エピソード1(脚本)
〇研究所の中枢
桐生ショウゴ「おい!俺の彼女を返せ!」
それはデート中のことだった 突然ワンボックスカーに彼女が連れ去られた
桐生ショウゴはその車を追ってここへ来た
連れ去られた場所からはそんなに離れた所ではなかった
しかし、ここは・・・
彼女の南ケイが1ヶ月前まで働いていた研究所だった
鍵も開けっ放しですんなり中に入れた
まるで誘導されているようで不気味だ
桐生ショウゴ「一体どういうことだ?何で連れ去ったんだ?!」
その時、目の前のモニターに男が映された
桐生ショウゴ「誰だあんた? ケイはどこなんだよ」
〇黒
天童総司「私はここの責任者 連れ去った理由か・・・?」
天童総司「それはもちろん、人体実験の研究を続けて貰うためだ」
〇研究所の中枢
桐生ショウゴ「ケイが人体実験? 何を言ってんだ」
桐生ショウゴ「でたらめを言うな!」
男がモニター越しに答える
天童総司「君はケイの過去を何も知らないで付き合っているのか」
天童総司「めでたい男だな」
桐生ショウゴ「過去?ケイはずっとここで人の役に立つために、X細胞の研究をしていたと言ってた」
桐生ショウゴ「ケイは俺に嘘なんかつかない」
天童総司「どうだろうな」
〇黒
天童総司「本当の彼女の正体は」
天童総司「死刑宣告された囚人の内臓など取り出して」
天童総司「研究材料に使っていなのだよ もちろんこれは違法だよ」
天童総司「ああ、なぜ捕まらないかって?」
天童総司「医学の発展には多少の代償を払わなければならない」
天童総司「それも承知で警察はこのことは黙認している」
天童総司「国も囚人の命よりも医学の発展を取ったのさ」
〇研究所の中枢
桐生ショウゴ「嘘だろ、そんなはずない」
ショウゴがうなだれていると、ドアが開いて人が入ってきた
桐生ショウゴ「ケイ・・・」
南ケイ「全て聞いてしまったのよね」
桐生ショウゴ「本当なのか?人体実験って」
南ケイ「全て本当。 この手でやった」
桐生ショウゴ「信じられない」
桐生ショウゴ「俺が一番嫌がるような事をしてたなんて!!」
南ケイ「医療のためよ、仕方ないの」
桐生ショウゴ「そんな・・・」
桐生ショウゴ「嘘だよな、そうだろ?」
南ケイ「ショウゴ、あなたの見ていた私は本当の私じゃない」
南ケイ「本当の私はもっと汚いの」
桐生ショウゴ「・・・」
南ケイ「幻滅しても構わない、私は別れるつもりでいる」
桐生ショウゴ「ケイ・・・」
南ケイ「分かったなら出て行って これから大事な実験があるの」
桐生ショウゴ「もうそんなことやめろよ!」
南ケイ「いいから出て行って!」
とショウゴをドアの向こうへ押し出した
桐生ショウゴ「話をしようケイ!おい!」
桐生ショウゴ「ケイ!ケイ!」
〇諜報機関
南ケイ「すみません、ご迷惑をおかけしてしまって」
天童総司「これで良かったのかい?わざわざこんな手の込んだことをして」
天童総司「人体実験なんて嘘まで」
南ケイ「ここまでしないと信じてくれませんし、私の未練が断ち切れませんから」
天童総司「本当の事を言わなくてもいいのか?」
南ケイ「いいんです、言っちゃうと優しいから、別れてくれませんし」
南ケイ「私は彼が幸せならそれでいいんです」
天童総司「そうか、しかし君の病気は治らないと決まったわけじゃないんだよ?」
天童総司「私が将来的に脳を若返らせるX細胞で、若年性認知性など治してみせるさ」
南ケイ「けれど、彼に負担をかけられませんから」
天童総司「だったら私に負担をかけてもいい」
南ケイ「お気持ちはありがたいのですが」
南ケイ「私、これからの人生で彼以外を愛せそうにないんです」
南ケイ「すみません」
天童総司「いや、気にしないでくれ ただの戯れ言だ」
〇近未来の通路
南ケイ「これで、よかったのよね」
ケイはショウゴとの出会いや旅の思い出、幸せだった日々を振り返りながら長い廊下を歩いていた
南ケイ「・・・」
桐生ショウゴ「ケイ!」
南ケイ「どうして?帰ったはずじゃ・・・」
桐生ショウゴ「このまま帰れるわけないだろ」
南ケイ「・・・」
桐生ショウゴ「俺、頭よくないけどさ、でもよく考えたんだ」
桐生ショウゴ「ケイのことだ、何か事情があったに違いないって」
桐生ショウゴ「どうしても断れずにやってしまったんじゃないかって」
南ケイ「それは・・・」
桐生ショウゴ「分かってる。何も言わなくていい」
桐生ショウゴ「だけどもうケイの手は汚させない」
桐生ショウゴ「俺も一緒に罪を償うから そのために土下座でも何でもする」
桐生ショウゴ「それでも・・・」
桐生ショウゴ「それでも神様が許してくれなかったら」
桐生ショウゴ「一緒に地獄へ行ってやる」
南ケイ「でも」
桐生ショウゴ「うるさい、黙ってろ」
ショウゴはケイを抱き締めた
南ケイ「私、もう嫌いなの」
南ケイ「あなたが大嫌いなの!」
桐生ショウゴ「だったらもう一度、好きにさせる」
桐生ショウゴ「俺はケイ以外なんて考えたくない」
桐生ショウゴ「バカみたいに遊んでたけど、初めて真面目に人を愛せたのはケイのおかげだから」
南ケイ「ショウゴ・・・」
そしてケイはショウゴの胸の中で泣いた
今まで溜め込んでいた分、声を出して子供のように泣いた
桐生ショウゴ「もう一人で抱え込むな、俺がいる──」
1ですね、2も楽しみ。本当の理由が。壮大なボケか、トロキュンか、ハードボイルドか、わくわく。
ずっと、二人に幸せになってほしい!!と思いながら、物語を読み進めておりました。ショウゴの一途な気持ちに胸が打たれました!素敵な作品ありがとうございました!!
彼がここまで愛してくれていると知ってしまったのなら、私だったら全てを話して最後まで一緒に過ごすことを選択したいな。彼の幸せを思うと何が正解なのかはわからないけれど、嘘なく正直に生きたほうが未来に後悔しない気がします。