エピソード(脚本)
〇繁華な通り
〇暗い廊下
カヲル(すごい内装だな)
カヲル(本当に都内?)
みゆき「いらっしゃいませ」
みゆき「本日担当させて頂くみゆきです よろしくお願いします」
カヲル(うわ すごい美形)
カヲル(アイドルにも中々いないレベル)
みゆき「あなた」
みゆき「いえ、なんでもございません どうぞこちらへ」
〇貴族の部屋
そこでは、ゆったりとした音楽が流れ
ささやかな花の香りがした
〇ライブハウスの入口
数時間前
〇ライブハウスのステージ
???(アタシはアイドル「シャニムニ」に所属している)
カヲル(最年長メンバーのカヲルだ)
〇ライブハウスの入口
ファンD「ハルル最高だったよ!」
ハルカ「ありがとムニ♡」
ファンD「ぐはッ!」
ファンD「もう死んでもいい!」
カヲル(コロナ以来ファンのお見送りも久しぶりだな)
カヲル(やっぱりライブは楽しい)
〇小さい会議室
亀井「って、なにをのんきな!?」
カヲル「マネージャー!?」
亀井「見ろ!」
〇SNSの画面
シャニムニのライブ楽しかった
でもカヲルの顔色悪くなかった?
一番年増だし仕方ないんじゃないw
〇小さい会議室
亀井「お前またむくんでるな! 肌も荒れてるし!」
亀井「アイドルであるお前らの身体は」
亀井「お前らだけのものじゃない!」
亀井「事務所の商売道具なの! それを自覚してくれよ!」
カヲル「はい」
亀井「まあいっそババァキャラでいくのも面白いかもしれないけどな」
カヲル「それウケますかね?」
亀井「皮肉で言ってんだよバカ!」
カヲル「すみません! 気をつけます!」
亀井「やれやれ」
カヲル「ふぅ」
ハルカ「あのクソ亀!よくもウチらのリーダーに向かって!」
ハルカ「ぶっ〇すぞ?」
カヲル「ハ、ハルカ! 庇ってくれるのは嬉しいんだけど!」
カヲル「アタシ達はアイドルなんだから そんな乱暴な言い方は」
カヲル「語尾も忘れちゃってるし!」
ハルカ「アイドルだって仮面を外さなきゃいけない時があんの!」
カヲル「とにかく、アタシはなんとも思ってないし!」
カヲル「ちょっと自主練習してくから! 二人はもう帰りな?」
ハルカ「えー」
タマキ「カヲルちゃん」
カヲル「ん?」
タマキ「ハルカが言うように」
タマキ「私達だって、舞台を降りれば1人の人間」
タマキ「疲れることも、傷つくことも、腹が立つこともあるハズだよ」
タマキ「無理してない?」
カヲル「大丈夫だって」
タマキ「たまにはちゃんとリフレッシュしよ?」
カヲル「ありがとう」
〇黒背景
〇渋谷のスクランブル交差点
カヲル「すっかり暗くなっちゃった」
カヲル「すぐに帰って雑誌のコラム書いたりしなきゃなんだけど」
〇黒背景
タマキ「ちゃんとリフレッシュしよ」
〇繁華な通り
カヲル「そんなこと言ってもアタシに仕事以外の趣味なんて」
サロン「ペルソナ」
仕事でお疲れのあなた
その仮面を外していきませんか
〇黒背景
ハルカ「アイドルだって仮面を外さなきゃ」
〇繁華な通り
カヲル「仮面か」
〇黒背景
そして、現在
〇貴族の部屋
みゆき「それでは手揉みからはじめていきますね」
カヲル「荒れてるでしょ 恥ずかしいな」
握手会は楽しいけれど、何十人と触れ合うのは負担も大きかった
みゆき「ふふ ケアのしがいがありますよ」
アタシの掌を包んでくれるみゆきさんの手は、意外にも大きい
みゆき「大丈夫?痛くないかな」
カヲル「気持ちいいです それにいい匂い」
みゆき「アロマオイルにも種類があるのですが」
みゆき「私の独断であなたに似合うものを選んだんです」
カヲル「アタシに似合う?」
みゆき「イランイランとレモンのブレンドで」
みゆき「甘く爽やかな香りがあなたにピッタリだと」
カヲル「あ、ありがとうございますっ」
みゆき「・・・それに心を落ち着かせる効果もあるから」
カヲル(ビビってるのバレちゃってんだ 恥ずかしいっ)
カヲル(いつもファンの人と接してる時とは)
