ほたる迷路(脚本)
〇黒背景
ロケ地の近くにいる
蛍を見ようとしていたのに
道に迷って
肝試しみたいになっていました。
〇黒背景
キュン怖なおはなし
──ほたる迷路──
〇森の中
颯太(そうた)「君と飲みたい」
颯太(そうた)「心がときめく、このお茶を」
颯太(そうた)「いいかな?」
和奏(わかな)「はい、喜んで」
(ゴクゴク)飲む音
「こころときめきゅん茶!」
私たちはCMのロケで
とても自然に恵まれた村に来ていました。
和奏(わかな)(普段、全く撮影緊張しないんだけど)
和奏(わかな)(今日は、とても緊張しちゃったなぁ)
和奏(わかな)(五年前に共演してからずっと大好きな、同じ事務所の)
和奏(わかな)(颯太さんが相手役なんだもんっ)
マネージャー松村「和奏ちゃん、お疲れ!」
和奏(わかな)「お疲れ様です!」
颯太(そうた)「和奏ちゃんお疲れ様!」
和奏(わかな)「あっ」
和奏(わかな)「お疲れ様です」
颯太(そうた)「知ってる? ここから少し歩いた所に、水辺があってそこ、夜に蛍が飛んでて凄く綺麗らしいよ!」
和奏(わかな)「えっ? 見たいかもです!」
マネージャー松村「蛍いる場所の地図、すでに入手してまーす!」
颯太(そうた)「さすが松村さん!」
颯太(そうた)「あ、監督に呼ばれた!」
颯太(そうた)「今、行きます!」
颯太(そうた)「また後でね、和奏ちゃん!」
マネージャー松村「でもね」
マネージャー松村「そこには、子供の幽霊がいて、来た人を迷子にさせて」
マネージャー松村「森の中から出られなくなるとかならないとか」
和奏(わかな)「えー、怖いですね」
〇霧の立ち込める森
私は、ホテルから近い場所という事もあり、
暗くなると、好奇心で蛍を見に来ていました。
和奏(わかな)(えっ、歌声?)
和奏(わかな)(これ、こころときめきゅん茶の歌だわ、そしてこのイケボは・・・)
颯太(そうた)「わぁー!!!!!!!!」
和奏(わかな)「わっ」
和奏(わかな)「どうしてここに?」
颯太(そうた)「今温泉帰りで。蛍いるかな? って思って来てみた」
颯太(そうた)(嬉しいな。大好きな和奏ちゃんと会えた)
和奏(わかな)「蛍、気になりますよね」
颯太(そうた)「一緒に見ようか?」
颯太(そうた)(一緒に見てくれるかな?)
和奏(わかな)「はい!」
和奏(わかな)(わぁ! 嬉しいな!)
颯太(そうた)(よかった!)
10分後
和奏(わかな)「松村さんに教えて貰った通りに進んでいるんですけど・・・・・・」
颯太(そうた)「なかなか蛍がいる場所に着かないね」
和奏(わかな)「なんか同じ道繰り返している気がしますね」
颯太(そうた)「迷ったのかな」
和奏(わかな)「ぽいですね」
和奏(わかな)「えっ! 叫び声? 怖い・・・」
颯太(そうた)「大丈夫! 木とかの音だよ」
和奏(わかな)「えっ! 一瞬、人?見えた」
颯太(そうた)「大丈夫! 影とかが、そう見えただけだよ」
和奏(わかな)「なんかまた影が・・・・・・」
和奏(わかな)「怖い」
颯太(そうた)「大丈夫! 怖くないよ」
和奏(わかな)「ここ、来た人を迷子にさせる幽霊が出るって」
和奏(わかな)「松村さんが言ってました」
颯太(そうた)(まじか・・・・・・怖いの苦手・・・)
颯太(そうた)(でも和奏ちゃん怖がってる)
颯太(そうた)「こうすれば怖くないよ、大丈夫!」
和奏(わかな)(はっ!)
和奏(わかな)(颯太さんが私の手を握ってくれた・・・・・・)
和奏(わかな)(颯太さん、手が震えてる。でも私を気遣って平気なフリを)
30分後
和奏(わかな)「やっぱり、同じ道繰り返していますよね」
颯太(そうた)「だね。疲れてない? ちょっと休もうか」
颯太(そうた)「あっ、あの岩の上、座れそうだね」
和奏(わかな)「ですね!」
子供「ねぇ、何してるの?」
子供「ちょっと遊んで欲しいな」
和奏(わかな)(突然、何?)
颯太(そうた)「いいよ! 何して遊ぼうか?」
子供「お歌を一緒に歌いたい!」
颯太(そうた)「いいよ!」
和奏(わかな)(もしかして、この子って・・・・・・)
和奏(わかな)(松村さんが話していた幽霊?)
