ライフを読めたら?(脚本)
〇古本屋
〇古本屋
〇本屋
〇本屋
〇本屋
いつも立ち寄る書店で、小説の本を棚から取ろうとしたさい、一冊の本が棚から落ちた。
ひろいあげてみると、『ライフブック』という題名の本だった。
装丁はハードカバーで、海のような画像のなかに、白い文字の題名が、静かに浮かんでいるようにみえた。
大きさは文庫本のようにも、大きな辞典の本みたいにもみえた。
パラパラとページをめくると、驚いたことにぼくと里穂の名前がでてきた。
文字は印刷されたものではなく、ぼくの手書きの文字によく似ていた。印刷された文字よりも力強く、しっとりと心に沁みてくる。
〇海辺
物語は、ぼくが荒井浜の漁村で産まれてから、二十歳の頃に里穂と出会い、
それから二人の数年間の、さまざまな出来事がそのままに綴られていた。
一人称の語り口で、ぼくから見て感じた事柄だけが書かれていた。そして最後のページには、
里穂に誤解されたまま、連絡をとるにとれない今の状況を描いたままで終わっていた。
つぎのページからは白紙のページが数十ページが続き、本を閉じたとたん目が覚めた。不思議な夢だった。
〇男の子の一人部屋
今日は休日。いつもなら里穂と会って食事をしたりする日なのだが、しばらく電話やラインもできずにいた。
しかし、妙な夢をみたせいか、どうしても里穂と話がしたくなり、電話をかけた。
しかし、なんど電話をかけても話し中でつながらない。いったい誰と長電話をしているんだろう。
仕方なく、電話してほしいと、ラインを送った。するとすぐに里穂から電話がかかってきた。
〇ファンシーな部屋
〇ファンシーな部屋
里穂「隆志、いままでなんども電話したのに、つながらなかったけど、誰と話していたの?」
〇男の子の一人部屋
少しイライラした里穂の声でも、久しぶりに里穂の声を聞いてうれしくなり、そしてほっともした。
隆志「ぼくもずっと里穂に電話していたんだ」
〇ファンシーな部屋
里穂「そうかぁ、笑っちゃうね。おたがい同時に電話をかけあっていたんだね」
〇男の子の一人部屋
電話から、里穂の笑い声が聞こえてきた。ぼくも笑いをかみしめていた。それから久しぶりにぼくの部屋に里穂がやってきた。
〇男の子の一人部屋
〇男の子の一人部屋
隆志「ところで里穂。なんか今朝さ、不思議な夢をみたんだ」
里穂「私も。私が産まれたときから隆志と出会って今に到るまでの本を読んでる夢でね、まるで私の書いた日記を読んでるみたいだったな」
隆志「本当かい? ぼくもおなじような夢でさ」
里穂「ええっ本当?! でも、まえにもなんどか似たような夢をみたことあったよね」
隆志「でさ、ふたりの物語も会えなくなったところで終わっていてね、あとは白いページだったんだよ」
里穂「私もおなじなの、本当に不思議ね。きっと白いページはさあ、あとはふたりで物語の続きを書きなさいということかもね」
里穂「本を読んでたら、隆志は私にとってとても大切な人なんだと思いなおしていたのよ・・・」
隆志「ぼくもおなじ気持ちになったよ・・・。ところで、里穂なら、白いページの最初になんて書く?」
里穂「教えない。そうだ、空間に本があるって想像して、指で書いてみるわ」
里穂は空間のなかに指でなにかをなぞった。すると突然ぼくのまぶたが閉じてきた。
里穂「あら、ほんとに目を閉じたわ。よし、今度はっと!」
隆志「世界で愛しているのは、里穂だけだよ」
言葉がすらすらと口からでてしまった。
里穂「えへ、嬉しいな!!」
隆志「なんて書いたのさ」
〇男の子の一人部屋
〇男の子の一人部屋
里穂「隆志が本当は、私のことをどう思っているの?って書いたのよ」
〇幻想2
fin
これは、プレゼントにいいですね。常人には作れませんけど。作れたら、♪ LOCK ON〜 LOCK ONってなりますもん。
二人が通じ合っているような描写がとても素敵に思えました。ライフブックの白紙の部分をこれから二人はたくさん埋めていくと思うと、とても幸せな気持ちになれました!
素敵な作品ありがとうございました!
ライフブックが白紙ってことは、これからの二人が綴っていくんですね。
思い合ってる二人の、これからのライフブックってどんな感じなのかな?とも思いました!
素敵なお話だなぁと思ってキュンキュンしました。