エピソード2(脚本)
〇SHIBUYA SKY
真夜中過ぎの渋谷。
昼間の賑やかな時間にたくさんのエネルギーを使い果たし、街は暗闇に包まれて眠っている。
〇センター街
センター街から突然、一羽の漆黒のカラスが飛び立った。嘴に大きなダイヤをくわえている。
〇月夜
カラスは大きく旋回しながら月夜に向かって飛ぶと、嘴にくわえていたダイヤを離した。
〇SHIBUYA SKY
ダイヤが地面に落ちると、一瞬で街が虹色に輝きだした。
〇花模様2
その瞬間虹色に輝く光の橋がビルの隙間をぬけて渋谷の街にたくさんかかった。橋を渡ってたくさんの人と動物が街に集まって来る。
〇星
白地にキラキラと輝く服を着て、人々は楽しそうに歌ったり踊ったりしている。その周りをたくさんの動物たちが囲んでいる。
〇星
雪のように、舞うダイヤのカケラ。キラキラと光に反射していて街全体がイルミネーションのようである。
〇花模様2
一人の少女が突然輪の中心で踊りだす。
すると、一匹の白い犬が現れる。
〇花模様2
少女が「ココ」と嬉しそうに呼ぶと白い犬は耳をピンと立て、一直線に少女に向かって走っていき、少女の腕に抱きしめられた。
〇星
少女「ココ、もう会えないって思ってた。元気だった?あの日帰って来るのが遅くて具合悪かったの気がつくのが遅くなってごめん」
〇星
少女「ココ。元気そうね。本当に良かった。ココあったかい」
〇花模様2
少女「ココ、もうずっと一緒よ。ずっとね。行こう」
少女は、キラキラした美しい街中を楽しそうに走り出す。
〇月夜
いつの間にか小さい少年が黒い子猫を抱えて少女を見ていた。
少年「君も、大好きな子に会えたの?良かったね」
〇花模様2
少女「あなたも?」
〇月夜
少年「そう。蘭丸は僕の大切な相棒だよ。黒くて艶やかで美しいだろ?怖い大人たちが連れて行ってしまってずっと探していたんだ」
〇花模様2
少女「私も、ココが突然いなくなってずっと探してた。悲しくて心の中が冷たくなったわ。でも今はとってもあったかい」
〇月夜
少年「ここなら、大好きな子は連れていかれないかな?」
〇SHIBUYA SKY
少女「連れていかれそうになったら逃げよう。一緒に」
〇SHIBUYA SKY
少年「怖い大人たちから逃げられるかな?」
〇SHIBUYA SKY
少女「逃げるのよ。絶対に。逃げなくちゃまた大切な物がなくなってしまう」
〇月夜
少年「大切な物を守るためだね」
〇花模様2
少女「そうよ。とっても怖いけど・・・」
〇SHIBUYA SKY
少年と少女は、震えながら大切なココと蘭丸をそれぞれギュッと抱きしめた。
〇渋谷ヒカリエ
突然、飛んでいったカラスがどこからか現れた。
〇渋谷スクランブルスクエア
そして、ぐるぐると渋谷の街を旋回すると
落ちたダイヤを見つけ嘴に加えて飛び立った。
〇渋谷ヒカリエ
その瞬間、人々も動物も消え、虹の輝きもなくなり街はまた暗闇を取り戻し冷たくなった。
〇センター街
カラスはそのままダイヤを嘴にくわえ電柱に止まった。じっと何かを見ている。
〇スペイン坂
視線の先には、少年が黒い猫を抱えて、少女が白い犬を抱きしめて路地裏にコートも着ないで裸足で倒れていた。。
〇渋谷ヒカリエ
カラスは「カー」っと悲しそうに鳴くと明るくなり始めた空に向かい飛び立った。そのままダイヤを嘴にくわえビルの谷間に消える
〇スペイン坂
明け方雪が降ってきて、少女と少年の顔に落ちた。少女の瞼の上に落ちた雪が朝日に溶け、太陽に反射し虹色の涙に見えた。
カラスってなぜか光り物が好きですよね。そしてきっと、それは本当は自分だけのエゴじゃなくて、カラスなりにカラスなりのやり方で、街の皆のことを見守ってくれているんじゃないかなと感じられるような不思議な世界観のあるお話でした。
大切なものを手放したくない思いがここに呼び寄せたんでしょうか?
なんだか温かくなるお話でした。
もう一度会えてよかったなって。
少女と少年はココと蘭丸がとても好きなんですね。とっても微笑ましいストーリーでした。カラスの存在が渋谷の闇にとても大きな役割をしていました。