球~行き着く先は、世界の端~

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51 リベンカ王国へ(脚本)

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〇黒背景
  強盗に囚われていたところを、ハランとハパルムに助けられたシエーリタ。
  彼女は身の上を語った。
  リベンカ王国が隣国に攻められたこと。
  王国の人々が、攻め滅ぼされる間際に『球』へ移住したこと。

〇闇の要塞
ハパルム「王国の人がみんな、『球』に来たんですか?」
シエーリタ「ええ。希望者はみんな」
ハラン「それで急激に、人口負荷が増えたのか」
ハパルム「ハランさん?」
シエーリタ「しかし、『球』の中も安全ではなかった」
シエーリタ「見たでしょう?」
シエーリタ「強盗や町を荒らす奴らが湧いて出るの」
シエーリタ「『球』に入った当初こそ、平和だったリベンカ王国ですが」
シエーリタ「今は襲撃(しゅうげき)が絶えないのです」
  シエーリタはそっと顔を伏せた。
  そんなシエーリタを見て、ハパルムもうつむいた。
ハパルム「みんな、それぞれの街で・・・」
ハパルム「仲良く・・・暮らせればいいんですけど」
シエーリタ「そうよね」
シエーリタ「私もそう思います」
シエーリタ「ハパルム・・・さん?だったかしら」
シエーリタ「あなたとは気が合いそう」
ハパルム「シエーリタさん」
ハラン「それで──」
  ハランは、穏やかな語り口で、二人の間に入った。
ハラン「私たちに何をお望みでしょうか」
ハラン「お話を聞く限り、禍根(かこん)を断ちたいようだが」
シエーリタ「ええ」
シエーリタ「ハラン将軍の腕を見込んでのお願いです」
シエーリタ「滅ぼしていただきたいのです」
シエーリタ「リベンカ王国に仇(あだ)なす集団を」
ハパルム「え!?」
ハパルム「ほ、滅ぼす?」

〇魔界
  シエーリタを先頭に、荒野を行くハランとハパルム。
ハパルム「大変な話になりましたね」
ハパルム「王国とか、滅ぼすとか」
ハラン「深く関わるつもりはない」
ハラン「補給をしたらすぐに発つよ」
ハパルム「で、でも!困っている人をほうっておけないですよ」
ハラン「どうしようもないからな」
ハパルム「どうしようもないって・・・」
ハラン「私たちの目的は?ハパルム」
ハパルム「え、えと、『球』を壊すこと」
ハパルム「それと、『球』から出たい人を見つけること?」
ハラン「そうだね」
ハラン「話を聞く限り、リベンカ王国の人々は望んで『球』に来た」
ハラン「私たちに出来ることはない」
  ハランは一息つくと、睫(まつげ)を伏せた。
ハラン「むしろ、私たちは彼らの『敵』だ」
ハパルム「敵じゃないです!」
ハパルム「リベンカ王国の人に、酷いことしないです」
ハラン「敵だよ」
ハラン「彼らの『球(いばしょ)』を壊すのだから」
ハパルム「それは・・・そうですけど」
ハパルム「そ、それじゃあどうして、シエーリタさんについていくんですか?」
ハパルム「補給なら、他の場所でも・・・」
ハラン「少し、様子を見たいだけだ」
ハラン「リベンカ王国は、私の父の生まれ故郷だからね」
ハパルム「リベンカ王国出身だったんですか!?」
ハラン「父は、ね。 私は直接訪ねたことはない」
ハラン「いい機会だから、父の故郷を見てみたい」
ハラン「たとえ幻であっても」
ハパルム「ハランさん・・・」
シエーリタ「お二方、見えてきましたよ」

〇巨大な城門
  規則正しく石を積み上げた城門。
  城門をくぐると、目抜き通りに人が溢れていた。
影「お帰りなさいませ」
  人影がシエーリタに気付いて道を開けた。
シエーリタ「戻りました」
シエーリタ「この方達は私のお客様です」
シエーリタ「丁重に扱ってね」
  人混みに目を丸くするハパルム。
ハパルム「人が、いっぱい」
ハラン「確かに」
ハラン「『球』の外の、本物の街のようだね」
ハパルム「そっか、故郷の街の、再現なんですもんね」
  ハパルムは、きょろきょろと辺りを見渡しながら歩いた。
ハパルム「へぇ~」
ハパルム「こんなに賑やかな街もあるんですね」
ハパルム「『球』の中なのに」
ハラン「基本は一人一人に街が再現されるからね」
ハラン「自分以外、誰もいない方が普通だ」
ハパルム「そうですよね」
ハパルム「私の街も、兄と私だけでしたし」
ハパルム「こんなに賑やかなんて──あ!もしかして」
ハパルム「ここは街の人ごと再現されている、とか?」
ハラン「いや、それはない」
  間髪入れずに、ハランは否定した。
ハラン「生命の生成は呪法(じゅほう)だ。 成功例もない」
  ピリリとしたハランの気配に、ハパルムは口をつぐんだ。
ハラン「──ふっ」
ハラン「『球』はね、人までは再現できないよ」
ハラン「もちろん、他の生き物も」
ハパルム「生き物も?」
ハラン「『球』の中で、人以外の生きたモノと出会ったか?」
ハパルム「そういえば、ない、かも」
ハパルム「食材というか、お肉はありましたけど」
ハラン「うん」
ハラン「ハパルム、よくお聞き」
ハラン「『球』の元は『人間の檻(おり)』」
ハラン「人間専用の捕獲道具なんだよ」
ハラン「だから、もし『人以外の生きたモノ』がいたら」
ハラン「それは、罠だ」
ハパルム「罠・・・?」

〇桜並木
鳥「チチチッ・・・」

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