僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

【3期ED】ゾンビ消失事件(脚本)

僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

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〇オフィスのフロア
ゾンビ課職員「杉白区より報告!」
ゾンビ課職員「通報のゾンビを見失ったそうです!」
ゾンビ課職員「大変です! 七松市でゾンビを見失ったと!」
平 光和(たいら みつかず)「どういうことだ・・・?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「はい、ゾンビ課。ああ交通課の」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樺島。道路でタップダンスを踊るゾンビだと」
樺島 一心(かばしま いっしん)「すぐ向かいましょう」
樺島 ここね(かばしま ここね)「行くよ、レックス」
レックス 「ラジャー」

〇大きい交差点
樺島 一心(かばしま いっしん)「お待たせしました、ゾンビ課です」
警察官「樺島さん。ありがとうございました」
警察官「お陰で渋滞も無事解除されましたよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ええっ!?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おいおい。俺たちは今着いたとこだぞ」
警察官「え? でもゾンビは居なくなって・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「平さん。こちらでもゾンビが消えました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「これで4件目です」
平 光和(たいら みつかず)「偶然では済まされない、か」

〇警察署の入口
平 光和(たいら みつかず)「今月に入ってもう7件」

〇大会議室
平 光和(たいら みつかず)「ゾンビが行方不明となっている」
ゾンビ課職員「それって問題なのでしょうか」
ゾンビ課職員「事件は解決しているわけですし」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「激しく同意だな。ゾンビ課は暇じゃない」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「放っといて違う事件を追えばいい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビは拉致されたのではないでしょうか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「酷い目に遭っていないか心配です」
平 光和(たいら みつかず)「私はむしろこの後が心配だ」
平 光和(たいら みつかず)「一度に街に放されたりすればパニックだ」
ゾンビ課職員「人員を動かすのは難しいでしょう」
ゾンビ課職員「ただ消えたのであれば事件性はない」
ゾンビ課職員「むしろ市民はゾンビが消えて喜んでますよ」
ゾンビ課職員「動く必要ないと思います!」
ゾンビ課職員「そうだそうだ!」

〇オフィスのフロア
樺島 ここね(かばしま ここね)「警察は動く必要ないってどういうこと!?」
レックス 「ドウイウコトダ! イッシン!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「痛ててて。そう怒るなよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「警察は”事件性”がないと動けないんだ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビが誘拐されたかもしれないのに!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「十分事件だよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕らだけで動くしかないね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「まさか、その僕らには俺も入ってるのか?」
レックス 「オマエニハ カリガアッタヨナ ルイ」
レックス 「ゾンビチクデ ハッポウガアッタナァ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ちっ。いつまでも前のことを」

〇空
円谷 理子(つぶらや りこ)「えー」

〇研究施設の一室
円谷 理子(つぶらや りこ)「事件かもしれない事件を手伝え?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「目撃者の動画がいくつかあるのですが」
樺島 一心(かばしま いっしん)「手がかりらしいものがなくて」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樺島、こんな女に頼んでも同じだぞ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺たちが何度見返したと思ってる」
円谷 理子(つぶらや りこ)「そういう態度ならこちらも願い下げよ」
円谷 理子(つぶらや りこ)「他にも仕事が立て込んでるしね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そこをなんとか──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お願い! 円谷さん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「円谷さんが頼りなの!」
円谷 理子(つぶらや りこ)「──!」

〇幻想2
樺島 ここね(かばしま ここね)「この世界で円谷さんがだけが頼りなの! ※ 一部脚色あり」

〇宇宙空間
円谷 理子(つぶらや りこ)「私がここねちゃんの最後の希望・・・!」

〇研究施設の一室
円谷 理子(つぶらや りこ)「ど、動画なんて・・・」
円谷 理子(つぶらや りこ)「何時間でも観てあげるわーーーー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「効果は絶大だな・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「嬉しいけど怖い」
円谷 理子(つぶらや りこ)「見つけたわよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう!?」
円谷 理子(つぶらや りこ)「この帽子の女性、どの現場にもいるわ」
円谷 理子(つぶらや りこ)「場所によって服は変えてるみたいだけど」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「この一瞬で・・・マジかよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「拡大出来ます?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「急用を思い出した。少し抜ける」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「どうしたのかな」
レックス 「ナッツデモ ヒロイグイ シタカ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「レックスじゃないんだから」

