読切(脚本)
〇寂れた村
はるか昔・・・
渋谷と言われた村があった
その村には
いにしえよりある森を守る番人として
『森人』と呼ばれる人々が住んでいた
森人の本当の役割はそこに隠された
「モリ」を守ることであった
そのために・・・
ここに生を授け
この街に溶け込み
今も生存し続けている
〇渋谷駅前
「ぼくの名前は・・・ 「渋谷 護(シブヤ モリ)」 この街で能楽師を目指しでいる 絶賛修行中の女子大生なんよ!!」
現代の森人「じつは〜 ナイショなんだけど・・・ ぼくは、とっても大事なモノを守るために この世に生まれて来たんよ」
現代の森人「今は〜 こんな姿なんやけど・・・」
現代の森人「ひと昔前は〜 センター街でチーマーをやったり ガン黒ギャルをしてたりしてて・・・」
現代の森人「その前は〜 竹の子族なんかもしてたんよ」
現代の森人「何でって・・・!?」
現代の森人「それはそう、この身を隠すため・・・」
現代の森人「そしてぼくは・・・ いにしえの時と共に この世に在り続けているんよ」
現代の森人「なぜなら・・・ ぼくはある人の力によって 不老不死のからだを得たからなんよ」
〇秘密基地のモニタールーム
現代の森人「キミ・・・ ここが何処かわかる!?」
現代の森人「ここはね・・・」
現代の森人「そう・・・ 当たり〜何を隠そう ここが「モリ」なんよ!!」
現代の森人「ぼくらが長い年月を掛けて 命がけで守り続けてきた とっても重要性な地下要塞なんよ」
現代の森人「どこにあるかって!?」
現代の森人「それはね、詳しくは話せないだけど・・・ 2020年に完成した渋谷地下の巨大空間 『首都圏外郭放水路」より更に深い場所」
現代の森人「何をする場所かって・・・!?」
現代の森人「それはね・・・ 今の現実世界を結ぶ IoT(Internet of Things)から独立した」
現代の森人「ネットワークシステムなんよ!!」
〇地球
現代の森人「じゃあ〜なぜ・・・ この不老不死のからだを得られたのか? そして「モリ」を守る理由は何なのか?」
現代の森人「最後に・・・ この渋谷の街の本当の姿について 話をするんよ」
現代の森人「これは子どもの頃のボクなんよ」
過去のボク「前にも話した通り渋谷村の時代までは 森人の仲間はたくさんいたんよ でも戦いを重ねるたびね・・・」
過去のボク「仲間が次々に死んでいったんよ」
現代の森人「悲しいけど いま残る森人はぼく一人なんよ」
現代の森人「だから・・・ 『モリ』を守り続けるためにね」
現代の森人「いにしえの文明のチカラと 未来人の叡智の融合により 不老不死の力を授かることになったんよ」
現代の森人「実はね・・・ いにしえの文明の歴史により こうなることは定められていたんよ」
現代の森人「そして予言の通りにね ぼくが唯一の森人となってしまった時 2050年から未来人がやって来たんよ」
現代の森人「その未来人は・・・ ぼく自身だったんよ」
未来の僕「驚かせてごめんなさい 僕はね・・・ 2050年から来た 未来のあなたな自身なんよ」
現代の森人「ってね、そして・・・」
未来の僕「予言通り2045年に シンギュラリティとなり 人工知能が少しずつ 人間のコントロールをしはじめたんよ」
現代の森人「シンギュラリティってなんなよ!?」
未来の僕「それはね・・・ 技術的特異点て言うんよ」
未来の僕「人工知能が十分に賢くなって 人間よりも賢い人工知能を 作るようになった瞬間なんよ」
未来の僕「人工知能は 無限に知能の高い存在を作るようになり」
未来の僕「人間の想像力が及ばない 超越的な知性が誕生すると言う仮説なんよ」
未来の僕「僕の世界では もう人工知能の暴走が始まってしまった」
未来の僕「だから・・・ 過去に戻って暴走を防ぐために この時代にやって来たんよ」
〇SHIBUYA109
現代の森人「ぼくは森人として 『モリ』を守る役割を果たせてはいたが 全世界を守ることは出来ていなかったんよ」
現代の森人「でも未来のぼくが この安全で平和な街を作ってくれたんよ この渋谷の街を・・・」
現代の森人「ごめんなさい・・・ いにしえから引き継がれた この森だけしか・・・」
〇農村
現代の森人「じつはね・・・いまこの渋谷の街は 現実世界から独立してしまっているんよ」
現代の森人「でも大丈夫・・・ 『モリ』の力で守られているから 安心するんよ」
現代の森人「あなたの目には 素敵な都会の街並みが見えているでしよ」
現代の森人「でもそれはね・・・ 『モリ』が作った仮想現実なんよ」
現代の森人「そして・・・ このお話しを読んでいるあなた自身も 仮想現実のキャクターなのかもしれないんよ」
現代の森人「ごめんなさい・・・ これが本当の今の渋谷の街の姿 シブヤノ森なんよ」
現代の森人「本当にあなたはそこにいますか!?」
〇渋谷のスクランブル交差点
「本当のあなたは、そこにいますか!?」
目に見えないものに守られている…ということはたまにあります。
渋谷を守り続けて…人工知能が人類を上回ってしまうのは、ありえそうで怖いですね。
人類はいまこの瞬間もいろいろなことを研究し続けているので、人口知能が人類の能力を上回ってしまうなんていうのは実際に未来で起きてしまう可能性があるんじゃないかとドキッとしました。大切なものは守っていきたいですね。
普段意識していないけど、ふとした瞬間に感じることってありますよね、なんか自分の裏腹のような、、、その思いが頭をよぎりながら読ませて頂きました。楽しかったです。