学問ロボ 禁断の!奥村ペーターゼン

爆発屋そが

第十四話 「ペーターと映子ばあちゃん」(脚本)

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〇寂れたドライブイン
  ペーターの救出に向かったメンバーからワカモトに無線連絡が入る。
ワカモト「ペーター発見! まさかの無傷!」
間宮景介「大爆発なのに!?」
ワカモト「落下直前に車から脱出したそうだ。 今からこっちに向かうらしい」
ディーシャ・バジュランギ「ミイラは出た?」
ワカモト「そういう報告はまだ無い。時速400キロでトンネルを抜けているから、伝説が確かならミイラは現れるはずだ」
國木田亮平「ばあちゃん、トンネルを通過したよ」
國木田映子「山の守り神であるブタ神さまが喜んでいます」
間宮景介「ブタ神さま?」
ディーシャ・バジュランギ「しゃべるミイラじゃないのか?」
國木田映子「ブタ神さま・・・お元気そうでなによりです」
  映子は涙を流している。
間宮景介「タコクラゲさん、これは・・・」
國木田亮平「ばあちゃんが言ってるのは、ブタ追い祭りのブタ神さまのことだと思う」
ディーシャ・バジュランギ「なにそれ」
國木田亮平「昔、この地域には年に一度の『ブタ追い祭り』っていう行事があったんだ」
國木田亮平「山の守り神であるブタ神さまに見立てたブタを、村中みんなで追い回してブタ神さまを楽しませるっていうお祭りらしい」
ディーシャ・バジュランギ「ブタ神さまはかまってちゃんなんだな」
國木田亮平「ばあちゃんは若い頃、ブタ追い祭りの研究をしてたって聞いたことがある」
國木田映子「ブタ神さまを時速350キロで追いかけてあげれば喜ぶのです」
國木田亮平「たぶんばあちゃんは、ブタ追い祭りの記憶とトンネルの記憶と、時速350キロの何かの記憶がごちゃ混ぜになってるんだと思う」
間宮景介「じゃあ、しゃべるミイラの伝説は・・・」
國木田亮平「荒唐無稽なボケ情報だね」
間宮景介「そんな・・・」
國木田亮平「だから真に受ちゃダメって言ったでしょ」
  涙を流していた映子が急に我に返る。
國木田映子「・・・あら、亮平? 亮平なの?」
ディーシャ・バジュランギ「亮平じゃないよ、タコクラゲだよ」
國木田亮平「ばあちゃん! 俺がわかるの!?」
國木田映子「わかりますとも、しばらく見ないうちに大きくなって・・・。暑がりのフルチン坊主だったのにねえ」
國木田亮平「わー! ばあちゃんだ!」
  亮平は映子の両手を取って喜んでいる。
國木田亮平「ばあちゃん! ばあちゃん!」
間宮景介「何が起きたんですかね?」
ワカモト「脳神経というのは、微量な電流で活動している。もしかしたら、涙を流したことで電流が活性化して記憶が蘇ったのかもしれんな」
ディーシャ・バジュランギ「ワはブタ神さまの心意気だと思う」
間宮景介「僕、そういう考え好きです」
  そこへハイテンションのままのペーターが戻って来る。
奥山ペーターゼン「フハハハハ! スピードキング様が戻ったぞ!」
ワカモト「あれだけの大事故を起こしておきながら、全く気にしていないとは大胆なやつだ・・・」
間宮景介「ペーター、なんていうかその、危険な目に合わせておいて悪いんだけど、しゃべるミイラの伝説は間違いだったんだ」
奥山ペーターゼン「フッ、ボケ老人の妄言など最初から信用していないわ!」
國木田映子「あなた方はしゃべるミイラを探しているのですか?」
奥山ペーターゼン「フッ、たった今、ふざけた伝説に挑戦してきたところだ」
國木田映子「しゃべるミイラが鎮座しているという寺院なら知っていますよ」
間宮景介「ほ、本当ですか!!」
奥山ペーターゼン「フッ、景介よ、キサマの脳みそは溶けているのか? この期に及んでまだ信じるつもりか」
ディーシャ・バジュランギ「今、おばあちゃんの記憶がお戻り中だよ」
奥山ペーターゼン「フッ、なるほど」
國木田映子「ロボのあなた、ずいぶん昔にお会いしたことがあるわね」
奥山ペーターゼン「はて・・・」
國木田映子「みなさん、まっすぐ亭にいらしてください。寺院の資料や、ロボさんの思い出もありますから」
ワカモト「景介、こっちは俺たちでやっておく。お前たちは記憶が戻っている今のうちに行ってこい」
間宮景介「ワカモトさん、ありがとうございます!」

〇たこ焼き屋の店内
  景介、ペーター、ディーシャはまっすぐ亭にやって来た。
  映子が茶色く変色した古いノートを持ってくる。30代の頃、奥地の地域文化を研究していた記録だそうだ。
國木田映子「しゃべるミイラだと言い伝えられているのは、方把上人(かたぱしょうにん)という偉い僧侶のミイラなのです」
國木田映子「このノートに、ミイラが安置されているお寺までの地図が書いてあります。これを見れば場所はわかるでしょう」
間宮景介「お借りしてもいいんですか?」
國木田映子「どうぞ持っていってください」
間宮景介「ありがとうございます!」
ディーシャ・バジュランギ「おばあちゃんはしゃべるミイラと会った?」
國木田映子「残念ながら会っていません」
奥山ペーターゼン「なぜだ。 場所がわかっていながらなぜミイラと会わぬ」
國木田映子「ミイラのあるお寺は、女人禁制の聖域の森にあるからです。ごく一部の男性しか入ることが許されない場所なのです」
國木田映子「50年以上前、まだ若い研究者だった私はその聖域に密かに入り込みました」
ディーシャ・バジュランギ「入るなと言われたら、余計に入りたくなるからな」
國木田映子「寺を見つけ、そこが方把上人の寺だとわかったところで、近くの村人にバレてしまったのです」
國木田映子「聖域を侵した女は殺される掟です」
間宮景介「こわ・・・」
國木田映子「私は必死に逃げました。夜だったこともあり、追っ手に顔を見られずに済みましたが、とても怖い体験でした」
國木田映子「あれ以来、私は聖域に近づいていません」

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