〇警察署の廊下
平 光和(たいら みつかず)「その女性がゾンビ消失に関わっていると?」

〇オフィスのフロア
樺島 一心(かばしま いっしん)「調べてみる価値はあると思います」
樺島 ここね(かばしま ここね)「今度は消える前に現場にいかないとね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、ゾンビ課です」
ゾンビ課職員「その声は樺島か? あいつ何とかしてくれ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あいつ?」
ゾンビ課職員「尾ヶ崎だよ! 現場を荒らしまくってる!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんですって!?」

〇寂れた雑居ビル
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だからー! この女に見覚えは!」
事件に居合わせた人「み、見てません!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「しっかり思い出せって! なあ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん! 急にいなくなったと思えば」
樺島 一心(かばしま いっしん)「一体ここで何をしてるんですか」
樺島 ここね(かばしま ここね)「その写真・・・あの女の人?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あ、いや。これは俺のダチだ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「パンデミックで行方不明になった、な」
樺島 一心(かばしま いっしん)「その方が、ゾンビ消失に関わっていると?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そう考えたくはないがな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だが、そんなことより──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「生きてるなら会いたいって思ったんだよね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・まあ、そんなとこだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「じゃ、捕まえて聞いてみましょう!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どうする気だ? 手がかりは殆どないぞ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「実は、平さんから策を頂きまして──」

〇映画館の入場口

〇大劇場の舞台
レックス「マタコレカ・・・」
ゾンビ「うーー!」

〇舞台袖
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「大丈夫なのか? 映画館にゾンビを放って」
平 光和(たいら みつかず)「上には、話を通してあるよ」
平 光和(たいら みつかず)「大規模ゾンビテロの前触れかもしれないとね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「平さん! 円谷さんも」
平 光和(たいら みつかず)「観客にはゾンビ課の警察官を配置している」
平 光和(たいら みつかず)「いわゆるおとり捜査というやつだよ」
円谷 理子(つぶらや りこ)「犯人は恐らく、SNSを監視してる」
円谷 理子(つぶらや りこ)「だからそっちにもおとりを用意したわ」

〇オフィスのフロア

〇SNSの画面
  やば。映画館にゾンビでたわ
  休暇取ってきたのにツイてない〜

〇舞台袖
平 光和(たいら みつかず)「警察現着前にゾンビは消えている」
平 光和(たいら みつかず)「犯人が現れるとしたらこの数分だろう」

〇大劇場の舞台
  一分経過

〇映画館の座席
ゾンビ課職員「二分経過・・・」

〇舞台袖
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・三分経過!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なんだ!?」

〇映画館の座席
樺島 一心(かばしま いっしん)「これは!?」
映画館スタッフ「すみません、消火装置が故障のようで!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「しまった、この煙じゃ・・・」
レックス 「ココネー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「レックス!? どうしたの!?」

〇映画館の座席
樺島 ここね(かばしま ここね)「レックスー! レックスー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「どうしよう、レックスも消えちゃったよ」
円谷 理子(つぶらや りこ)「困ってるここねちゃんも可愛いっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「言ってる場合ですか」
円谷 理子(つぶらや りこ)「それが、言ってる場合なのよね」

〇開けた高速道路
樺島 一心(かばしま いっしん)「えー、前のトラックの方」

〇1000026625
樺島 一心(かばしま いっしん)「左へ寄せて一時停車して下さい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「すみません、運転手さん」
樺島 一心(かばしま いっしん)「積み荷の確認だけよろしいでしょうか」
運転手「あのー、急いでいるんですが」
樺島 一心(かばしま いっしん)「すぐ終わりますので」
運転手「・・・構いませんよ」

