球~行き着く先は、世界の端~

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42 火花散らして(脚本)

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〇海辺
シャラ「ともかく、一度ハランたちと合流だな」
シャラ「策を練りつつ、モンスターを狩って──」
ミムレット「どうした?」
  シャラが、情け容赦なくミムレットを蹴り飛ばした。
  風切り音がしたのは、シャラが足を引くのとほぼ同時だった。
  シャラはミムレットを引きずって、岩影に隠れた。
シャラ「立て、小娘」
  何が起こっている?
  ミムレットは目で訴えた。
  シャラは顎で谷の向こうを示すと、砂浜に刺さった矢を足で小突いた。

〇薄暗い谷底
ミムレット「敵・・・谷に潜んでる?」

〇海辺
シャラ「私たちの居場所もバレてる」
シャラ「残念なことに、狙いが正確だ」
  岩場に向かって、矢継ぎ早に打ち込まれる矢。
シャラ「仕方ない・・・小娘」
  シャラがミムレットに押し付けたのは、一粒の宝石だった。
  それは、モンスターを閉じ込め、「球」の壁を壊すための楔(くさび)とした宝石。
  シャラはペンダントのような道具を取り出すと、ミムレットの首にかけた。
シャラ「この道具が、お前を別の場所へ飛ばす」
  次々と矢が岩に当たっては跳ね返る。
  跳ね返る矢の、甲高く鋭い音に、ミムレットが耳を伏せた。
シャラ「いいか、よく聞け」
シャラ「出た先が、ハランとの待ち合わせ場所だ」
シャラ「街のなかで待機してろ」
シャラ「返事は」
ミムレット「・・・わかった」
  首にかけられた道具をさすると、ミムレットは小さくため息をついた。
ミムレット「今さら何があっても驚かないよ」
シャラ「ははは!それでいい」
シャラ「ならば行け」
  ミムレットは道具に吸い込まれた。
シャラ「おい!出てこい」
  シャラの張り上げた声だけが、海岸の谷にこだました。
シャラ「どうした、来ないのか」
  やはり応答はない。
シャラ「来ないなら、こちらから行くぞ」
  人影が一つ、ゆったりと谷の影から姿を現した。
林(リン)「おお、恐ろしい」
シャラ「やはりお前か。林(リン)」
  林(リン)と呼ばれた男は手を組むと、シャラへ軽く一礼した。
  林(リン)は、鈴蘭(リンラン)と同じ国の衣を纏い、シャラと向かい合った。
林(リン)「お久しゅうございます」
林(リン)「「球」へ、あなたが勝手に入って以来です」
  シャラは砂浜を軽く蹴った。
シャラ「相変わらずだな。いけ好かんやつだ」
林(リン)「同じくです」
林(リン)「あなたは・・・姉君から頼まれたとはいえ」
林(リン)「我ら一門ではない」
林(リン)「好き勝手に「球」へ首を突っ込むのはお止めなさい」
  シャラは剣の束に手を掛けた。
シャラ「虎の威を借る狐が、偉そうに」
シャラ「「球」の回収に手が回らず、私に泣きついたのはどこの「おまえ」だ?」
  林(リン)は大仰なため息に、笑い声を乗せた。
林(リン)「ははは。そうでしたな」
林(リン)「あなたは、ハラン様を追って「球」にまで来たので?」
林(リン)「ご苦労なことですな」
シャラ「わざわざお喋りしに来たのか?林(リン)」
林(リン)「軽口くらい許されるでしょう?」
林(リン)「「球」の端にいた、私の部下を根こそぎ道具に閉じ込めて」
林(リン)「何処へやら、埋めてしまったあなたに」
林(リン)「何を遠慮せよと?」
  シャラと林(リン)、視線と視線が火花を散らした。
シャラ「ふっ」
シャラ「埋めたとて、問題なかろう」
シャラ「探査ばかり上手いお前だもの」
シャラ「直ぐに探り当てたろう?」
林(リン)「ええ、それはもう」
林(リン)「私には剣の才がありませんからなぁ」
林(リン)「妹君──シュロ様と一緒で」
  シャラは、笑みを崩さなかった。
  張り付けた笑みの下で、剣の柄にかけた手に、青く筋が浮かぶ。
シャラ「なあ、知ってるか?」
林(リン)「何でしょう?」
シャラ「この「球」の中で」
シャラ「モンスターにならず」
シャラ「人を殺す方法を」

次のエピソード:43 弓と矢と応酬

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