渋谷の万引きGメン

しばしば

エピソード1(脚本)

渋谷の万引きGメン

しばしば

今すぐ読む

渋谷の万引きGメン
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇渋谷のスクランブル交差点
  2月10日──
  ここは、渋谷駅のスクランブル交差点。
  たくさんの人であふれ返っている。

〇スーパーマーケット
万引きGメン「そして、ここは 駅から10分ほど離れた所にある スーパー、こざくら」

〇スーパーマーケット
店長「今日も店の見回り、お願いしますね」
万引きGメン「ホホホ、お任せくださいませ」

〇スーパーの店内
  客の1人が、不自然な動きをしていた。
  商品を手に持ち
  周りの人をキョロキョロと見ながら
  防犯カメラの死角へ移動しようとしている。
「あやしい。 きっと、あの人、やるわよ・・・」

〇スーパーの店内
万引きGメン「ほら、やった!」
  客が商品をリュックの中に入れるのを
  万引きGメンは見逃さなかった。

〇スーパーマーケット
  気づかれないよう
  素早く、万引き犯の後を追う。

〇スーパーマーケット
万引きGメン「ちょっと、お客さん!」

〇スーパーマーケット
エイリアン「グエッ!?」
万引きGメン「未精算の商品、ありますよね?」

〇スーパーマーケット
エイリアン「・・・・・・」
エイリアン「ボク・・・」
エイリアン「ニホンゴ・・・」
エイリアン「ワカラナイ・・・・・・」

〇スーパーマーケット
万引きGメン「そうなの・・・」
万引きGメン「って、喋れてるやないかい!」
万引きGメン「あかん、つい、関西弁が出てもうたわ」
万引きGメン「とにかく、店の事務室まで 来てもらえますか?」
エイリアン「グヌヌ・・・」

〇店の休憩室
万引きGメン「ほら、盗んだもの出して!」
エイリアン「ウッ・・・」
  エイリアンは背負っていたリュックを
  机の上に置いた。

〇店の休憩室
エイリアン「オカアチャン・・・」
  エイリアンは大粒の涙を流した。
万引きGメン「あなたのお母さんのほうが泣いてるわよ」

〇店の休憩室
万引きGメン「泣いてもだめよ ほら、早くリュックの中を見せて!」

〇店の休憩室
エイリアン「ワカッタ・・・」
  ごそごそと、リュックの中から
  出てきたのは・・・

〇店の休憩室
万引きGメン「まあ、バラの花束!?」
エイリアン「カノジョニ・・・・・・ワタシタカッタ」
エイリアン「キョウ・・・プロポーズ・・・ スルハズダッタノニ・・・・・・」
万引きGメン「そうだったの・・・」
エイリアン「マンビキチュウニ・・・・・・ フラレタ・・・・・・」
万引きGメン「そりゃ、フラれるわ」

〇店の休憩室
万引きGメン「まだリュックの中に 他にも入ってるんでしょ!」
エイリアン「ギクッ」
万引きGメン「ほら出して!!」

〇店の休憩室
  エイリアンは
  リュックの中に手を入れ、
  あるものを取り出した。

〇店の休憩室
万引きGメン「えっ、クスリ!? まさか、違法な薬物とか・・・」

〇店の休憩室
エイリアン「ビタミンザイ・・・・・・」
エイリアン「ニキビ・・・・・・ ヨクデキルカラ・・・・・・」
万引きGメン「意外と肌対策してるのね・・・」

〇店の休憩室
万引きGメン「まさか、もう他にないわよね?」
エイリアン「・・・・・・」
万引きGメン「あるわね!」
万引きGメン「ほら出して!」

〇店の休憩室
エイリアン「ボク・・・ エイリアン、ヤメマス・・・・・・」
万引きGメン「!?」
エイリアン「チキュウ・・・・・・セイフクスルノ・・・ ツカレタ・・・・・・」
万引きGメン「って、この辞表も 誰かから盗んだんでしょ!」
エイリアン「モクヒシマス・・・・・・」
万引きGメン「難しい日本語、知ってるじゃない!」

〇店の休憩室
万引きGメン「まだまだ他にもあるわよね!」
万引きGメン「ほら出して!」

〇店の休憩室
エイリアン「チョット、ココデ・・・ ヒトイキ、ツキマセンカ?」
  リュックの中から甘い香りが漂う
エイリアン「ポットモ・・・・・・ アリマス・・・・・・」
  エイリアンは嬉しそうに
  ポットをリュックから出してきた。
万引きGメン「あら、気が利くわね」
万引きGメン「って場を和ませようとするんじゃない!」
万引きGメン「これも、全部盗んだものでしょ!」

