〇美術室
一(にのまえ)「美術部の備品を壊した犯人は・・・」
一(にのまえ)「──キミだ!!」
塩斉(えんざい)「えっ!?」
緒前(おまえ)「──ッ!? ていうブラフなんです!! 真犯人は一息ついたあなたです!!」

〇教室の外
一(にのまえ)「やっぱ事件の犯人をビシっと当てる瞬間が 学園探偵やってて一番気持ちいいね!!」
緒前(おまえ)「うん!! そうだね、一君!!」
緒前(おまえ)（事件という事件で悉く無辜なる善人を 犯人として晒上げちゃってるけど、）
緒前(おまえ)（このご尊顔を曇らせないために私の脳みそがえげつない回転を見せるのよ～!!）
一(にのまえ)「今日も学園の平和ためにパトロールだ!!」
緒前(おまえ)「うん!! そうだね、一君!!」
緒前(おまえ)（私立の高校だから警備会社のぶ厚い セキュリティが何とかしてくれるけど、 それでも自ら取り締まる一君素敵～!!）

〇教室

〇図書館

〇まっすぐの廊下
緒前(おまえ)「どうしたの一君？ 元気ないよ？」
一(にのまえ)「お腹へっちゃった・・・」
緒前(おまえ)「そん、な・・・」
緒前(おまえ)「しつ・・・」
緒前(おまえ)「空き教室は、空き教室はどこッ──!?」

〇学校の部室
一(にのまえ)「がつがつがつっ!!」
緒前(おまえ)（がつがつ言いながらお弁当食べてる〜）
一(にのまえ)「おいしいね!!」
一(にのまえ)「あれっ、このお弁当って誰のなんだろ？」
緒前(おまえ)（わ、私の～!!）
緒前(おまえ)（けど唐揚げオンリーの茶色箱を 私のお弁当と言いたくない乙女心・・・）
緒前(おまえ)「こ、これは事件じゃないかなっ!?」
一(にのまえ)「何ッ!? 面白くなってきたね!!」
一(にのまえ)「このおいしいお弁当の持ち主を探すよ!!」
緒前(おまえ)「うん!! そうだね、一君!!」
緒前(おまえ)（お、お口にあってらっしゃる～!!）

〇家庭科室
一(にのまえ)「集まってもらってごめんね」
一(にのまえ)「キミたちの中に・・・」
一(にのまえ)「おいしいお弁当の持ち主がいるよね!!」
塩斉(えんざい)「また巻き込まれてる・・・」
一(にのまえ)「あのお弁当はとても俺好みだった」
一(にのまえ)「おかずがほぼ茶色でさ」
一(にのまえ)「そんな男好みのお弁当作る人なんて、 キミたちみたいな食通の男しかいないよね!!」
緒前(おまえ)（お弁当の彩りが乏しいばかりに・・・）
太ってる男「待ってくれよ!!」
一(にのまえ)「いいや待たないよ!!」
一(にのまえ)「太ってる男の人は皆グルメなんだから」
一(にのまえ)「キミは一番怪しいよ!!」
ヴィーガン「俺はヴィーガンだ!!」
一(にのまえ)「じゃあ太ってるのはおかしいよ!!」
ヴィーガン「俺は揚げ物専門のヴィーガンなんだ!!」
一(にのまえ)「なら唐揚げ弁当を作った可能性はあるよ!!」
ヴィーガン「論破されたぜ・・・」
屈強な男「では私を疑う理由を聞いてもいいかな？」
一(にのまえ)「はい、先生は家庭科が専門ですので」
家庭科の先生「理にかなってるね、論破だ」
塩斉(えんざい)「お、俺は？」
一(にのまえ)「・・・」
一(にのまえ)「犯人は、この中にいる──」
緒前(おまえ)（勢いと顔とイケボで乗り切ったね、一君!!）

〇家庭科室
一(にのまえ)「というわけで」
一(にのまえ)「実際にお弁当を作ってほしい」
ヴィーガン「よぉし、まずは俺からだ!!」
緒前(おまえ)（なんでノリノリなの？）
ヴィーガン「こいつを」
ヴィーガン「──こうッ!!」
一(にのまえ)「唐揚げだ!!」
一(にのまえ)「がつがつがつっ!!」
一(にのまえ)「うん」
一(にのまえ)「まずい!! 草だもん、揚げた草」
緒前(おまえ)「辛辣〜」
緒前(おまえ)（爽やかなご尊顔とイケボが無ければ 擁護不可能だよ、一君!?）
一(にのまえ)「キミじゃないな」
ヴィーガン「俺は何をしているんだ？」
家庭科の先生「次は私ですね」
家庭科の先生「これと」
家庭科の先生「これで必要な栄養はばっちりです」
一(にのまえ)「いいえ、これはお弁当ではありません」
緒前(おまえ)「英語訳みたいな塩対応」
緒前(おまえ)（でも素っ気ない態度もイイね!!）
家庭科の先生「大人の時間の無さを舐めないで・・・」
塩斉(えんざい)「お、俺だな」
一(にのまえ)「いや、キミは勘違いだった。 ごめんね」
塩斉(えんざい)「言われてみれば お弁当なんて作ったこと無いや」
一(にのまえ)「普通の男子高校生はでかくて安いパンと 年中増量中の即席焼きそばしか食べないもん」
一(にのまえ)「よしっ、最後は緒前!!」
緒前(おまえ)「私もやるんだね」
緒前(おまえ)（一体何のための戦いだったのか・・・）
緒前(おまえ)（とりあえず一君の胃袋をキャッチしつつ、 茶色お弁当と無関係を装わなくてはっ!!）

〇家庭科室
緒前(おまえ)（彩り良し、乙女らしさも出てるし問題なし）
一(にのまえ)「は、」
一(にのまえ)「ハートマークは照れちゃうね!!」
緒前(おまえ)「・・・」
緒前(おまえ)（あ死んじゃう死んじゃう）
一(にのまえ)「がつがつがつッ!!」
一(にのまえ)「あ、この美味さ・・・」
一(にのまえ)「おいしかったお弁当って緒前のだったんだ」
緒前(おまえ)（即バレ～）
一(にのまえ)「緒前はいいお嫁さんになるね!!」
緒前(おまえ)（ぐえ～）
一(にのまえ)「俺、緒前のお弁当毎日食べたい!!」
緒前(おまえ)（──）
緒前(おまえ)「きゅ～・・・」
一(にのまえ)「あはは、緒前は面白いな!!」
一(にのまえ)「袖に揚げ物ついてるよ!!」
塩斉(えんざい)「俺も食いたいぜ」
一(にのまえ)「こいつ（揚げ物）は俺のもんだよ」
一(にのまえ)「誰にも渡さない!!」
緒前(おまえ)「け、」
緒前(おまえ)「結婚します～」
一(にのまえ)「け、結婚!?」
一(にのまえ)「結婚はまだ早いと思うけど」
一(にのまえ)「俺、緒前のこと大好きだから、 もっと大人になったらしようね!!」

〇ファンシーな部屋
「・・・ッ!!」
「なんだ、夢か・・・」
「流石にメルヘンが過ぎたかな」
「ってもうこんな時間!?」

〇シックな玄関
一(にのまえ)「よしっ!!」
一(にのまえ)（今日も緒前は可愛いんだろうな・・・）
一(にのまえ)（絶対に、緒前を俺のものにするぞ・・・!!）
一(にのまえ)「いってきまーす!!」