かいしん の いちげき !

鈴谷なつ

読切(脚本)

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〇簡素な一人部屋
結城みなみ「どうしよう、好きって言われちゃった・・・!」

〇簡素な一人部屋
  結城みなみ、高校一年生。
  彼氏いない歴イコール年齢だった私に、ついに春が訪れました。

〇簡素な一人部屋
結城みなみ「サッカー部のね、篤史くんなの! 最近仲良くしてたんだけどね、今日ついに告白されちゃった!」

〇簡素な一人部屋
  きゃー!どうしよう!
  照れる、と言いながら顔がにやけてしまうのはどうしようもない。

〇簡素な一人部屋
  だって、初めてなんだもん。
  告白をされるなんて。

〇簡素な一人部屋
  幼馴染の相馬拓也こと拓ちゃんは、興味なさげにふーん、と相槌を打つ。

〇簡素な一人部屋
相馬拓也「つーか篤史くんってなんだよその呼び方、俺のことはいつまでも拓ちゃんのくせに」

〇簡素な一人部屋
結城みなみ「ええ?だって拓ちゃんは幼馴染だもん」
  拓ちゃんは拓ちゃんでしょ?と言うと、拓ちゃんは大きなため息を吐いた。

〇簡素な一人部屋
結城みなみ「それで篤史くんがね、みなみちゃんのことかわいいなって思ってたんだ、って言ったの!」
相馬拓也「他の男の話をするみなみなんて見たくない」
結城みなみ「えーなにそれ意地悪っ」
相馬拓也「どっちがだよ、・・・・・・人の気も知らないで」

〇簡素な一人部屋
結城みなみ「なあに、それ。どういう意味?」
  私が首を傾げると、拓ちゃんはもう一度ため息をこぼしてみせた。

〇簡素な一人部屋
相馬拓也「・・・俺の方が絶対先にみなみのこと好きだったし、なんなら初恋なんですけど?」
  上目遣いにそう拗ねる拓ちゃんに、私はドキッとしてしまう。
  そんなの初耳だよ。だって私と拓ちゃんは幼馴染で、そんなそぶり一度も見せたことなかったのに。

〇簡素な一人部屋
結城みなみ「なんで開き直ってるの」
相馬拓也「だってこれくらい真正直に言わなきゃ、みなみには伝わらないんだろ?鈍感だから」
結城みなみ「鈍感じゃないもん!」
  言い返した私に、拓ちゃんはじっと私の目を見つめる。また胸がドキッとして、私は慌てて目を逸らした。

〇簡素な一人部屋
相馬拓也「じゃあ俺の気持ち知ってた?」
結城みなみ「・・・今初めて知った」
相馬拓也「ほら、鈍感じゃん」
相馬拓也「まぁそういうとこも嫌いじゃないけど」
  呟かれた言葉に赤面する。

〇簡素な一人部屋
相馬拓也「で、どーすんの、告白」
結城みなみ「えっ」
相馬拓也「ちなみに俺は優良物件。朝が苦手なみなみを毎日起こしてあげるし、寝起きのぶっさいくな顔もかわいいって思ってあげる」
相馬拓也「みなみの嫌いなピーマンだって代わりに食べてあげるし、浮気だって絶対にしない」
結城みなみ「なんでそんなに早口なの」
相馬拓也「・・・必死なんだよ、分かれよバァカ。 初恋なめんなよ」
  真っ赤な顔でそう言う拓ちゃんに、心臓が大きく高鳴る。
  待って、これってもしかして・・・。

〇簡素な一人部屋
結城みなみ「拓ちゃん」
相馬拓也「ん?」
結城みなみ「私、拓ちゃんに恋してるかもしれない」
  だってすごくドキドキする。
  熱い頬を押さえて呟くと、拓ちゃんは目を丸くした後、嬉しそうに目を細めた。
相馬拓也「知ってるよ」
結城みなみ「え?」
相馬拓也「みなみは鈍感だから気づいてなかったみたいだけど?」
相馬拓也「みなみが俺に惚れてることなんて、とっくに分かってたよ」
  そう言って髪を撫でる拓ちゃんに、ドキドキが止まらない。
  心臓が破裂しちゃう、と言うと、それは困る、と拓ちゃん。
相馬拓也「これからもっとドキドキさせるんだから、長生きしてもらわなくちゃ」
  ほら、目をつぶって、と言う拓ちゃんの言葉におそるおそる目を閉じる。

〇黒背景
  キス、されるのかな。大丈夫かな、ドキドキし過ぎて死んじゃうかもしれない。
  そんな私の不安とは裏腹に、ほっぺにやわらかな感触が伝わってくる。

〇簡素な一人部屋
  驚いて目を開けると、そこには真っ赤な顔の拓ちゃんが。
相馬拓也「・・・いきなりキスとか無理でしょ」
結城みなみ「えっ?」
相馬拓也「だってみなみ、かわいすぎる。初恋なんだから、もっとゆっくり進ませて」
  カッコ悪くてごめんな、と謝る拓ちゃんに、そんなことないよ!とぎゅっと手を握る。
結城みなみ「会心の一撃って感じだった!」
相馬拓也「なんだそれ!」
  ふはっと笑う拓ちゃんはいつも通りで、でもいつもと違うのは、二人の手が重なっているところ。
結城みなみ「拓ちゃん」
相馬拓也「ん?」
結城みなみ「これからよろしくお願いします」
相馬拓也「こちらこそ。もう離さないからな」
  耳元で囁かれた言葉に、本日何度目か分からない赤面をして、私はへたり込むのだった。

コメント

  • この作品は、私に会心の一撃を与えました。幼馴染の距離感が近いからこそのモダモダがとても良かったです!台詞回しも魅力的でした!
    素敵な作品ありがとうございました!

  • 遅ればせながら読ませていただきまして...
    タイトル通り、会心の一撃をいただきました...
    おかげで胸いっぱいになりました!

  • みなみちゃんが、前半は鈍感すぎてカワイイです。
    幼馴染みは萌えポイント高いですね〜。
    最後がほっぺにキスに、やられました。
    キュン❤️

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