議な声の主は誰なんでしょうね。
彼女にもそれが聞こえる…ということは、実際に聞こえてるのかな?と思いました。
奇妙で興味深い作品です。
地震が起こらなければ帰る必要もなかった母校で、神秘的な体験を共有できる人に逢えてよかったですね。それまで思い抱えていたものを開放できたような。ミルクちゃんはその声に何か関係しているのでしょうか。