〇殺風景な部屋
樺島 一心(かばしま いっしん)「何もない?」
運転手「ちょうど積み荷を取りに行くところで」
円谷 理子(つぶらや りこ)「これ、二重扉ね」
運転手「なっ、何を根拠に」
円谷 理子(つぶらや りこ)「だって扉の裏に反応があるもの」
円谷 理子(つぶらや りこ)「仕込んでおいたGPSのね」
運転手「なっ・・・」
???「いいわ、開けなさい」
???「私たちはやましいことはしていない」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「お前っ・・・! 詠美! 詠美だよな!」
矢野 詠美(やの えいみ)「ルイ!? どうして」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「聞きたいのはこっちの方だ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「何故ゾンビを連れ去った?」
矢野 詠美(やの えいみ)「ルイには・・・関係ないでしょ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「関係ならある。俺はゾンビ課の刑事だ」
矢野 詠美(やの えいみ)「警察っ・・・だ、だとしても!」
矢野 詠美(やの えいみ)「ゾンビの回収は犯罪にはならないでしょう?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「君の言う通りだ。しかしね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「消火装置を誤作動させたのは罪になるよ」
矢野 詠美(やの えいみ)「しょ、証拠はあるの!?」
矢野 詠美(やの えいみ)「任意同行は断れるはず・・・よね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そ、それは」
円谷 理子(つぶらや りこ)「もう、しっかりなさい。 レックス!」
レックス「アー キュウクツダッタ」
矢野 詠美(やの えいみ)「わわっ! 鳥!?」
円谷 理子(つぶらや りこ)「GPSはレックスに付けてたの」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ゾンビに付ければ見つかると思ったからね」
樺島 ここね(かばしま ここね)「円谷さん、すごい!」
円谷 理子(つぶらや りこ)「はうっ! ここねちゃ・・・じゃなかった」
円谷 理子(つぶらや りこ)「樺島さん。他人のペットを連れ去るのは?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「窃盗罪になります!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あなたを現行犯で逮捕します」
矢野 詠美(やの えいみ)「捕まるくらいなら、ここで死ぬ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「やめろ! 詠美!」
矢野 詠美(やの えいみ)「私が死ねば、あの人たちの居場所は守られる」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あの人たち?」
矢野 詠美(やの えいみ)「ゾンビ地区に送られたゾンビたちのことよ!」
矢野 詠美(やの えいみ)「そのうち処分するつもりなんでしょ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そんなことしないよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね! 下がるんだ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたしたちは人とゾンビが一緒に暮らす」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そんな未来を目指してるんだから!」
矢野 詠美(やの えいみ)「その肌。あなた・・・『ここね』ちゃん?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「どうしてわたしのことを?」
矢野 詠美(やの えいみ)「気が変わったわ。警察さん」
矢野 詠美(やの えいみ)「取引しませんか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・取引?」
矢野 詠美(やの えいみ)「もし見逃してくれるなら会わせてあげる」
矢野 詠美(やの えいみ)「あなた達が一番会いたい人に」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・一番」
樺島 ここね(かばしま ここね)「会いたい人・・・」

〇荒廃した市街地
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここは・・・」
矢野 詠美(やの えいみ)「ゾンビ地区の一つよ」
矢野 詠美(やの えいみ)「特別なルートを使えば入ることができるの」
ゾンビ「あうー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ひいっ、ゾンビ──」
矢野 詠美(やの えいみ)「ゾンビ恐怖症なの? 嘘でしょ」
矢野 詠美(やの えいみ)「ゾンビ課の警察官なのに。変なの」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なぁ詠美、何故いままで連絡しなかった」
矢野 詠美(やの えいみ)「・・・着いたわ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おい、話聞けって」
樺島 ここね(かばしま ここね)「大丈夫?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「な、なんとか」

〇荒廃した街
廃墟に住む人「あんちゃん、廃材運ぶの手伝ってくれんか」
ゾンビ「あうー」
廃墟に住む人「お茶、向こうの家までお願いね」
ゾンビ「ううー」
廃墟に住む人「ありがとねー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「これは・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビと人が一緒に暮らしてやがる」
矢野 詠美(やの えいみ)「ここはゾンビと人が共に暮らす街」
矢野 詠美(やの えいみ)「私たちは『ノマディア』と呼んでるわ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「馬鹿な。ゾンビ地区内に街だと?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビ地区は定期的な巡視があるはずだ」
矢野 詠美(やの えいみ)「巡視は数カ月に一度。ルートも割れてる」
矢野 詠美(やの えいみ)「街ごと移動すれば見つからないわ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何故、隠れる必要があるんです?」
矢野 詠美(やの えいみ)「あなたたち、本当に何も知らないのね」
矢野 詠美(やの えいみ)「政府にはね、ゾンビを処分する計画があるの」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「聞いたこともねぇぞ」
矢野 詠美(やの えいみ)「最近、車が走りやすいと思ったことはない?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「復興とともに道路の整備が進みましたから」
矢野 詠美(やの えいみ)「舗装くらいでゾンビが道を避けるかしら」
樺島 一心(かばしま いっしん)「どういうことですか?」
矢野 詠美(やの えいみ)「街のゾンビが減ってるってことよ。理由は」
矢野 詠美(やの えいみ)「政府が見境なくゾンビ地区へ送ってるから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「嘘。そんなの許されるわけないよ!」
矢野 詠美(やの えいみ)「私の言葉は信じなくてもいいわ。でも──」
矢野 詠美(やの えいみ)「リーダーの言葉ならあなた達は信じるはずよ」

