Sparking Carats!

西園寺マキア

第33章 思惑(脚本)

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西園寺マキア

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〇稽古場
あやか「はい!ターンの体幹が甘い!」
  はるかたち8人は来たるMoonlightCupへ向け、練習漬けの日々を送っていた
りょう「う~、ちょっと休憩させてよ~!」
はるか「あはは、体幹なら負ける気がしないっ!」
あやか「あら、余裕そうだけど歌のほうは大丈夫なのかしら?」
はるか「う、うちも休憩させてほしくなってきたなぁ~」
  メンバーともすっかり打ち解け、8人は同じ目標に向け和気あいあいと切磋琢磨していた
ゆき「そういえばCRESCENTに入ってから、きりは学校でも見なくなっちゃったね」
まみこ「天然ミステリアス美女だって大人気だもんね」
  きりはミステリアスで天然な性格が惹かれる、と世間から大人気のアイドルになっていた
  大御所芸能人や批評家たちも、彼女の魅力にメロメロだった
かの「MoonlightCupも近くなってきたしね」
さくら「ま、それだけ気合い入れてレッスンしてるってことじゃないの?」
ゆづき「そうそう、だから私たちも負けてられないよ!」
「うん!!」

〇黒背景
  だがさくらの予想は半ばあたり、半ば外れていた

〇殺風景な部屋
ハナ「今日も個別レッスンですか・・・?」
  仕事半分、レッスン半分──
  だがレッスンとまともに呼べる日は殆どないに等しかった
トレーナー「他の3人は仕事がありますので」
  ハナは唇をキッと強く結んだ
  最後に全員で顔を合わせたのはいつだっただろうか?
ハナ「私だって、好きで練習室にこもってるわけじゃないのに・・・」
さとこ「今日もレッスン?暇ね」
トレーナー「さとこさん! 今日は撮影では?」
さとこ「バラシになったのよ、代表に練習室へ行けって言われて」
ハナ「自分だって暇なんじゃない、最近個人の仕事はきりに取られて減ってきたんでしょう?」
  さとこは「ハナの発言は1mmも聞いていなかった」といった様子で荷物を置いた
トレーナー「そうですか、では練習メニューを変更しますので打合せしてきます」
  トレーナーが退室すると、ハナがさとこに向き直った
ハナ「・・・ねえ、そろそろ4人で練習したほうがいいんじゃない?」
ハナ「もうMoonlightCupも近いのよ」
さとこ「そんなの練習しなくたってできるでしょ?」
ハナ「そんな舐めた態度じゃ、ほかのチームに勝てないって言ってるの!」
さとこ「MoonlightCupは我々の宣伝のために開催する大会なのよ、負けるわけがない」
ハナ「でもそれは・・・!」
  ハナが口を開きかけると、トレーナーがきりを連れて現れた
きり「あ、あった」
  衣装を着たままのきりは慌ててペンダントを拾い上げた
きり「ありがとうトレーナーさん」
きり「私、ペンダントが心配で・・・ 収録早く切り上げちゃってすみません」
  きりの言葉を聞いて、いてもたってもいられない、といった様子のさとこが立ち上がった
さとこ「何、あんたペンダントが心配で収録切り上げたっていうの?」
きり「う、うん・・・」
さとこ「今日の現場監督、気難しい人だからって事前に忠告したのに、忘れちゃったわけ?」
トレーナー「いえ、監督はきりちゃんだから仕方ない、と快く切り上げてくださったと聞いてます」
さとこ「なによそれ・・・」
  さとこは眉間にしわを寄せた
  監督も彼女の天然キャラにメロメロなようだ
トレーナー「では、収録お疲れさまでした 本日は上がってください」
ハナ「ちょっとまってください! 4人でのレッスンはいつになるんでしょうか!」
  今度はハナが声を張った
トレーナー「わかりません」
ハナ「きりはもう収録終わったんですよね?!」
トレーナー「ですが連日の仕事ですし、休養が必要との判断です」
ハナ「そんなの納得できません!!」
  ハナがたちあがり、帰ろうとするきりの手からペンダントを奪い取った
きり「か、かえしてっ・・・!」
ハナ「でも、このままじゃ・・・!」
さとこ「もうやめなさい!」
  ペンダントを握ったハナの腕を、とっさにさとこが捕まえた
きり「大事なペンダントなんです・・・返してください・・・」
ハナ「・・・」
  ハナは一呼吸置いた後、ペンダントをきりの手に返した
きり「母の遺したものなんです・・・ 母の唯一の手掛かりなんです・・・」
さとこ「母の・・・?」

〇殺風景な部屋
きり「・・・世界中の人に、わたしを見つけてもらうため」

〇殺風景な部屋
さとこ「ふうん、そういうこと・・・」
  さとこは合点がいった、という表情できりを見た
さとこ「あんた、母親に見つけてもらうために芸能界に来たってこと?」
きり「そ、それは・・・」
ハナ「だから何、動機なんてどうでもいいでしょう!」
さとこ「そんな適当な覚悟でカメラの前に立ってるってわけ?」
さとこ「身勝手な振る舞いでも許されてるからって、調子乗っちゃってるってわけ?!」
さとこ「母親を探す?!何よそれ、SNSでもなんでも使えば探せるって思いつかなかったの?!」
  さとこが声を荒げた
  さとこがここまで声を荒げたのは初めてだった
さとこ「CRESCENTを私物化するのも許さない、代表が私のために作ったグループなのに!」
ハナ「な、なにを・・・」
  その時、練習室の重たいドアが開いた
  立っていたのはあさかと姫森代表だった
さとこ「だ、代表・・・」
むつみ「みんなお疲れ様、今3人とも練習室にいるって聞いてね」
  代表はトレーナーのほうへ向き直った
むつみ「あまり4人で練習できていないそうね」
トレーナー「はい、申し訳ございません」
むつみ「いえ、いいの、 みんな仕事を頑張っている証拠ね」
  ハナが少し目を伏せた
むつみ「さて、さっきあさかから「振付を変えたほうがいいんじゃないか」って提案を受けてね」
あさか「はい、これまでのような4人のシンクロダンスで魅せるのは難しいんじゃないかと」
むつみ「それで、昨今の仕事状況などを鑑みて、考えたのだけど」
むつみ「個々の個性を生かすような振付に変えたほうがいいんじゃないかって思ってね」
むつみ「きりを是非メインボーカルに、ってトレーナーの進言もあったし」
さとこ「ちょっとまってください」
  さとこは改めて姫森代表へ向き直り、抗議の声をあげた
さとこ「それってどういう意味ですか」
あさか「単刀直入に言えば、きりをセンターにして、我々は後ろで踊るってことだよ」
さとこ「何、私たちはバックダンサーになれってことなの?!」
むつみ「そうじゃないの」
  姫森代表はその場を制し、ひと呼吸おいてつづけた
むつみ「きりはダンススキルもまだまだだし、レッスンの時間も十分に取れていないでしょう」
あさか「それにCRESCENTをもっと伸ばすためにも、」
あさか「今勢いのあるメンバーを目立たせたほうがいいんじゃない?」
あさか「役割を分けよう、という話」
さとこ「なによそれ・・・」
  さとこは不満げに目をそらした
むつみ「とにかく、詳細はあとで知らせるから 今日はみんなオフにしましょう」
むつみ「じゃあ、お疲れ様」
さとこ「なんなのよ・・・っ!」
  さとこが荷物を蹴飛ばした
  練習室はいつになく重い空気が漂っていた

次のエピソード:第34章 鏡

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