〇店の休憩室
店長「まあまあ、 そこら辺で終わりにしたらどうかね」
  店長が事務室に入ってきた。
店長「エイリアンさんも もう十分反省していることだし」
万引きGメン「店長! でも反省しているようには・・・・・・」
エイリアン「モウ・・・ニドト・・・シマセン・・・」
店長「ほらほら、泣いて謝ってるじゃないか」
万引きGメン「でも・・・・・・」
万引きGメン「泣いてるのも エイリアンの演技じゃないかしら」
万引きGメン「店長がよろしいのであれば・・・ まあ・・・私は何も言えませんわ」

〇店の休憩室
  エイリアンは盗んだ商品を返却して
  謝って帰って行った。

〇スーパーの店内
万引きGメン「色々あったけど、 気を取り直して 仕事、再開しなくちゃ」
  万引きGメンは
  1人の客に構ってばかりいられない。
  次から次へと
  仕事をこなしていかなければならないのだ。

〇スーパーの店内
  閉店が近づくと
  割引になった商品を求めて
  店内は多くの客でにぎわっていた。
  その中で、1人の客が
  買い物かごを持たずに
  服のポケットに両手を突っ込んで
  歩き回っている。
「あの人、あやしいわね。 きっとやるわ・・・」
万引きGメン「ほら、入れた!」
  客が商品をポケットの中に入れるのを
  万引きGメンは見逃さなかった。

〇スーパーマーケット
  素早く追いかけ
  万引き犯に声をかける。
万引きGメン「ちょっとお客さん!」

〇スーパーマーケット
エイリアン「ケコ!?」
万引きGメン「いや、もう誰やねん!!」
万引きGメン「ポケットばかり見て 顔あまり見てなかったわ」
万引きGメン「あかん、また関西弁、 思わず出てしもたわ」

〇スーパーの店内
  その後も
  万引きGメンの活躍は続いた。

〇スーパーの店内
万引きGメン「はい、入れた!」

〇スーパーマーケット
万引きGメン「ちょっと、お客さん!」
エイリアン「ピプ!?」

〇スーパーの店内
万引きGメン「はい、盗んだ!」

〇スーパーマーケット
万引きGメン「ちょっと、お客さん!」
エイリアン「ゴホッ!?」

〇スーパーの店内
万引きGメン「はい、また入れた!」

〇スーパーマーケット
万引きGメン「お客さん!」
エイリアン「カハッ!?」

〇店の休憩室
  店が閉店し
  やっと万引きGメンの仕事は終わった。
万引きGメン「あーあ、今日はなんか疲れたわあ」
万引きGメン「そういえば 初めのエイリアンが盗んだ辞表、」
万引きGメン「誰が書いたものだったんだろう・・・?」
  机に残された辞表の封を開けてみた──
  辞表
  
  このたび一身上の都合により
  1月31日をもって退職いたします。
  
  店長 小桜まさのり
万引きGメン「えっ・・・」
万引きGメン「1月31日で退職って・・・ もう今日は2月よ・・・」
万引きGメン「どういうこと・・・!?」

〇店の休憩室
警備員「あのー、そろそろ事務室も 閉めますよ」
万引きGメン「あの、変なこと聞くけど 小桜店長、まだこの店にいてるよね?」
警備員「えっ、何言ってるんですか」
警備員「病気で体調を崩して 先月で退職されてますよ」
万引きGメン「・・・・・・」
  バタッ──
警備員「だ、大丈夫ですか!!」
  ショックのあまり
  万引きGメンは、その場に倒れ込んだ──

〇渋谷のスクランブル交差点
エイリアン「ねえ、ママ」
エイリアン「あの時、助けてくれてありがとう」
エイリアン「かわいい息子のためだもの・・・」
  スクランブル交差点には
  今日も様々な者が行き交っている──
  おわり

コメント

  • 終始笑いっぱなしでした。そして見事なラストですね!先に「恋する乙女、エイリアン♡」を読んでしまったので、エイリアン諸姉諸兄に肩入れしたくなります!(笑)

  • オチで笑ってしまいました!笑
    エイリアンのお母さん、変装が上手すぎですよ!
    なんだか異星人の万引き犯ばかりで、読んでて楽しかったです。

  • この作品だけ、なぜか今まで見ていなかったのですが、ラストの仕掛けが素晴らしいですね。
    店長はオバケかと思ったら…そして、やはりエイリアン天国!安心して笑えます。

コメントをもっと見る(7件)

成分キーワード

ページTOPへ