殺し屋、出勤中。

吹宮良治

エピソード5(脚本)

殺し屋、出勤中。

吹宮良治

今すぐ読む

殺し屋、出勤中。
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  結城あかり、30歳。
  今日は彼女の誕生日だ。
  予定通り、彼女と過ごすことになった。
  しかし・・・

〇居酒屋の座敷席
石田克典「不破さん、飲んでます? 今日は主役なんですからね!」
不破誠(俺のくだらん歓迎会と重なるという不運。 二人きりではなく、こいつらも一緒だ)
中堀伸介「結城さんの誕生日祝いも兼ねてるんだから、この人だけが主役じゃないぞ」
不破誠(営業部のエースか何か知らんが、こいつの言い方はいつもトゲがある。 もっとも嫌いなタイプだ)
石田克典「そのもう一人の主役はどこ行ったんすか? 高井くん知ってる?」
高井雄太「たぶんトイレだと思いましゅ」
中堀伸介「お前酔っぱらってんのか? 呂律回ってないぞ」
高井雄太「僕、お酒とか普段飲まないでしゅ」
不破誠(でしゅって。 俺はお前のこと嫌いじゃないぞ)
星野千尋「私と話しましょうよ、不破さん」
星野千尋「仕事中は無口だし、嫌われてるのかと思っちゃいます」
星野千尋「今日くらい無礼講で行きましょう」
不破誠(この小娘は妙に馴れ馴れしい。 最近の女はみんなこうなのか?)
石田克典「千尋ちゃん、部長のお酌はいいの?」
星野千尋「見てください。もうおねむですよ」
結城あかり「あれ、もう部長寝てらっしゃるんですか」
石田克典「老害はいなくなりましたから、あかりさんの30歳祝いを盛大にやりましょう」
星野千尋「30歳って強調しないでください。 そういうのデリカシーないんだから石田さん」
結城あかり「私の誕生日はおまけですから」
結城あかり「今日は不破さんの歓迎会をお祝いしましょう」
不破誠(お祝いしましょうだと?)
不破誠(先日、あんなことを口にしておいて、この女)
結城あかり「不破さん、楽しんでますか?」
不破誠(私に近づくと死にますよ。 この女はそう言ったんだ)
不破誠(あれ以来、何事もなかったようにしているが、どういうつもりだ)
結城あかり「不破さん、何も食べてないし、何も飲んでないじゃないですか」
不破誠(当たり前だ)
不破誠(他人が差し出した物は口にしないことにしているが、お前がいる場に並べられた食い物などもってのほか)
結城あかり「不破さんの食べたい物、注文しますよ」
不破誠(婚約者と同じように、お前も殺す)
不破誠(あの言葉の真意はそういうことだろう)
不破誠(・・・ボスからだ!)
星野千尋「不破さん、あかりさんを見る目が私とは違いますね」
不破誠(こんな時間に連絡とは、何かあったのか?)
星野千尋「そうだ、新商品のボーナスナックのキャラクター、ボーナくんができたんですよ」
星野千尋「これ、ボーナくんのマスクです。 忘年会の時とかに使ってください」
不破誠(使わないし、忘年会までいない)
星野千尋「このあいだ不破さん、私に水持ってこいって怒鳴ったの覚えてます?」
星野千尋「私、あんな風に言われたの初めてで」
星野千尋「それ以来、不破さんのこと・・・」
星野千尋「ちょっと不破さん。どこ行くんですか?」
結城あかり「・・・・・・」

〇組織のアジト
新堂信明「悪いな、わざわざ呼びつけてしまって」
不破誠「・・・・・・」
新堂信明「実は依頼者が、お前に会いたがっている」
新堂信明「結城あかりに殺された男の母親だ」
不破誠(・・・依頼者が)
新堂信明「調査状況を聞きたいらしくてな」
不破誠(会えるわけないだろう。 殺し屋にとって面が割れるのは致命的)
新堂信明「乗り気じゃなさそうだな。 わかってくれ、これも仕事なんだ」
不破誠(潜入調査の次は面割り。 さすがにもう俺の流儀に反する)
不破誠(それにボスは会社にスパイまで送り監視をし、俺を全く信用していない)
新堂信明「わかってくれたか?」
不破誠「調査状況なら、清掃員に聞いたらどうですか?」
新堂信明「清掃員? 何の話だ?」
不破誠(とぼけるつもりか。話にならん。 俺は帰る!)
新堂信明「ああ、そうか。通してくれ」
不破誠「・・・・・・」
新堂信明「岩重君子が着いた」
不破誠「岩重?」
新堂信明「依頼者だよ」
不破誠(冗談じゃない! この顔を絶対にさらす訳にはいかない)
新堂信明「諦めろ、不破」
新堂信明「殺し屋はサービス業なんだ」
不破誠(何か手はないのか!)
新堂信明「もうすぐここに来るんだ。 逃げられないぞ」
岩重君子「お初にお目にかかります。 結城あかりの件で依頼しました、岩重君子でございます」
新堂信明「お待ちしておりました。 そちらの方は?」
岩重君子「私の運転手です」
東条昌弘「東条と申します」
岩重君子「息子も亡くし、主人にもだいぶ前に先立たれたので、身の回りの世話はこの東条がしてくれております」
新堂信明「それはご苦労されてますね」
岩重君子「今回、引き受けてくれた方はまだいらっしゃらないのですか?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:エピソード6

成分キーワード

ページTOPへ