〇テントの中
矢野 詠美(やの えいみ)「面会よ。リーダーは?」
ノマディアの住人「いま、少し外してます」
矢野 詠美(やの えいみ)「じゃあ、客人と待たせてもらうわね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・なあ、詠美」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なぜ生きてるって教えてくれなかった」
矢野 詠美(やの えいみ)「外部との接触はノマディアを危険に晒すわ」
矢野 詠美(やの えいみ)「ここを政府に知られるわけにはいかない」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「それほど大事か。ここが」
矢野 詠美(やの えいみ)「私はノマディアに命を救われたの」

〇荒廃したセンター街
矢野 詠美(やの えいみ)「マリアン、お店の中にまだ人が!」
矢野 詠美(やの えいみ)「私、誘導してくる!」

〇荒れた小屋
矢野 詠美(やの えいみ)「Labas na kayo! Guguho na ang bahay!」
矢野 詠美(やの えいみ)「えっ・・・」
矢野 詠美(やの えいみ)「きゃあああ!」

〇壁
尾ヶ崎 マリアン(おがさき まりあん)「エイミー!」
  マリアンの声が遠くなっていく
  よかった。無事でいて・・・
  瓦礫に挟まれた脚が痛い・・・
  死にたくない。助けて・・・ルイ・・・

〇白
ゾンビ「ああーーー!」
???「生存者か? でかしたぞ、少尉」
???「君、大丈夫か?」
???「安心しろ、いま助ける」

〇テントの中
矢野 詠美(やの えいみ)「私は返しきれない恩がある」
矢野 詠美(やの えいみ)「ノマディアは私の命そのものなの」
ノマディアの住人「リーダーが戻られました」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ど、どんな人なんだろう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「きっとゾンビに理解ある、優しそうな──」
ゾンビ「あうっ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「優しそうなゾンビだったーー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、違う違う」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この人、お掃除してるんだって」
矢野 詠美(やの えいみ)「肌の色でもしかしたらって思ったけど」
矢野 詠美(やの えいみ)「やっぱりあなたも言葉がわかるのね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あなた『も』?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「詠美さんも言葉がわかるの?」
矢野 詠美(やの えいみ)「いえ、私じゃなくて──」
???「詠美、客人というのは──」
「──!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あ、あなたは──」
???「なぜ、彼らを連れてきた」
矢野 詠美(やの えいみ)「すみません、トラブルで仕方なく」
???「そうか・・・事情はあとで聞こう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・父さん!?」
???「・・・ああ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さん! ずっと探してたんだよ!」
樺島 仁(かばしま じん)「すまない。一心、ここね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここで何を・・・まさか」
樺島 仁(かばしま じん)「そうだ。俺が『ノマディア』のリーダーだ」

〇荒廃した市街地
樺島 仁(かばしま じん)「詠美から話は聞いたか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まだ半信半疑だよ。本当なの?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「政府がゾンビ地区に大量移送してるなんて」
樺島 仁(かばしま じん)「残念ながら、事実だ」
樺島 仁(かばしま じん)「地区へ送ったゾンビを処分する計画もな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さんは、どこでその話を?」
樺島 仁(かばしま じん)「政府に運ばれてくるゾンビたちからだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「父さんも、ゾンビの声が!?」
樺島 仁(かばしま じん)「この身体になってからだがな」
樺島 仁(かばしま じん)「ゾンビってやつはよく喋るよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「特異行動してるゾンビは結構お話するけど」
樺島 仁(かばしま じん)「そうか? 大抵話してくれるぞ」
樺島 仁(かばしま じん)「辛抱強く心を通わせればいいんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「さ、さすが父さん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたしより翻訳を使いこなしてる」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「仁さん。ご無沙汰してます」
樺島 仁(かばしま じん)「尾ヶ崎も久しぶりだな。演習以来か」
樺島 仁(かばしま じん)「そして・・・隣の女性は」
円谷 理子(つぶらや りこ)「科警研の円谷と申します、お父様」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ここねちゃんには大変お世話になって──」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「仁さんは一体、何をしようとしてるんですか」
樺島 仁(かばしま じん)「俺は政府に見せてやりたいんだ」
樺島 仁(かばしま じん)「人とゾンビが共存できるんだってことをな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「人とゾンビが共存・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたしたちと同じこと考えてたんだ」
樺島 仁(かばしま じん)「その為に街を大きくすることを考えている」
樺島 仁(かばしま じん)「さてと、着いたぞ」