和奏(わかな)(でも全く怖くない)
子供「ねぇねぇ、僕ね、すごく足速いんだよ見てて」
颯太(そうた)「見たいな! でもこの辺、走れるかな?」
子供「うん! 大丈夫だよ!」
子供「わぁー!」
颯太(そうた)「危ないっ!」
和奏(わかな)(あっ! 木にぶつかっちゃう!)
和奏(わかな)(あっ! 颯太さんがキャッチした)
和奏(わかな)(アクションもこなす彼だから出来たキャッチ!)
和奏(わかな)(ぶつからなくて良かった)
子供「あー、びっくりした」
颯太(そうた)「大丈夫?」
颯太(そうた)「大丈夫そうかな?」
颯太(そうた)「じゃあ、このまま抱っこした状態で」
颯太(そうた)「高い高い! 飛行機になるんだ」
颯太(そうた)「ビューン」
子供「あははは! 楽しいっ!」
和奏(わかな)(颯太さん、子供にも優しい)
子供は満足すると
子供「今日はありがとう!」
子供「ふたり、ずっと仲良しでいてね!」
子供「蛍はあっちだよ! ばいばーい」
「ばいばーい!」
いなくなりました。
颯太(そうた)「あっち、行ってみよっか」
和奏(わかな)「はい!」
〇黒
〇森の中
マネージャー松村「おーい! 和奏ちゃん、大丈夫?」
和奏(わかな)「あっ、ぼーっとしていました」
監督「颯太さん、大丈夫ですか?」
颯太(そうた)「あ、大丈夫です。なんか、ぼーっとしてました」
和奏(わかな)(颯太さんもぼーっと・・・・・・)
和奏(わかな)(もしかして)
和奏(わかな)「颯太さん、今、もしかして蛍見ようとしていた夢?見てました?」
颯太(そうた)「うん、もしかして和奏ちゃんも?」
和奏(わかな)「はい」
ふたりで同じ夢を見ていたようでした。
颯太(そうた)「蛍、リアルで見に行こうか」
和奏(わかな)「行きましょう!」
颯太(そうた)「夜、虫に刺されるから長袖と長ズボンが良いかも」
和奏(わかな)「教えてくださりありがとうございます」
和奏(わかな)(彼のこんな細かい心遣いが、素敵)
〇山中の川
夜
〇山中の川
颯太(そうた)「今度は迷わず着いたね!」
和奏(わかな)「そうですね! よかった!」
和奏(わかな)「見えますかね」
颯太(そうた)「どうかな・・・・・・」
和奏(わかな)「あっ! 蛍いた!」
颯太(そうた)「しーっ! 蛍は静かな場所が好きだからね」
和奏(わかな)(ものしり)
和奏(わかな)(まさか、ふたりきりで蛍見れるなんて・・・)
颯太(そうた)(一緒に見れて嬉しいな)
(あの夢?に出てきた、あの子のおかげかな)
颯太(そうた)(あの子の髪の色、和奏ちゃんと同じだったな)
和奏(わかな)(あの子の目、颯太さんに似ていたな)
颯太(そうた)「あの子、ずっと仲良しでいてねって言ってたね」
和奏(わかな)「言ってましたね」
颯太(そうた)「仲良くして欲しいな、ずっと」
和奏(わかな)「はい、よろしくお願いします」
颯太(そうた)「お付き合いするって意味で」
和奏(わかな)「えっ!」
和奏(わかな)「はい!」
蛍とあの子が
私達を祝福してくれている
そんな気配がしました。
〇黒
とても不思議な体験でした。
あれから、その子供は
現れなくなったそうです。
〇黒
〇黒
エンディング曲
──こころときめきゅん茶──
〇新緑
颯太(そうた)「悲しい時もー♪」
和奏(わかな)「どんな時もー♪」
颯太(そうた)「あなたと飲めばー♪」
和奏(わかな)「幸せになれるのー♪」
颯太(そうた)「君と飲むから、美味しいお茶が」
颯太(そうた)「更に美味しくなるんだ!」
颯太(そうた)「一緒に、飲も?」
和奏(わかな)「はい!」
颯太(そうた)「ときめきときめきキュンキュンキュンキュン♪」
和奏(わかな)「キュンキュンキュンキュンときめきときめき♪」
「こころときめきゅん茶っ♪」
〇黒
不思議な話でしたが、そのおかげか最後に、二人がくっついて良かったです!彼の子ども好きな所や、細やかな気遣いが出来る所も、好印象でした。あと、ED曲で思わず笑ってしまいました!素敵な物語ありがとうございました!
楽しく読ませていただきました!!ED曲は序盤のCMというアイデアが最高です!
颯太君が子供と戯れるシーンがお気に入りです!
蛍って綺麗だけど、なんだか現実離れしたような不思議な雰囲気がありますよね。蛍の光の演出が、お話の空気感や少年の存在とマッチしていて、それもこの作品の魅力だなぁと思いました。そしてキュン茶の宣伝もばっちり!笑
最後まで楽しんで読ませて頂きました!