第4話 『我らが道を指し示すは眼鏡軍師なり』(脚本)
〇教室
相田英雄「まあ、はっきり言えば、とてもじゃないが信じられない話だけど」
相田英雄「どうやら、この世界に危機が迫っているらしい」
相田英雄「そして滅びを憂う女神が、世界を救うべく、とある高校生に力を授けた」
相田英雄「選ばれし勇者の名はヤギちゃん」
相田英雄「ヤギちゃんが与えられたのは、どんな願いでも3つだけ実現できるという、最強のチート能力『カウント3』」
相田英雄「ヤギちゃんは世界を救う為、『カウント3』の使い道を考え始めたのであった」
八木カモメ「・・・突然語り出してどうしたんだよ、ヒロ?」
相田英雄「いや、ナレーション口調で状況整理することでテンションを上げようと思って」
八木カモメ「なるほど。・・・確かにちょっとテンション上がったかも」
相田英雄「そやろ」
相田英雄「とまあ、ちょっと盛り上がった所で現実的な話をしよう」
相田英雄「この後、どうしようか?」
八木カモメ「・・・・・・」
八木カモメ「うん。さっぱり何も思い浮かばない。 どうしていいか全然わからない」
相田英雄「だよな~。力だけ与えられて、後は勝手に『世界を救え』みたいに言われてもな~」
相田英雄「うーん」
八木カモメ「うーん」
八木カモメ「・・・この状況を打開する方法は1つしかない」
相田英雄「というと?」
八木カモメ「あいつの頭脳を借りようと思う」
相田英雄「あいつって・・・まさか!」
八木カモメ「そう。俺たちの親友にして、学年トップのエリート。そして眼鏡」
八木カモメ「その男の名は」
八木カモメ「黒崎検事」
〇まっすぐの廊下
八木カモメ「──という訳なんだ、クロ」
相田英雄「そういう訳で、サクッと協力してくれ、クロケン」
黒崎検事「・・・・・・」
黒崎検事「・・・ふぅ」
黒崎検事「柄にもなく真面目な顔で話しかけてきたと思ったら、何を言っているんだ、この阿呆共は」
黒崎検事(くろさき けんじ)
カモメとヒーローの親友。頭脳明晰な眼鏡。
とにかく優秀な眼鏡。
黒崎検事「お前らただでさえ阿呆なんだから、冗談を振ってくるならもっと面白い冗談を言え」
八木カモメ「相変わらずめっちゃ口が悪いな、クロは」
相田英雄「そうだぞクロケン! 確かにヤギちゃんはアホだが、俺はアホじゃない!」
黒崎検事「黙れ、スケヒロ。ヤギは頭が阿呆だが、お前は性格が阿呆なんだよ」
相田英雄「意味わかんねぇよ あとその『スケベなヒーロー』でスケヒロって言う安易な呼び方は止めろ!」
黒崎検事「貴様のような阿呆はスケヒロで十分だ。 それを今から証明してやる」
黒崎検事「スケヒロ。簡単な質問だ。 金と女、手に入るとしたらどっちを取る?」
相田英雄「情報が少ない。そこは正確な条件を提示しろ」
黒崎検事「なら金は一億だ。 女は俺たちと同世代のアイドルでどうだ?」
相田英雄「いや、俺はエッチなお姉さんの方が好きだ」
黒崎検事「なら年上の美人。誰もがうらやむ美貌の持ち主。ついでに胸も大きい」
相田英雄「おお! 最高じゃないか!」
黒崎検事「改めて聞く。 一億と絶世の美女、お前はどちらを取る?」
相田英雄「美女」
黒崎検事「即答か」
相田英雄「その美女の為なら俺は一億くらい頑張って稼げる。そうすれば結果的に、俺は美女と大金の両方を手にすることができる」
八木カモメ「おお、流石はヒロ! 思わず拍手な回答だ!」
黒崎検事「・・・だからお前は性格が阿呆なスケヒロなんだ」
黒崎検事「それでだ、ヤギ。さっきの世界の危機やら女神の能力やらの話は、いったいなんの冗談だったんだ?」
八木カモメ「そうだ、忘れてた」
黒崎検事「・・・・・・」
八木カモメ「と、とにかく本当なんだって。 ほら、この手の数字を見てくれ」
黒崎検事「タトゥーシールか何かか? そういうことは中二で卒業しろ」
八木カモメ「なら実際に能力を使ってやる!」
黒崎検事「ほう、面白い。ではやってもらおうではないか。さぞこの俺の度肝を抜く様な凄いことをやってくれるのだろうな」
八木カモメ「そうだな・・・窓の向こう渡り廊下を歩いている教頭に注目」
黒崎検事「あそこにいるズラの教頭か。 それがどうした?」
八木カモメ「(ぶつぶつぶつ)」
ピカッ
黒崎検事「な、なんだ! ヤギが光ったぞ、物理的に! 何かのトリックか!」
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