〇大樹の下
樺島 ここね(かばしま ここね)「わあ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ地区にこんな緑が」
樺島 仁(かばしま じん)「ゾンビと街のみんなで作ったんだ」
樺島 仁(かばしま じん)「二人には是非見せたくてな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あれ」
ノマディアの子供「あははは」
樺島 仁(かばしま じん)「ゾンビ地区に残されていた孤児たちだ」
樺島 仁(かばしま じん)「大人が働いている間、ここで遊ばせてる」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ゾンビ地区じゃないみたい」
レックス「ココナラ ハネヲ ノバセソウダ」
樺島 仁(かばしま じん)「一心、ここね。これから辛いことを伝える」
樺島 仁(かばしま じん)「琴葉に関することだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「母さんの・・・?」
樺島 仁(かばしま じん)「俺はゾンビに噛まれたが薬が間に合った」
樺島 仁(かばしま じん)「半分ゾンビになってしまったがな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「でも嬉しいよ。こうやって話せるからね」
樺島 仁(かばしま じん)「俺を噛んだのは・・・琴葉だ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「──!」
樺島 仁(かばしま じん)「つまり、お前たちの母さんは・・・っ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だよ。父さん」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビでも母さんなのは変わらない」
樺島 仁(かばしま じん)「一心・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ずっとずっと会いたかったんだよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そんなこと気にしないに決まってる」
樺島 仁(かばしま じん)「ふっ・・・俺の心配は杞憂だったか」
樺島 仁(かばしま じん)「子供はいつの間にか成長するんだな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それで母さんはどこに?」
樺島 仁(かばしま じん)「琴葉はいま、子供達を見てくれている」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビにそんなことが出来るのですか」
樺島 仁(かばしま じん)「『人とゾンビを繋ぎたい』」
樺島 仁(かばしま じん)「琴葉はそういう意思を持っているからだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「特異行動・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あっ!」
ノマディアの子供「こっちだよー」
ゾンビ「うー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あの後ろ姿は・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「声だけで、誰かわかるよ」
「母さん!          お母さん!」
ゾンビ「あー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わ・・・わかるの!? 私たちのことが」
ゾンビ「うーあ (ここね、一心)」
ゾンビ「あうー (おかえりなさい)」
樺島 ここね(かばしま ここね)「う、うわあああん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お母さぁん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・ただいま、母さん」
樺島 仁(かばしま じん)「一心、わかるのか? 琴葉の言葉が!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「わからない。でもわかる気がするんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「母さんが何を言っているのか」
樺島 仁(かばしま じん)「そうか・・・そうか・・・」
レックス「オヤコノキズナハ イイモンダナ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そっ・・・そうだな」
円谷 理子(つぶらや りこ)「ふええ! 良かったよぉごごねぢゃあん!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺、ちょっと外してくるわ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「目にゴミが入っちまって」
レックス「ナミダモロイ ヤツダ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ち、違う! 花粉だ!」

