殺し屋、出勤中。

吹宮良治

エピソード6(脚本)

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吹宮良治

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〇高層ビル

〇オフィスのフロア
石田克典「相変わらず、不破さんの机きれいっすね」
不破誠(当たり前だ)
不破誠(殺し屋は整理整頓が基本。 一つでも配置がずれていれば一瞬で気づく)
結城あかり「不破さん、昨日突然帰られるからどうしたのかと思って」
不破誠(俺を殺すタイミングを逃したとでも言うのか?)
結城あかり「何か急用だったんですか?」
不破誠(お前のことだ)
不破誠(俺の正体に気づかれる前に調査を終えて、早く始末しなければ)
磯ヶ谷敏文「不破くん!」
磯ヶ谷敏文「先日頼んだ見積書が全く違うじゃないか。 先方がカンカンだよ!」
不破誠「・・・・・・」
磯ヶ谷敏文「何か言うことはないのかね!」
不破誠(これはまずいことになった)
中堀伸介「俺、先方に出向いてきます」
不破誠(エースの登場か)
中堀伸介「ほら、あんたも行くんだよ!」
不破誠(・・・だよな)

〇川沿いの公園
中堀伸介「なんとか収められてよかった」
不破誠(あんなに頭を下げたのは初めてだ)
中堀伸介「ったく勘弁してくださいよ」
不破誠(救世主になった気で、さぞ気持ちがいいだろう)
中堀伸介「まぁ、とりあえずお疲れってことで。 これ、どうぞ」
不破誠(ふん。あとで捨てておくか)
中堀伸介「全然話さないから、いまいちあなたのこと良く分からないんですよね」
不破誠(知らなくていい)
中堀伸介「だから、あなたのことまだ仲間だと認めてないし、こんな使えない人、本当は助けたくなかったです」
不破誠(もっと言葉を選べないのか、こいつは)
中堀伸介「でも、これで借りは返しましたから」
不破誠(借り?)
中堀伸介「ボーナスナックですよ」
中堀伸介「俺が喉につまらせた時、本気で心配したでしょ?」
不破誠「・・・・・・」
中堀伸介「・・・その借りは返したんで」
不破誠「・・・・・・」
中堀伸介「何か言ってくださいよ」
不破誠「・・・・・・」
中堀伸介「相変わらず何考えてるか分からないな」
不破誠「・・・・・・」
  コーヒーを手に取り、ゆっくりと口をつける不破。

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