カヲル(逆の立場になったみたい)
〇黒背景
みゆき「上半身へ移っていきましょう」
〇貴族の部屋
みゆき「肩をほぐしていきますね」
カヲル「お願いしますっ」
カヲル(う ドキドキする)
カヲル「そ、そのアロマって 他にどんな効果があるんですか」
みゆき「エストロゲンの分泌を助けたり」
みゆき「古い角質を追い出して皮脂のバランスを整えて」
みゆき「お肌本来のポテンシャルを取り戻します」
みゆき「実は私も愛用してるんです」
カヲル「へー!」
〇水たまり
みゆきさんの手のひらは暖かい
他愛ない話をしながら
そのぬくもりを感じていると
アタシの緊張も自然と解けていった
〇貴族の部屋
みゆき「かなりこってますね」
みゆき「ちゃんと休めてる?」
みゆき「頑張り過ぎはよくないですよ」
カヲル「アタシ、こんなでも自分を見せる仕事をしてるんです」
カヲル「だから、この身体は自分1人のものじゃないし」
カヲル「多少の無茶は当たり前です!」
みゆき「・・・」
カヲル(黙っちゃった)
カヲル(リラックスし過ぎて ちょっとお喋りだったかな)
みゆき「違う」
カヲル「え・・・?」
みゆき「あなたの身体は、あなただけのものだよ!」
みゆき「俺は、あなたに自分を大切にしてほしい!」
〇黒背景
亀井「お前らの身体は事務所の商売道具なの!」
〇貴族の部屋
カヲル(涙・・・?)
カヲル(やっぱりアタシ傷ついてたんだ)
みゆき「すみません! 余計なお世話ですよね!?」
カヲル「ちがうんです、これは」
カヲル「気持ち良すぎて老廃物が出ちゃったというか」
カヲル「生まれ変わっていくような気分です」
みゆき「よかった」
〇カラフル
その後
アタシは施術が終わるまでぐっすり眠った
思えば最近ずっと眠れてなかったんだな
〇暗い廊下
カヲル「いやあ!気分爽快!」
カヲル「ありがとう 楽しかった」
カヲル「アタシ、あなたのファンになっちゃった」
カヲル「また来てもいいですか?」
みゆき「・・・」
みゆき「もちろん!」
みゆき「いつでもお待ちしています!」
〇黒背景
カヲル退店後
みゆき「・・・」
みゆき「夢じゃないよな?」
みゆき「俺の最推しであるカヲたんが来てくれた・・・」
みゆき「イヤッホォ━(゚∀゚)─!!」
みゆき「もう限界だったわ・・・」
みゆき「でも」
みゆき「推しのプライベートを邪魔するのは!」
みゆき「オタクとして極刑なのに!」
みゆき「めちゃくちゃ調子こいたコト言っちゃったよ・・・」
みゆき「キモい自分が出てしまった・・・」
みゆき「今度いらっしゃった時は絶対に!」
〇赤いバラ
私のプロとしての仮面を
外さないようにしよう
〇ライブハウスのステージ
翌日
〇小さい会議室
亀井「揃ってるな」
亀井「ん?」
亀井「なんか今日のカヲル艶っぽくない?」
亀井「その調子で頼むよ?オバサン」
カヲル「もちろん」
カヲル「でも、今後そういう暴言は許しませんから!」
亀井「な、なんだよ 人事部にでもチクる気か?」
亀井「怖えぇ〜!」
ハルカ「ざまぁ♡」
タマキ「今日のカヲルちゃんすごいキラキラしてる!」
タマキ「なにかあった?」
カヲル「これからはたまにアイドルの仮面を外そうかなって」
カヲル「それだけだよ」
〇暗い廊下
おわり
最後には仮面を外すことができた主人公、そして推しに遭遇してもプロとしての態度を崩さないヒーローが両者ともにかっこよかったです!それに、キュンときました!素敵な作品、ありがとうございました!
ヒロインにすごく感情移入できてしまい、物語に没頭してしまいました。
マッサージの経験がない私ですが、物語の影響か、凝り固まった身体をほぐしたいなと思い、片手で近所の整体屋ググってます。
良い推しごとの在り方を見ました✨
ヒロインもヒーローも素敵でキュンキュンするんですが
同じユニットのメンバーの描き方に人柄が現れていて撃ち抜かれました。同性の友人(同僚)をきちんと描いた作品は信頼できる…良き…