〇荒廃した市街地
矢野 詠美(やの えいみ)「巡回の時間が近づいています」
矢野 詠美(やの えいみ)「彼らを外に出すならそろそろ出発しないと」
樺島 仁(かばしま じん)「そうか。わかった」
樺島 仁(かばしま じん)「・・・一心、ここね」
樺島 仁(かばしま じん)「警察をやめてノマディアに来ないか」
「──!」
樺島 仁(かばしま じん)「二人が来れば心強い。それに──」
樺島 仁(かばしま じん)「俺はまた家族4人で暮らしたい。どうだ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それはっ」
  僕たちがずっと、願っていたこと
樺島 一心(かばしま いっしん)「父さん、ぼ、僕は・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、大丈夫だよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「きっとここねも同じ気持ちだから」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・そうか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「父さん。僕は・・・いや、僕とここねは──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ノマディアに行くことはできない」
樺島 仁(かばしま じん)「一心・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もちろん、家族4人で暮らしたいよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「でも今の仕事も同じくらい大切なんだ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたしも」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビ課でやれること、まだあると思うの」
樺島 仁(かばしま じん)「お前たち・・・」
ゾンビ「あー」
樺島 仁(かばしま じん)「そうだな。俺も子離れしないとな」
樺島 仁(かばしま じん)「じゃあ、これからはライバルだな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うん。僕らはゾンビ課から──」
樺島 仁(かばしま じん)「俺はノマディアから目指そう──」
「人とゾンビが共に暮らせる明日を」

〇殺風景な部屋
運転手「窮屈ですが、地区外に出たら開けますので」
運転手「辛抱してくださいね」
矢野 詠美(やの えいみ)「・・・ルイ。マリアンはその、元気なの?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「店を再建するって昼も夜も働きづめだ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「身体は大丈夫そうだぜ」
矢野 詠美(やの えいみ)「・・・ルイは?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺? あー、まあなんとかやってるよ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「うるさい同僚とゾンビのケツを追いかけてる」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うるさい同僚〜?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね! 静かに」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あのな、詠美。その──」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「お前さ、いつかこっちに帰ってこないのか」
矢野 詠美(やの えいみ)「えっ!? わ、私!?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おふくろはずっとお前のことを悔やんでる」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「自分のせいで詠美を死なせたってな」
矢野 詠美(やの えいみ)「そんな・・・あれは私が勝手に」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だから誤解を解いてやって欲しいんだ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ちょっと顔を出すだけでいい。そうすれば」
矢野 詠美(やの えいみ)「ごめん・・・できないよ」
矢野 詠美(やの えいみ)「ノマディアを危険に晒すわけにはいかない」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「言うと思ったぜ。でも一つ言わせてくれ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「嬉しかったぜ。生きててくれて」
矢野 詠美(やの えいみ)「・・・っ」

〇街中の道路
矢野 詠美(やの えいみ)「ここでお別れ・・・だね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ああ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「本当にいいの? 尾ヶ崎さん」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「るせぇな、ゾンビ娘。余計なお世話だ」
樺島 仁(かばしま じん)「一ついいかな、詠美」
樺島 仁(かばしま じん)「ノマディアに外部担当者を作る案があってな」
矢野 詠美(やの えいみ)「が、外部担当者? それって・・・」
樺島 仁(かばしま じん)「地区外に住みノマディアを助ける存在だ」
矢野 詠美(やの えいみ)「あのっ・・・」
樺島 仁(かばしま じん)「口が硬く、組織をよく理解した者が適任だ」
樺島 仁(かばしま じん)「詠美。引き受けてくれるかな」
矢野 詠美(やの えいみ)「は、はいっ! 喜んでお受けします!」

〇警察署の入口
  僕と半分ゾンビな妹は
       対話でゾンビを理解する。

〇オフィスのフロア
  執筆ライター
  にゃぴょう
  咲良綾
  篠也マシン

〇商店街
  紗卦冬葉

〇スナック
  サトJun
  桜海とあ
  ぐらっぱ
  都麻(あさか友恵)
  尾長イルカ
  ふじのきぃ

〇大樹の下
  澤井軽野
  企画協力     胡林    ヒナタクチ
  イラスト協力 
  明酉 薊未ヨクト 咲良綾
  フォーマットメンバー
  薊未ヨクト(リーダー) komarinet 
  久望蜜 福山詩 悠蒼(50音順)

〇警察署の入口
  Special Thanks
  遠藤 彰二(TapNovel編集長)
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さんとお母さん、次いつ会えるかなー」

〇オフィスのフロア
樺島 一心(かばしま いっしん)「きっとまたすぐ会えるさ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕らが人とゾンビの絆を信じる限り」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん! そうだよね!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、こちらは──警視庁、ゾンビ課です」
  僕と半分ゾンビな妹は
  対話でゾンビを理解する。     完

コメント

  • (再投稿につき、再びコメントします)

    ついにゾンりか完結……!😭

    兄妹の両親、そして詠美の登場……!
    この再会には涙せざるを得ません。

    ゾンりかの皆様、本当にお疲れでした!

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